SPORTSよこはまVol.28:スポーツ医科学センター
横浜市スポーツ医科学センター 内科診療科●髙木 久見子(管理栄養士)
日本では、2007年に65歳以上の高齢者の割合が21.5%になり、いわゆる超高齢社会になりました。そして、今後も高齢化率は上がり続け、横浜市でも2030年にはその割合が28.7%、市民の約3人に1人は高齢者になると推定されています。私たちは、健康で明るい老後を迎えるためにも、「健康体力づくり」の視点で日常生活を見直していくことが大切となります。
今回は、骨と栄養の知識を通して、骨粗しょう症の予防について学びましょう。
骨
骨には、カルシウムを貯める働きと骨格としての働きがあります。骨はカルシウムの流出と沈着を繰り返しながら、20歳くらいまでに最大の骨量になります。しかし、高齢期になる、また、女性は閉経を迎えるなどすると骨量は減少していきます。
骨粗しょう症とは?
骨粗しょう症は、骨量の減少が長時間続き、骨そのものの強度が弱まり、体や運動を支持する働きが十分に機能しない状態を指します。このような状態になると、「ちょっと転んだ」「くしゃみをした」だけで大腿骨頸部骨折や脊椎圧迫骨折を引き起こします。
骨粗しょう症の要因
①加齢…腸からのカルシウム吸収の低下
②閉経…ホルモン(エストロゲン)の分泌低下
③過度なダイエットによる低栄養…思春期における過度なダイエットによるホルモンバランスの悪化・カルシウム不足
骨粗しょう症予防のための食事ポイント
①たんぱく質、カルシウム等のミネラルの摂取
カルシウムは、骨の生成と生理機能の維持に必要で、同時に良質のたんぱく質を含む食事を取ることが大切になります。(一緒に摂ることでカルシウムの吸収が促進されます)
また、食品内のカルシウムの吸収率は異なり、平均的に牛乳50%、小魚・大豆食品30%、緑黄色野菜20%と報告されています。牛乳などは1日コップ1杯(200〜300ml)飲む習慣をつけると良いでしょう。
②ビタミン類の摂取
ビタミンD…腸でのカルシウム等の吸収を助け、骨を作ります。
ビタミンC・K…たんぱく質の合成を助けます。
③たんぱく質、リンの過剰摂取は控える
たんぱく質を過剰に摂ると、その処理過程でカルシウムを消費して骨のカルシウムが減ってしまいます。また、食品添加物に使用されるリンは骨のカルシウムを減らしますので、スナック菓子などは食べすぎに注意しましょう。
④アルコールやカフェイン飲料の適量摂取
多量の飲酒は、肝機能を低下させ、ビタミンD活性を抑えてしまいます。カフェインは利尿作用があり、カルシウムなどが尿として排泄されてしまいます。お酒やコーヒーはほどほどに摂りましょう。
③糖分、塩分の過剰摂取は控える
砂糖は過剰に摂ると腸でのカルシウムの吸収が抑えられ、また、食塩はカルシウムを尿に排泄させますので、薄味を心がけましょう。
骨を構成する栄養素
下記の図に示したとおり、骨はカルシウムだけでなく様々な栄養素により作られます。
コラーゲン(たんぱく質) 鶏手羽・鶏皮・牛筋・フカヒレ・豚足に多く含まれます。コラーゲン生成には、ビタミンCが必要です。また、銅(レバーやアーモンドなど)や亜鉛(カキなど)は吸収率を高めてくれます。
カルシウム 乳製品・小魚・大豆食品・葉野菜に多く含まれます。
リン 乳製品・魚介類・大豆食品・海藻類に多く含まれます。
マグネシウム 海藻類・魚介類・大豆食品に多く含まれます。
鮭のクリーム煮 (1人分 466kcal)
材料(1人分)
鮭 1切(80g)/塩・こしょう 少量/バター 小1(4g)/白ワイン 大1/A. [ブロッコリー 3房/じゃがいも 1ヶ(80g)/ミックスベジタブル 20g]/牛乳 200cc/シチュー粉末 25g
[作り方]
① 鮭は食べやすい大きさに切り、塩・こしょうする。
② ブロッコリーは子房にわけ、じゃがいもは一口大に切る。
③ A. 材料を塩(分量外)茹でする。
④ フライパンにバターを熱し、①の鮭を両面焼く。両面に軽く火が通れば白ワインを加える。
⑤ 鍋に牛乳、シチュー粉末を加え、混ぜながら溶かす。
⑥ ⑤の鍋に④の鮭・③の野菜を加えて混ぜる。塩・こしょうを加え、味をととのえる。
切干大根といわし蒲焼の和え物 (1人分 125kcal)
材料(1人分)
切干大根 5g/ひじき 2g/人参 10g/小松菜 10g/いわし蒲焼缶 40g/レモン汁 少量
[作り方]
① 切干大根・ひじきは水で戻す。
② 人参は皮をむき、サイコロ状にする。小松菜は1〜2cm長さに切る。
③ ひじき・人参・小松菜を茹でる。
④ ①の切干大根、③の野菜、ほぐしたいわし蒲焼を和える。食べる直前にレモン汁をふりかける。
「スポ医科」は、あなたの健康をサポートします。
横浜市スポーツ医科学センター TEL. 045-477-5050・5055 ホームページ
●スポーツクリニック(内科・内科循環器科・整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション科)
●トレーニングルーム
●大・小アリーナ(体育館)
●25m室内温水プール
●研修室・会議室
横浜市スポーツ医科学センター 内科診療科●髙木 久見子(管理栄養士)
日本では、2007年に65歳以上の高齢者の割合が21.5%になり、いわゆる超高齢社会になりました。そして、今後も高齢化率は上がり続け、横浜市でも2030年にはその割合が28.7%、市民の約3人に1人は高齢者になると推定されています。私たちは、健康で明るい老後を迎えるためにも、「健康体力づくり」の視点で日常生活を見直していくことが大切となります。
今回は、骨と栄養の知識を通して、骨粗しょう症の予防について学びましょう。
骨
骨には、カルシウムを貯める働きと骨格としての働きがあります。骨はカルシウムの流出と沈着を繰り返しながら、20歳くらいまでに最大の骨量になります。しかし、高齢期になる、また、女性は閉経を迎えるなどすると骨量は減少していきます。
骨粗しょう症とは?
骨粗しょう症は、骨量の減少が長時間続き、骨そのものの強度が弱まり、体や運動を支持する働きが十分に機能しない状態を指します。このような状態になると、「ちょっと転んだ」「くしゃみをした」だけで大腿骨頸部骨折や脊椎圧迫骨折を引き起こします。
骨粗しょう症の要因
①加齢…腸からのカルシウム吸収の低下
②閉経…ホルモン(エストロゲン)の分泌低下
③過度なダイエットによる低栄養…思春期における過度なダイエットによるホルモンバランスの悪化・カルシウム不足
骨粗しょう症予防のための食事ポイント
①たんぱく質、カルシウム等のミネラルの摂取
カルシウムは、骨の生成と生理機能の維持に必要で、同時に良質のたんぱく質を含む食事を取ることが大切になります。(一緒に摂ることでカルシウムの吸収が促進されます)
また、食品内のカルシウムの吸収率は異なり、平均的に牛乳50%、小魚・大豆食品30%、緑黄色野菜20%と報告されています。牛乳などは1日コップ1杯(200〜300ml)飲む習慣をつけると良いでしょう。
②ビタミン類の摂取
ビタミンD…腸でのカルシウム等の吸収を助け、骨を作ります。
ビタミンC・K…たんぱく質の合成を助けます。
③たんぱく質、リンの過剰摂取は控える
たんぱく質を過剰に摂ると、その処理過程でカルシウムを消費して骨のカルシウムが減ってしまいます。また、食品添加物に使用されるリンは骨のカルシウムを減らしますので、スナック菓子などは食べすぎに注意しましょう。
④アルコールやカフェイン飲料の適量摂取
多量の飲酒は、肝機能を低下させ、ビタミンD活性を抑えてしまいます。カフェインは利尿作用があり、カルシウムなどが尿として排泄されてしまいます。お酒やコーヒーはほどほどに摂りましょう。
③糖分、塩分の過剰摂取は控える
砂糖は過剰に摂ると腸でのカルシウムの吸収が抑えられ、また、食塩はカルシウムを尿に排泄させますので、薄味を心がけましょう。
骨を構成する栄養素
下記の図に示したとおり、骨はカルシウムだけでなく様々な栄養素により作られます。
コラーゲン(たんぱく質) 鶏手羽・鶏皮・牛筋・フカヒレ・豚足に多く含まれます。コラーゲン生成には、ビタミンCが必要です。また、銅(レバーやアーモンドなど)や亜鉛(カキなど)は吸収率を高めてくれます。
カルシウム 乳製品・小魚・大豆食品・葉野菜に多く含まれます。
リン 乳製品・魚介類・大豆食品・海藻類に多く含まれます。
マグネシウム 海藻類・魚介類・大豆食品に多く含まれます。
鮭のクリーム煮 (1人分 466kcal)
材料(1人分)
鮭 1切(80g)/塩・こしょう 少量/バター 小1(4g)/白ワイン 大1/A. [ブロッコリー 3房/じゃがいも 1ヶ(80g)/ミックスベジタブル 20g]/牛乳 200cc/シチュー粉末 25g
[作り方]
① 鮭は食べやすい大きさに切り、塩・こしょうする。
② ブロッコリーは子房にわけ、じゃがいもは一口大に切る。
③ A. 材料を塩(分量外)茹でする。
④ フライパンにバターを熱し、①の鮭を両面焼く。両面に軽く火が通れば白ワインを加える。
⑤ 鍋に牛乳、シチュー粉末を加え、混ぜながら溶かす。
⑥ ⑤の鍋に④の鮭・③の野菜を加えて混ぜる。塩・こしょうを加え、味をととのえる。
切干大根といわし蒲焼の和え物 (1人分 125kcal)
材料(1人分)
切干大根 5g/ひじき 2g/人参 10g/小松菜 10g/いわし蒲焼缶 40g/レモン汁 少量
[作り方]
① 切干大根・ひじきは水で戻す。
② 人参は皮をむき、サイコロ状にする。小松菜は1〜2cm長さに切る。
③ ひじき・人参・小松菜を茹でる。
④ ①の切干大根、③の野菜、ほぐしたいわし蒲焼を和える。食べる直前にレモン汁をふりかける。
「スポ医科」は、あなたの健康をサポートします。
横浜市スポーツ医科学センター TEL. 045-477-5050・5055 ホームページ
●スポーツクリニック(内科・内科循環器科・整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション科)
●トレーニングルーム
●大・小アリーナ(体育館)
●25m室内温水プール
●研修室・会議室