SPORTSよこはまVol.39:スポーツ医科学センター
横浜市スポーツ医科学センター 健康科学課●吉久 武志(スポーツ科学員)
歩くという動作は、ほとんどの人は特に意識せずに行っています。運動する習慣がなく、歩く機会も少ない生活を重ねていくと、気付かないうちに元気のない歩き方になってきているかもしれません。そこで今回は元気に歩くためのチェックポイントを紹介します。
1.立位の姿勢
良い姿勢を保持できると見た目が良いだけでなく、歩くときの体の動きもスムーズで、疲れにくくなります。良い姿勢を真横から見ると、図1のように頭の中央(耳)・肩・股関節・膝・足部(足首の前)の5点を床に垂直な線が貫いています。自分一人では確認しにくいので誰かとチェックし合ってみましょう。よく見られる姿勢の崩れは、背中が丸まって頭が前に出ている状態です(図2)。この姿勢では歩幅が狭くなり、また呼吸も深くできなくなります。
2.片脚バランス
歩く動作では片脚で体重を支える場面があります。その時にバランスをしっかり保つことができれば、歩幅が広く安定した歩きが可能になります。手を腰に当て片脚を少し上げた状態で安定して立っていられますか? すぐにグラグラしたり上げた足をついてしまう人は、バランス能力がかなり低下しています。20秒以上安定して立っていられる人は姿勢を正面からチェックしてみましょう。腰や肩のラインが傾いている場合(図3)は体の歪みや筋力低下があるかもしれません。ほぼ水平に保てていれば良好です(図4)。
3.歩幅の広さ
元気に歩くにはある程度大きな歩幅を取れることが必要です。日本整形外科学会が作成した「ロコモ度テスト(※)」のひとつに「2ステップテスト」があります。両足を揃えて立った状態から大またで2歩進み、その距離を測るというものです(図5)。40歳代なら男性で身長の1.54〜1.62倍、女性で1.49〜1.57倍の距離が標準の範囲となっています。股関節周辺の柔軟性や脚の筋力、バランス保持能力などが低下していると歩幅も狭まります。膝・腰などに痛みのある方は無理にテストを行わないようにしましょう。
4.下肢の筋力
椅子から立ち上がる時や階段・坂道を歩く時は、平らな舗装路を歩く場合に比べ、足腰の力が必要になります。先ほど登場したロコモ度テストに、下肢の筋力を評価する「立ち上がりテスト」があります(図6)。40〜60歳代の人の場合、男女ともに40cmの台から片脚で立ち上がることができれば標準となっています。このテストも膝・腰などに痛みがある方は控えましょう。
元気に歩くために
4つのポイントを挙げましたが、これらを改善していくためには、筋力トレーニングや関節の可動性・バランス能力を高める運動を日常的に行うことが必要です。以下に参考情報を掲載しますのでぜひご活用ください。目的や体の状態に合わせて無理なく実践し、いつまでも元気に歩ける体を保ちましょう。
●自分でトレーニングを始めてみたい方
「ハマトレ」(横浜市体育協会が開発したプログラム)
http://enjoy-walking.city.yokohama.lg.jp/movie.html
●体の状態を詳しく調べてトレーニングを行いたい方
「ロコモ教室」(横浜市スポーツ医科学センター)
●自分の姿勢をチェックしたい方
「姿勢測定サービス」(各区スポーツセンター)
https://www.hamaspo.com/s-yoko/vol_s037/information.html
※「ロコモ度テスト」の方法・評価基準
https://locomo-joa.jp(「ロコモチャレンジ!」ホームページ)
「ロコモ」:ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の略
横浜市スポーツ医科学センター 健康科学課●吉久 武志(スポーツ科学員)
歩くという動作は、ほとんどの人は特に意識せずに行っています。運動する習慣がなく、歩く機会も少ない生活を重ねていくと、気付かないうちに元気のない歩き方になってきているかもしれません。そこで今回は元気に歩くためのチェックポイントを紹介します。
1.立位の姿勢
良い姿勢を保持できると見た目が良いだけでなく、歩くときの体の動きもスムーズで、疲れにくくなります。良い姿勢を真横から見ると、図1のように頭の中央(耳)・肩・股関節・膝・足部(足首の前)の5点を床に垂直な線が貫いています。自分一人では確認しにくいので誰かとチェックし合ってみましょう。よく見られる姿勢の崩れは、背中が丸まって頭が前に出ている状態です(図2)。この姿勢では歩幅が狭くなり、また呼吸も深くできなくなります。
2.片脚バランス
歩く動作では片脚で体重を支える場面があります。その時にバランスをしっかり保つことができれば、歩幅が広く安定した歩きが可能になります。手を腰に当て片脚を少し上げた状態で安定して立っていられますか? すぐにグラグラしたり上げた足をついてしまう人は、バランス能力がかなり低下しています。20秒以上安定して立っていられる人は姿勢を正面からチェックしてみましょう。腰や肩のラインが傾いている場合(図3)は体の歪みや筋力低下があるかもしれません。ほぼ水平に保てていれば良好です(図4)。
3.歩幅の広さ
元気に歩くにはある程度大きな歩幅を取れることが必要です。日本整形外科学会が作成した「ロコモ度テスト(※)」のひとつに「2ステップテスト」があります。両足を揃えて立った状態から大またで2歩進み、その距離を測るというものです(図5)。40歳代なら男性で身長の1.54〜1.62倍、女性で1.49〜1.57倍の距離が標準の範囲となっています。股関節周辺の柔軟性や脚の筋力、バランス保持能力などが低下していると歩幅も狭まります。膝・腰などに痛みのある方は無理にテストを行わないようにしましょう。
4.下肢の筋力
椅子から立ち上がる時や階段・坂道を歩く時は、平らな舗装路を歩く場合に比べ、足腰の力が必要になります。先ほど登場したロコモ度テストに、下肢の筋力を評価する「立ち上がりテスト」があります(図6)。40〜60歳代の人の場合、男女ともに40cmの台から片脚で立ち上がることができれば標準となっています。このテストも膝・腰などに痛みがある方は控えましょう。
元気に歩くために
4つのポイントを挙げましたが、これらを改善していくためには、筋力トレーニングや関節の可動性・バランス能力を高める運動を日常的に行うことが必要です。以下に参考情報を掲載しますのでぜひご活用ください。目的や体の状態に合わせて無理なく実践し、いつまでも元気に歩ける体を保ちましょう。
●自分でトレーニングを始めてみたい方
「ハマトレ」(横浜市体育協会が開発したプログラム)
http://enjoy-walking.city.yokohama.lg.jp/movie.html
●体の状態を詳しく調べてトレーニングを行いたい方
「ロコモ教室」(横浜市スポーツ医科学センター)
●自分の姿勢をチェックしたい方
「姿勢測定サービス」(各区スポーツセンター)
https://www.hamaspo.com/s-yoko/vol_s037/information.html
※「ロコモ度テスト」の方法・評価基準
https://locomo-joa.jp(「ロコモチャレンジ!」ホームページ)
「ロコモ」:ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の略