SPORTSよこはまVol.35:スポーツ医科学センター
横浜市スポーツ医科学センター健康科学課●岸 由紀夫(指導員)
マラソン大会などで、スタート前にウォームアップを念入りに行っている姿をよく見かけますが、レース後のクールダウンは、実践されているでしょうか。
クールダウンの目的は、運動やスポーツを行うことによって、興奮しているさまざまな身体器官を鎮静化させ、運動直後のリスクを軽減させるとともに、疲労回復を促進させることにあります。
クールダウンには、軽運動で行うものや安静の状態で行うものなどいろいろな方法があります。
ここでは、一般的なクールダウンの方法と効果について触れていきます。
1. 軽運動(ジョギングなど)によるクールダウン効果
運動やスポーツにおいて、運動強度が増してくると筋肉ではたくさんの酸素を消費するため、心拍数が上昇して酸素を運ぶ血流量を増加させます。その結果、たくさんの酸素が筋肉に供給されますが、その後、血液は心臓へスムーズに戻ることが必要となります。特に立位姿勢における下半身の血液は、重力の抵抗を受けながら戻ることになるので、心臓に大きな負担をかけることになります。実際、高強度の運動を急に止めてしまうと下半身の筋肉内にたくさんの血液が溜まり、心臓へ戻る血液量(帰還血流量)が減少し、脳貧血による「めまい」や「失神」をひき起こす可能性があります。
そこで、心臓の負担を軽減させる手段として、ジョギングなどの軽運動を行うなど脚の筋肉を積極的に動かすことが重要となります。脚を動かし、血管の周りの筋肉を伸び縮みさせることで、血管内の弁を利用したポンプ作用(ミルキングアクション)を積極的に活用し、血液が脚に貯留せず心臓に送り返されやすいように促します。これらは、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)の予防にもつながります。
2. ストレッチングによるクールダウン効果
ここでいうストレッチングとは「筋肉を伸ばす」ことを指しますが、クールダウンとして行うストレッチの目的は、運動やスポーツで使用した筋肉の緊張を解消することにあります。運動の強度にもよりますが、運動やスポーツで使用した筋肉は、容積が膨張して張った状態になりやすく、そのままにしておくと硬くなる傾向があります。気持ちをリラックスさせ、ゆっくりとした動作でストレッチングすることで、筋肉の張りを取り除いて柔軟性を取り戻し、興奮している神経の活動も、ゆっくりと安静時の状態に戻すことが期待できます。
3. クールダウンの基本
クールダウンは、あくまでも運動後のリスクや疲労を軽減するための運動なので、力いっぱいに行うことは避けましょう。軽く動く程度に抑えた上で、よく使用した部位を中心に、クールダウンに適した運動を行っていくことをお勧めします。
クールダウンの基本としては、
①緊張を和らげリラックスできる運動を取り入れる
②10〜15分程度の運動時間で終わる
③手や足などからだの末端部から心臓への血液還流を促進させるような運動を取り入れる
④クールダウンの終了時には心拍数を安静時近くまで回復させる
※心拍数は手首の付根部分の内側にある橈骨動脈(こうこつどうみゃく)、首の横にある頚動脈で確認できます。
などを考慮して行うことが大切です。
また、クールダウンは疲労回復の促進や身体的な緊張を取り除くだけでなく、心理的な緊張も取り除く効果もあり、運動後の満足感を向上させます。ぜひクールダウンを習慣化させ、安全に楽しく運動を行いましょう。
横浜市スポーツ医科学センタートレーニングルーム
「私たちと一緒にトレーニングしましょう!!」
当センターのトレーニングルーム(個人利用)は、「健康の保持・増進や競技力アップ」などの目的で利用が出来ます。私たちが効果的なトレーニングや今回ご紹介したクールダウンの方法などアドバイスをします!! スタッフ一同、皆様のご来館お待ちしております。初めての方は、必ず「トレーニングルーム利用講習会」を受講いただきます。料金は、1,000円/回です。まずは、電話でお問い合わせください。
TEL.045-477-5050 http://www.yspc.or.jp/ysmc/
横浜市スポーツ医科学センター健康科学課●岸 由紀夫(指導員)
マラソン大会などで、スタート前にウォームアップを念入りに行っている姿をよく見かけますが、レース後のクールダウンは、実践されているでしょうか。
クールダウンの目的は、運動やスポーツを行うことによって、興奮しているさまざまな身体器官を鎮静化させ、運動直後のリスクを軽減させるとともに、疲労回復を促進させることにあります。
クールダウンには、軽運動で行うものや安静の状態で行うものなどいろいろな方法があります。
ここでは、一般的なクールダウンの方法と効果について触れていきます。
1. 軽運動(ジョギングなど)によるクールダウン効果
運動やスポーツにおいて、運動強度が増してくると筋肉ではたくさんの酸素を消費するため、心拍数が上昇して酸素を運ぶ血流量を増加させます。その結果、たくさんの酸素が筋肉に供給されますが、その後、血液は心臓へスムーズに戻ることが必要となります。特に立位姿勢における下半身の血液は、重力の抵抗を受けながら戻ることになるので、心臓に大きな負担をかけることになります。実際、高強度の運動を急に止めてしまうと下半身の筋肉内にたくさんの血液が溜まり、心臓へ戻る血液量(帰還血流量)が減少し、脳貧血による「めまい」や「失神」をひき起こす可能性があります。
そこで、心臓の負担を軽減させる手段として、ジョギングなどの軽運動を行うなど脚の筋肉を積極的に動かすことが重要となります。脚を動かし、血管の周りの筋肉を伸び縮みさせることで、血管内の弁を利用したポンプ作用(ミルキングアクション)を積極的に活用し、血液が脚に貯留せず心臓に送り返されやすいように促します。これらは、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)の予防にもつながります。
2. ストレッチングによるクールダウン効果
ここでいうストレッチングとは「筋肉を伸ばす」ことを指しますが、クールダウンとして行うストレッチの目的は、運動やスポーツで使用した筋肉の緊張を解消することにあります。運動の強度にもよりますが、運動やスポーツで使用した筋肉は、容積が膨張して張った状態になりやすく、そのままにしておくと硬くなる傾向があります。気持ちをリラックスさせ、ゆっくりとした動作でストレッチングすることで、筋肉の張りを取り除いて柔軟性を取り戻し、興奮している神経の活動も、ゆっくりと安静時の状態に戻すことが期待できます。
3. クールダウンの基本
クールダウンは、あくまでも運動後のリスクや疲労を軽減するための運動なので、力いっぱいに行うことは避けましょう。軽く動く程度に抑えた上で、よく使用した部位を中心に、クールダウンに適した運動を行っていくことをお勧めします。
クールダウンの基本としては、
①緊張を和らげリラックスできる運動を取り入れる
②10〜15分程度の運動時間で終わる
③手や足などからだの末端部から心臓への血液還流を促進させるような運動を取り入れる
④クールダウンの終了時には心拍数を安静時近くまで回復させる
※心拍数は手首の付根部分の内側にある橈骨動脈(こうこつどうみゃく)、首の横にある頚動脈で確認できます。
などを考慮して行うことが大切です。
また、クールダウンは疲労回復の促進や身体的な緊張を取り除くだけでなく、心理的な緊張も取り除く効果もあり、運動後の満足感を向上させます。ぜひクールダウンを習慣化させ、安全に楽しく運動を行いましょう。
横浜市スポーツ医科学センタートレーニングルーム
「私たちと一緒にトレーニングしましょう!!」
当センターのトレーニングルーム(個人利用)は、「健康の保持・増進や競技力アップ」などの目的で利用が出来ます。私たちが効果的なトレーニングや今回ご紹介したクールダウンの方法などアドバイスをします!! スタッフ一同、皆様のご来館お待ちしております。初めての方は、必ず「トレーニングルーム利用講習会」を受講いただきます。料金は、1,000円/回です。まずは、電話でお問い合わせください。
TEL.045-477-5050 http://www.yspc.or.jp/ysmc/