【未来への可能性】横浜ビー・コルセアーズ 山田謙治選手インタビューコラム
by :横浜市スポーツ情報センター 吉山博之
「スターターにこだわり? 別にないですよ。自分がベンチからスタートする方が、チームにベストな選択だったら、それがいいじゃないですか。シーズン中からヘッドコーチとそんな話、してましたから。」
意外な言葉でありながら、いかにも彼らしいとも思った。
彼…横浜ビー・コルセアーズ設立以来、3シーズン続けて全試合スターターを務める司令塔・山田謙治選手。
2013-2014シーズンが終了して、数週間後の発言だ。そして、チームからキャプテン就任の要請があったのは、この発言のさらに数週間後のことだった。
チーム設立から4年目を迎えるシーズン。
これまでチームをけん引してきた蒲谷正之選手から、山田謙治選手にキャプテンが移譲されることとなった。
新キャプテンとしてスタートするチームだが、前キャプテンの蒲谷正之選手、そして百戦錬磨のベテラン・堀川竜一選手が、彼をサポートする。
9月29日のプレスカンファレンス。
共同記者会見で「チームはまだ手探りな状況でやっているので、シーズンが開幕してみないと分からない部分も正直あります。でも、まだまだ成長できるチームだとボクは思っているので、シーズンを通していいチームになれるよう、目の前の試合を一つ一つクリアしていけたらいいなと思っています」と、現状を素直に話した新キャプテン。
新外国人選手との練習期間が少ない中で開幕が迫っている状況を、開幕してみないと分からないと率直に話した新キャプテン。
共同記者会見では聞くことのできなかった難しいシーズンのスタートについて、さらに話を聞いてみた。
「今年に限らず、毎年何かしらの問題を抱えて開幕を迎えているので、(勝久マイケル)ヘッドコーチも言っていたのですが、そういう部分を毎年乗り越えてシーズンを戦い、チームとして成長しているという話をしていました。過剰に不安になるのでなく、これを試練として選手一人一人がしっかり受け止めてやっていけばいいのかなと思います。」
横浜ビー・コルセアーズは、レギュラーシーズン52試合を通して、チーム力が向上していくチームだ。
昨シーズン、シーズン途中に主力選手の負傷などが重なり、プレーオフ進出を逃したものの、シーズン終盤を見据えた戦い方ができるチームという部分には強く信頼をしていることが分かる。
そんな中で、司令塔として、そしてキャプテンとしての立ち位置について意識することをあらためて聞いてみたが、キャプテンだからと言って特に変わることはないという気持ちにブレはなかった。
「ゲームコントロールはしっかりしなきゃいけないと思いますが、キャプテンだからと言って、それ以外変わることはないですね。やっぱり大崩れをしてはいけないというポジションですが、過去3シーズンのことを考えると、浮き沈みがあった時期もありました。やっぱり毎試合平常心を保ってやらなければいけないな、ということですね。」
3シーズン取材をしてきたが、常に沈着冷静に試合をコントロールしている姿が印象的で、観ている側としては、浮き沈みを感じることがほとんどなかっただけに、このコメントは意外なものだった。
「そんなことないですよ。自分の中では、ものすごい浮き沈みありました。僕のコントロールで負けた試合、僕のターンオーバーで負けた試合もいくつもありますし。やっぱりそういう取りこぼしがあると、最後まで響いちゃうんです。まだシーズンが始まったばかりだから大丈夫だ…と思っていても、やっぱり尾を引くというか。昨シーズン、いいところまでチームを持って行けたとしても、結局最後プレーオフに行けなかったのは事実ですし。そういう同じ間違いをしないように今シーズンはやってきたいなと。」
昨シーズンの悔しさが確実に成長の糧となっている新キャプテン・山田謙治選手。
10月4・5日に横浜ビー・コルセアーズは、富山で開幕を迎える。
そしてホーム開幕は10月11・12日のスカイアリーナ座間での信州ブレイブウォリアーズ戦だ。
このホーム開幕に向けて話を振ると、出てきたのはチームメイトへの思い溢れるコメントだった。
「一昨年、昨年と同じカード、信州(ブレイブウォリアーズ)との対戦でホーム開幕を迎えるんですけど、洋介(新加入の齊藤洋介選手)の古巣でもありますし、しっかり勝ったら、移籍しても洋介がんばってるな…というのを認めてもらえると思うんです。だから何としてもホーム開幕戦、勝ちたいですし、勝ってシーズン勢いに乗っていけたらいいなと思っています。ですので、多くの方々に、会場に足を運んでいただけると嬉しいです。」
これまで司令塔として試合をコントロールしてきた山田謙治選手だ。
変わらないと言うが、どんなキャプテンシーを見せてくれるのか…。
いよいよ開幕する新シーズンが楽しみだ。
【写真は、平成26年9月29日 横浜ビー・コルセアーズ プレスカンファレンス及び出航パーティー時撮影】