SPORTSよこはまVol.33:スポーツ医科学センター
横浜市スポーツ医科学センター 健康科学課●小野 宣喜(スポーツ科学員)
自分の体力を知るために
「体力とは何ですか?」と聞かれたら、あなたはどのようなことをイメージしますか? 「マラソンを完走できる」「重いものを持ち上げられる」「速く走れる」「高く跳べる」といったスポーツ選手(アスリート)達の優れた能力をイメージされる方が多いのではないでしょうか。競技種目特性に応じて、必要とされる運動能力(例えば、スピード、パワー、筋力、敏捷性など)は様々ですが、これらの能力レベルが高いことはスポーツ選手(アスリート)にとって競技成績を左右する重要な要素となります。しかし、競技スポーツをされていない方でも、日常生活において「あなたは体力がある」といわれる方も少なくないでしょう。ここでは「健康関連体力」といった、少し聞き慣れない言葉と「体力測定」の関係について触れてみたいと思います。
健康関連体力
近年、運動不足が原因による生活習慣病が増大していることから、生活習慣病の予防や治療、QOL(quality of life=生活の質)の維持・向上に関係する体力要素が着目されています。生活習慣病などの予防や治療、QOLの維持・向上を主とした体力が「健康な生活を送るために必要な体力」、または「自立した日常生活を営む上で最低限必要な体力」といえます。このような健康の維持、増進に関する体力は「健康関連体力(health-related fitness)」(Pate, 1992)といい、体組成、全身持久力、筋力・筋持久力がこれにあたります。
多くの研究では、「健康関連体力」の高い人ほど、様々な疾病の罹患率や自立度の低下の割合が低いことを示しています。
横浜市スポーツ医科学センターでは「健康関連体力」とそれに関連するバランスや敏捷性等の測定も実施しています。
●開眼片脚立ちバランス(平衡性)
片脚でどれくらい安定して立っていられるかを計ります。高齢者では片脚立ち時間が短い人ほど、転倒リスクが高いとされています。
●全身反応時間
光を見てから両足が床から離れるまでの反応時間を測定します。高齢者では、転倒要因の一つとされています。
●膝関節トルク(脚筋力)
椅子に座って膝の曲げ伸ばしを行い、太ももの前と後ろの筋力を測定します。脚筋力を維持することは、体重支持力を得ることや膝関節周囲の障害予防の上でとても重要です。
このような測定は、日頃運動されていない方でも無理なく測定できます。また、現在スポーツやトレーニングを定期的に行っている方でも、現在の自分の体力レベルが評価できます。
自分にあった運動を長く続けるために
生活習慣や職業、活動量の違いにより、目標とする体力は人それぞれ異なります。体力を測定し、「何が足りないのか。何をすればいいのか」を把握することが第一歩です。しかし、脚の筋肉の低下を感じるからといって、強度の強い運動を闇雲に始めてもケガなどにつながり悪循環です。これからスポーツや運動をされる方は、日々の生活の中で身体活動量を増やし、筋力の低下などを防ぎましょう。また、スポーツやトレーニングを定期的に行っている方は、自分の体力を把握し、ケガをしないためにもトレーニング等の見直しに取り組みましょう。
大切なことは、各自が健康に関心を持ち、日常生活の中で積極的に活動することです。そして、安全にかつ長くスポーツや運動に触れることで、余裕を持って健康に生活できる身体を獲得することです。その結果、QOLの維持・向上と生活習慣病の予防に結びつきます。
ランナー必見!! スポーツ版人間ドック:SPS
秋になり、ランニングに適した時期がやってきました。健康のためや記録をねらって各種大会に参加しているランナーのみなさんは、自分の身体をどこまで知っていますか?長時間の運動は、身体に負担がかかりケガや突然死につながることもあります。
横浜市スポーツ医科学センターでは、医学的検査と体力測定をセットで行う、スポーツ版人間ドック(SPS)を実施しております。測定項目の1つである循環器系疾患の有無を調べる運動負荷試験の検査を受けると、運動中の突然死の要因を未然に発見できることがあります。
自分の身体を知り、楽しく・安全に運動やスポーツを行いましょう!!
詳しい内容やご予約は、電話または来館で!!
TEL. 045-477-5050 http://www.yspc.or.jp/ysmc
横浜市スポーツ医科学センター 健康科学課●小野 宣喜(スポーツ科学員)
自分の体力を知るために
「体力とは何ですか?」と聞かれたら、あなたはどのようなことをイメージしますか? 「マラソンを完走できる」「重いものを持ち上げられる」「速く走れる」「高く跳べる」といったスポーツ選手(アスリート)達の優れた能力をイメージされる方が多いのではないでしょうか。競技種目特性に応じて、必要とされる運動能力(例えば、スピード、パワー、筋力、敏捷性など)は様々ですが、これらの能力レベルが高いことはスポーツ選手(アスリート)にとって競技成績を左右する重要な要素となります。しかし、競技スポーツをされていない方でも、日常生活において「あなたは体力がある」といわれる方も少なくないでしょう。ここでは「健康関連体力」といった、少し聞き慣れない言葉と「体力測定」の関係について触れてみたいと思います。
健康関連体力
近年、運動不足が原因による生活習慣病が増大していることから、生活習慣病の予防や治療、QOL(quality of life=生活の質)の維持・向上に関係する体力要素が着目されています。生活習慣病などの予防や治療、QOLの維持・向上を主とした体力が「健康な生活を送るために必要な体力」、または「自立した日常生活を営む上で最低限必要な体力」といえます。このような健康の維持、増進に関する体力は「健康関連体力(health-related fitness)」(Pate, 1992)といい、体組成、全身持久力、筋力・筋持久力がこれにあたります。
多くの研究では、「健康関連体力」の高い人ほど、様々な疾病の罹患率や自立度の低下の割合が低いことを示しています。
横浜市スポーツ医科学センターでは「健康関連体力」とそれに関連するバランスや敏捷性等の測定も実施しています。
●開眼片脚立ちバランス(平衡性)
片脚でどれくらい安定して立っていられるかを計ります。高齢者では片脚立ち時間が短い人ほど、転倒リスクが高いとされています。
●全身反応時間
光を見てから両足が床から離れるまでの反応時間を測定します。高齢者では、転倒要因の一つとされています。
●膝関節トルク(脚筋力)
椅子に座って膝の曲げ伸ばしを行い、太ももの前と後ろの筋力を測定します。脚筋力を維持することは、体重支持力を得ることや膝関節周囲の障害予防の上でとても重要です。
このような測定は、日頃運動されていない方でも無理なく測定できます。また、現在スポーツやトレーニングを定期的に行っている方でも、現在の自分の体力レベルが評価できます。
自分にあった運動を長く続けるために
生活習慣や職業、活動量の違いにより、目標とする体力は人それぞれ異なります。体力を測定し、「何が足りないのか。何をすればいいのか」を把握することが第一歩です。しかし、脚の筋肉の低下を感じるからといって、強度の強い運動を闇雲に始めてもケガなどにつながり悪循環です。これからスポーツや運動をされる方は、日々の生活の中で身体活動量を増やし、筋力の低下などを防ぎましょう。また、スポーツやトレーニングを定期的に行っている方は、自分の体力を把握し、ケガをしないためにもトレーニング等の見直しに取り組みましょう。
大切なことは、各自が健康に関心を持ち、日常生活の中で積極的に活動することです。そして、安全にかつ長くスポーツや運動に触れることで、余裕を持って健康に生活できる身体を獲得することです。その結果、QOLの維持・向上と生活習慣病の予防に結びつきます。
ランナー必見!! スポーツ版人間ドック:SPS
秋になり、ランニングに適した時期がやってきました。健康のためや記録をねらって各種大会に参加しているランナーのみなさんは、自分の身体をどこまで知っていますか?長時間の運動は、身体に負担がかかりケガや突然死につながることもあります。
横浜市スポーツ医科学センターでは、医学的検査と体力測定をセットで行う、スポーツ版人間ドック(SPS)を実施しております。測定項目の1つである循環器系疾患の有無を調べる運動負荷試験の検査を受けると、運動中の突然死の要因を未然に発見できることがあります。
自分の身体を知り、楽しく・安全に運動やスポーツを行いましょう!!
詳しい内容やご予約は、電話または来館で!!
TEL. 045-477-5050 http://www.yspc.or.jp/ysmc