SPORTSよこはまVol.23:スポーツ医科学センター
横浜市スポーツ医科学センター センター長●中嶋 寛之
現在、日本は高齢者が22%以上をしめる超高齢社会です。しかし高齢者によっては、1)体力的に非常に優れたエリート高齢者、2)普通に元気な高齢者、3)虚弱高齢者をふくめて介護の必要な高齢者と大きく三つのタイプに分けられます。
若いときと異なり、健康体力面での個人差が大きくあらわれるのが年をとってからの特徴です。その背景には、生活習慣や遺伝的な要素もありますが、スポーツや体力づくりを含めた情報収集能力の差も見逃せません。
下の[図]は介護が必要となった高齢者の原因を示しておりますが、脳卒中や認知症についで筋肉の衰弱・骨や関節疾患などが多いのがわかります。
ここでは高齢になっても介護の世話にならないで、自立した生活を過ごすにはどのような知識が必要か、どのような努力が望まれるか、スポーツや体力づくりの立場から情報を提供したいと思います。
さて、一口にスポーツや体力づくりといっても内容・場所・個人の健康状態などにより様々なものが考えられます。テニス・ゴルフなどのスポーツ型、太極拳・ダンスなどの身体運動型、ウォーキング・スイミングなどの基本運動型、筋力トレーニングなどのジム型、あるいはこれらを適宜組み合わせた内容などに分けられるでしょう。スポーツの場も、スポーツセンター(自治体)やフィットネスクラブ(民間)などの屋内、サイクリングやジョギングなどの屋外があります。そしてスポーツ活動をする本人の健康状態もその条件となります。残念ながら職場における定期健康診断などでも肥満・高血圧・糖尿病など何らかの異常所見を持っている人が多いのです。ですから中古車を点検するようにどこか傷んでいるところはないか、からだ全体あるいは部分的に故障はないかチェックをして、傷んでいるところに支障がないような運動あるいは傷んでいるところを治すような運動を選んで行うのが望ましいのです。
とりわけ高齢になると高血圧・糖尿病などの内科的な問題や膝痛・腰痛などの整形外科的な問題に悩まされる人が多くなるのですが、個々の細かい解説については次号からそれぞれ専門の立場から解説していただきます。
ここでは一般的な高齢者のからだの特徴と運動をする際に気をつけなければならない点について述べたいと思います。
1.高齢者のからだの特徴
高齢になると誰しも筋肉が萎縮し、逆に相対的に脂肪が増え結果的に筋力の低下を感じることと思います。若い頃のようには行きませんが何らかの形でこれを補うようなトレーニングが望ましいのです。また水分の比率も低くなり文字どおり年とともに枯れてくるのです。したがって暑さや発汗に応じて水分を十分に補給しないとスポーツ中に心筋梗塞や脳梗塞あるいは熱中症などの危険な状態がせまります。スポーツ中の事故にはこのような身体の背景があるからです。
骨は脆く折れやすくなりますが、とくに女性では閉経をきっかけとしてこの傾向が強くなります。若いときからこうなることを予測してスポーツ活動により骨量を貯めこんで将来の骨の粗鬆化に対して備えておくことが大切です。関節は衝撃吸収の役割をする関節内の軟骨が薄くなりショックを吸収しにくくなります。とくに関節周囲の筋力の低下がこれに輪をかけるのです。筋力や平衡機能の低下は高齢者に転倒の危険をもたらすので、バランスのとり方や安全な転び方を若いときから身につけておくとよいでしょう。
2.高齢者にすすめられるトレーニング
一般にすすめられるものとして、(1)有酸素運動があります。ジョギング・ウォーキングがその代表的なものですが、適度の量が心肺機能を高め荷重時のインパクトで骨を丈夫にしてくれます。フィットネスバイクや水泳は膝や足に故障があって走れない人に向いています。(2)適切な筋力トレーニングは、筋力を保つだけでなく全身の代謝活性を高め体重のコントロールにも役立ちます。適度の疲労感は快適な睡眠も約束してくれます。ただし普段から血圧の高めの人は医学的な配慮のもとに行うことが必要です。(3)ストレッチは筋をしなやかに保ち関節の動きを良くする働きがあります。また(4)バランス訓練も転倒や骨折予防に大切とされています。皆さんが選ばれたスポーツやさまざまな身体活動を通じてこれらの四つの要素を組み込んだ運動を生活習慣の一部とするのが理想的です。今日危惧されているメタボ対策やロコモ対策にも効果があります。
幸い横浜市にはスポーツ医科学センターのように通常の半額で(高齢者はさらにその半額)適切な運動の内容を処方(スポーツプログラムサービス)する施設もあります。現在スポーツを行う上で何らかの異常がある人や、今までスポーツや運動と縁がなかったがこれから健康づくりを心がけたいという人には是非お勧めのサービスです。
「スポ医科」は、あなたの健康をサポートします。
横浜市スポーツ医科学センター TEL. 045-477-5050・5055 ホームページ
●スポーツクリニック(内科・内科循環器科・整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション)
●トレーニングルーム
●大・小アリーナ(体育館)
●25m室内温水プール
●研修室・会議室
横浜市スポーツ医科学センター センター長●中嶋 寛之
現在、日本は高齢者が22%以上をしめる超高齢社会です。しかし高齢者によっては、1)体力的に非常に優れたエリート高齢者、2)普通に元気な高齢者、3)虚弱高齢者をふくめて介護の必要な高齢者と大きく三つのタイプに分けられます。
若いときと異なり、健康体力面での個人差が大きくあらわれるのが年をとってからの特徴です。その背景には、生活習慣や遺伝的な要素もありますが、スポーツや体力づくりを含めた情報収集能力の差も見逃せません。
下の[図]は介護が必要となった高齢者の原因を示しておりますが、脳卒中や認知症についで筋肉の衰弱・骨や関節疾患などが多いのがわかります。
ここでは高齢になっても介護の世話にならないで、自立した生活を過ごすにはどのような知識が必要か、どのような努力が望まれるか、スポーツや体力づくりの立場から情報を提供したいと思います。
さて、一口にスポーツや体力づくりといっても内容・場所・個人の健康状態などにより様々なものが考えられます。テニス・ゴルフなどのスポーツ型、太極拳・ダンスなどの身体運動型、ウォーキング・スイミングなどの基本運動型、筋力トレーニングなどのジム型、あるいはこれらを適宜組み合わせた内容などに分けられるでしょう。スポーツの場も、スポーツセンター(自治体)やフィットネスクラブ(民間)などの屋内、サイクリングやジョギングなどの屋外があります。そしてスポーツ活動をする本人の健康状態もその条件となります。残念ながら職場における定期健康診断などでも肥満・高血圧・糖尿病など何らかの異常所見を持っている人が多いのです。ですから中古車を点検するようにどこか傷んでいるところはないか、からだ全体あるいは部分的に故障はないかチェックをして、傷んでいるところに支障がないような運動あるいは傷んでいるところを治すような運動を選んで行うのが望ましいのです。
とりわけ高齢になると高血圧・糖尿病などの内科的な問題や膝痛・腰痛などの整形外科的な問題に悩まされる人が多くなるのですが、個々の細かい解説については次号からそれぞれ専門の立場から解説していただきます。
ここでは一般的な高齢者のからだの特徴と運動をする際に気をつけなければならない点について述べたいと思います。
1.高齢者のからだの特徴
高齢になると誰しも筋肉が萎縮し、逆に相対的に脂肪が増え結果的に筋力の低下を感じることと思います。若い頃のようには行きませんが何らかの形でこれを補うようなトレーニングが望ましいのです。また水分の比率も低くなり文字どおり年とともに枯れてくるのです。したがって暑さや発汗に応じて水分を十分に補給しないとスポーツ中に心筋梗塞や脳梗塞あるいは熱中症などの危険な状態がせまります。スポーツ中の事故にはこのような身体の背景があるからです。
骨は脆く折れやすくなりますが、とくに女性では閉経をきっかけとしてこの傾向が強くなります。若いときからこうなることを予測してスポーツ活動により骨量を貯めこんで将来の骨の粗鬆化に対して備えておくことが大切です。関節は衝撃吸収の役割をする関節内の軟骨が薄くなりショックを吸収しにくくなります。とくに関節周囲の筋力の低下がこれに輪をかけるのです。筋力や平衡機能の低下は高齢者に転倒の危険をもたらすので、バランスのとり方や安全な転び方を若いときから身につけておくとよいでしょう。
2.高齢者にすすめられるトレーニング
一般にすすめられるものとして、(1)有酸素運動があります。ジョギング・ウォーキングがその代表的なものですが、適度の量が心肺機能を高め荷重時のインパクトで骨を丈夫にしてくれます。フィットネスバイクや水泳は膝や足に故障があって走れない人に向いています。(2)適切な筋力トレーニングは、筋力を保つだけでなく全身の代謝活性を高め体重のコントロールにも役立ちます。適度の疲労感は快適な睡眠も約束してくれます。ただし普段から血圧の高めの人は医学的な配慮のもとに行うことが必要です。(3)ストレッチは筋をしなやかに保ち関節の動きを良くする働きがあります。また(4)バランス訓練も転倒や骨折予防に大切とされています。皆さんが選ばれたスポーツやさまざまな身体活動を通じてこれらの四つの要素を組み込んだ運動を生活習慣の一部とするのが理想的です。今日危惧されているメタボ対策やロコモ対策にも効果があります。
幸い横浜市にはスポーツ医科学センターのように通常の半額で(高齢者はさらにその半額)適切な運動の内容を処方(スポーツプログラムサービス)する施設もあります。現在スポーツを行う上で何らかの異常がある人や、今までスポーツや運動と縁がなかったがこれから健康づくりを心がけたいという人には是非お勧めのサービスです。
「スポ医科」は、あなたの健康をサポートします。
横浜市スポーツ医科学センター TEL. 045-477-5050・5055 ホームページ
●スポーツクリニック(内科・内科循環器科・整形外科・スポーツ整形外科・リハビリテーション)
●トレーニングルーム
●大・小アリーナ(体育館)
●25m室内温水プール
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