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SPORTSよこはまVol.8・スポーツ医科学センター

スポーツ医科学センター メタボリックシンドロームと食事①

横浜市スポーツ医科学センター 内科診療科 髙木久見子(管理栄養士)

 今年の4月から特定健康診査・特定保健指導が始まりました。最近「内臓脂肪」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか?
 ここでおさらい。メタボリックシンドロームはどのようにして起こるのでしょうか?

生活習慣の崩れ(過剰栄養・運動不足)→内臓脂肪型肥満→インスリン抵抗性→糖尿病・高血圧・脂質代謝異常→動脈硬化→脳血管・心血管障害

 上記に示すように、メタボリックシンドロームの状態が続くと動脈硬化が進み、脳や心臓の血管障害の危険度が急激に高まります。メタボリックシンドロームは長年の生活習慣の崩れ(過剰栄養・運動不足)による内蔵脂肪蓄積型肥満から引き起こされます。よって、メタボリックシンドロームの改善は、食事・運動面から生活習慣を見直し改善することと減量することが必要です。それでは、生活習慣の改善について、栄養面から考えてみましょう。

図

 栄養面からのメタボリックシンドロームの改善は上記に記したとおり「ステップ1:現状の把握・問題点の気づき」から始まります。
 ステップ1では、(1)毎日体重を測り記録する。(2)食習慣・食事量を確認する。ことで、まず生活習慣における問題点に気づくことです。
 自分自身の体の現状を知る簡単な方法は、(1)の毎日の体重を測ること。いったん体重を測り始めると「少し食事に気をつけてみよう」という気持ちが高まり、減量がスタートします。体重を測るタイミングは、1日で一番体重の少ない朝食前に行い、記録しておきましょう。体重の記録は、最初に設定した食事エネルギー量を継続するか、更にエネルギー制限を行うかを判断する材料となります。
 次に食習慣チェック表を利用して、(2)の食習慣での問題点を確認しましょう。

 

食習慣チェック表

1 よく噛まずに食べる・食事時間は15分程度。 2 朝食は食べない。 3 食事は満腹まで食べてしまう。 4 付き合いを含め、外食・飲み会が週3回以上と多い。 5 揚げ物が好き・外食でも揚げ物を選びやすい。 6 野菜は苦手。 7 魚より肉料理が好き。 8 マヨネーズ・ドレッシングはたっぷりかける。 9 カップ麺・ファーストフードを週3回以上食べる。 10 菓子パン・ケーキ・チョコレート・アイスクリームが好き。 11 日常的に缶コーヒー・清涼飲料水・スポーツドリンクをよく飲む。 12 アルコールを適量以上飲む・休肝日なし

 あてはまる点がいくつありましたか?チェックがついた項目が、食習慣における問題点となります。
 例えば、夕食の時間が帰宅後の深夜になる場合は、夕方に主食のおにぎりまたはサンドイッチを食べ、帰宅後に主菜・副菜を食べる、というように夕食を分割してとりましょう。また、深夜の食事は油脂を控えた、あっさり料理をとるようにしましょう。
 朝は1分が貴重で、朝食は二の次となり欠食しやすくなります。しかし、朝食は(1) 就寝中に低下した体温を上昇させる。(2)交感神経を優位にさせ代謝をアップさせる。(3)脳への栄養補給。と役割は大きいのです。朝食を欠食することは、昼・夕食の吸収を活発にするとともに、体に必要なビタミン・ミネラル類の摂取不足を招くので、逆に体重増加につながります。
 次に、写真の食事と見比べながら、普段の食事はバランスのとれた食事であるかどうかを確認してみましょう。バランスのとれた食事とは、次の①〜⑤の5つの皿がそろった食事をさします。

1主食(ご飯、パン、麺類、シリアル)、2主菜(魚、肉、卵、大豆)、3副菜(野菜、海藻、きのこ、こんにゃく)、4果物、5乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)

  1の主食は、活動するためのエネルギー源となる糖質が多い皿です。ただ、1回の食事にご飯と麺類、おにぎりとサンドイッチ、というように主食を2つ重ねて食べてしまわないよう注意が必要です。また、パン・麺類は消化吸収時間が早いため空腹感も早く、ご飯はパンや麺類に比べて消化吸収時間が遅いため空腹感が遅いという特徴があります。
  2の主菜は、筋肉や骨など体づくりに必要なたんぱく質が多い皿です。魚を食べずに肉ばかりを食べるなど1種類に偏ることなく、すべての食品をとるようにしましょう。
  3の副菜は、体の各機能の調整に必要なビタミン・ミネラル類が多い皿です。また、食品自体が低カロリーで食物繊維を多く含むため、メタボリックシンドロームの改善に必須な食品です。
  4と5の果物・乳製品は、ビタミン・ミネラルが多い皿です。果物は果糖、乳製品はカルシウムを多く含む食材ですが、どちらもとり過ぎると体重が増加しやすいため注意が必要です。しかし、食事の一部に含まれるため、間食に食べることをおすすめします。
  さて、普段の食事に1〜5の5つの皿がそろっていましたか? 問題点はありましたか?
  それぞれの問題点に気づかれたところで、「ステップ2:適正な摂取エネルギー量の算出」に進みましょう。

 ステップ2は、エネルギーの過剰摂取を防止するために、自分自身の適正な摂取エネルギーは何kcalなのかを知っておくことです。

★適正な摂取エネルギー量の算出方法

1 適正体重を求める

身長(m)×身長(m)×22=適正体重(kg)

2 係数をかける
減量時     25kcal/kg/日
適正体重の維持 30kcal/kg/日

適正体重(kg)×25=摂取エネルギー量/日(Aとする)

 上記の算出方法にあてはめて、自分自身の適正な1日の摂取エネルギー量を算出しましょう。
  ただし、昼食を外食やコンビニを利用される方は、1食のエネルギー量を、

A÷3=B

を目安にしてください。
  どうですか? 今後は、この摂取エネルギー量を目安に食事をしてみてください。
  まずは、押入れに眠っている体重計を出しましょう。そこからメタボリックシンドロームの改善はスタートします。
  次号では、「ステップ3:減量計画を立てる」「ステップ4:減量計画の実践・ふりかえり」についてご説明します。

スポーツ医科学センター メタボリックシンドロームと食事①

横浜市スポーツ医科学センター 内科診療科 髙木久見子(管理栄養士)

 今年の4月から特定健康診査・特定保健指導が始まりました。最近「内臓脂肪」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか?
 ここでおさらい。メタボリックシンドロームはどのようにして起こるのでしょうか?

生活習慣の崩れ(過剰栄養・運動不足)→内臓脂肪型肥満→インスリン抵抗性→糖尿病・高血圧・脂質代謝異常→動脈硬化→脳血管・心血管障害

 上記に示すように、メタボリックシンドロームの状態が続くと動脈硬化が進み、脳や心臓の血管障害の危険度が急激に高まります。メタボリックシンドロームは長年の生活習慣の崩れ(過剰栄養・運動不足)による内蔵脂肪蓄積型肥満から引き起こされます。よって、メタボリックシンドロームの改善は、食事・運動面から生活習慣を見直し改善することと減量することが必要です。それでは、生活習慣の改善について、栄養面から考えてみましょう。

図

 栄養面からのメタボリックシンドロームの改善は上記に記したとおり「ステップ1:現状の把握・問題点の気づき」から始まります。
 ステップ1では、(1)毎日体重を測り記録する。(2)食習慣・食事量を確認する。ことで、まず生活習慣における問題点に気づくことです。
 自分自身の体の現状を知る簡単な方法は、(1)の毎日の体重を測ること。いったん体重を測り始めると「少し食事に気をつけてみよう」という気持ちが高まり、減量がスタートします。体重を測るタイミングは、1日で一番体重の少ない朝食前に行い、記録しておきましょう。体重の記録は、最初に設定した食事エネルギー量を継続するか、更にエネルギー制限を行うかを判断する材料となります。
 次に食習慣チェック表を利用して、(2)の食習慣での問題点を確認しましょう。

 

食習慣チェック表

1 よく噛まずに食べる・食事時間は15分程度。 2 朝食は食べない。 3 食事は満腹まで食べてしまう。 4 付き合いを含め、外食・飲み会が週3回以上と多い。 5 揚げ物が好き・外食でも揚げ物を選びやすい。 6 野菜は苦手。 7 魚より肉料理が好き。 8 マヨネーズ・ドレッシングはたっぷりかける。 9 カップ麺・ファーストフードを週3回以上食べる。 10 菓子パン・ケーキ・チョコレート・アイスクリームが好き。 11 日常的に缶コーヒー・清涼飲料水・スポーツドリンクをよく飲む。 12 アルコールを適量以上飲む・休肝日なし

 あてはまる点がいくつありましたか?チェックがついた項目が、食習慣における問題点となります。
 例えば、夕食の時間が帰宅後の深夜になる場合は、夕方に主食のおにぎりまたはサンドイッチを食べ、帰宅後に主菜・副菜を食べる、というように夕食を分割してとりましょう。また、深夜の食事は油脂を控えた、あっさり料理をとるようにしましょう。
 朝は1分が貴重で、朝食は二の次となり欠食しやすくなります。しかし、朝食は(1) 就寝中に低下した体温を上昇させる。(2)交感神経を優位にさせ代謝をアップさせる。(3)脳への栄養補給。と役割は大きいのです。朝食を欠食することは、昼・夕食の吸収を活発にするとともに、体に必要なビタミン・ミネラル類の摂取不足を招くので、逆に体重増加につながります。
 次に、写真の食事と見比べながら、普段の食事はバランスのとれた食事であるかどうかを確認してみましょう。バランスのとれた食事とは、次の①〜⑤の5つの皿がそろった食事をさします。

1主食(ご飯、パン、麺類、シリアル)、2主菜(魚、肉、卵、大豆)、3副菜(野菜、海藻、きのこ、こんにゃく)、4果物、5乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)

  1の主食は、活動するためのエネルギー源となる糖質が多い皿です。ただ、1回の食事にご飯と麺類、おにぎりとサンドイッチ、というように主食を2つ重ねて食べてしまわないよう注意が必要です。また、パン・麺類は消化吸収時間が早いため空腹感も早く、ご飯はパンや麺類に比べて消化吸収時間が遅いため空腹感が遅いという特徴があります。
  2の主菜は、筋肉や骨など体づくりに必要なたんぱく質が多い皿です。魚を食べずに肉ばかりを食べるなど1種類に偏ることなく、すべての食品をとるようにしましょう。
  3の副菜は、体の各機能の調整に必要なビタミン・ミネラル類が多い皿です。また、食品自体が低カロリーで食物繊維を多く含むため、メタボリックシンドロームの改善に必須な食品です。
  4と5の果物・乳製品は、ビタミン・ミネラルが多い皿です。果物は果糖、乳製品はカルシウムを多く含む食材ですが、どちらもとり過ぎると体重が増加しやすいため注意が必要です。しかし、食事の一部に含まれるため、間食に食べることをおすすめします。
  さて、普段の食事に1〜5の5つの皿がそろっていましたか? 問題点はありましたか?
  それぞれの問題点に気づかれたところで、「ステップ2:適正な摂取エネルギー量の算出」に進みましょう。

 ステップ2は、エネルギーの過剰摂取を防止するために、自分自身の適正な摂取エネルギーは何kcalなのかを知っておくことです。

★適正な摂取エネルギー量の算出方法

1 適正体重を求める

身長(m)×身長(m)×22=適正体重(kg)

2 係数をかける
減量時     25kcal/kg/日
適正体重の維持 30kcal/kg/日

適正体重(kg)×25=摂取エネルギー量/日(Aとする)

 上記の算出方法にあてはめて、自分自身の適正な1日の摂取エネルギー量を算出しましょう。
  ただし、昼食を外食やコンビニを利用される方は、1食のエネルギー量を、

A÷3=B

を目安にしてください。
  どうですか? 今後は、この摂取エネルギー量を目安に食事をしてみてください。
  まずは、押入れに眠っている体重計を出しましょう。そこからメタボリックシンドロームの改善はスタートします。
  次号では、「ステップ3:減量計画を立てる」「ステップ4:減量計画の実践・ふりかえり」についてご説明します。