SPORTSよこはまvol.34(12月号)横浜スポーツ栄誉賞受賞者インタビュー フェンシング三宅諒選手インタビュー
by :スポーツ情報センター
三宅 諒(みやけりょう 1990年12月24日生まれ)
慶應義塾大学文学部在学
17歳以下の世界選手権のフルーレ個人で優勝。2012年アジア選手権大会で3位。
ロンドンオリンピックでは団体で太田雄貴、千田健太、淡路卓とともに準優勝し、銀メダルを獲得した。
2012年ロンドンオリンピックフェンシング競技フルーレ団体で銀メダルを獲得した三宅諒選手(慶応義塾大学在学)にお話をうかがってきました。
■フェンシングを始めたきっかけ
小学校1年生の時にスイミングスクールに通っていたんですけれども背泳ぎが出来なくて違う競技をしたくて、その時に地元のカルチャースクールの掲示板のなかにフェンシングの写真があってこれやりたいと思って始めたのがきっかけです。
子供のころはおもちゃの剣を振り回すのが好きでそういうのが性に合ってて楽しくやることができました。
■フェンシングに向いている運動能力は
フェンシングを陸上に例えると中距離なんですよね。瞬発系の動きもあるし、常に動いていなきゃいけないので持久系の要素も必要になります。
それとスポーツは何でもそうですけど「積極的」「負けず嫌い」それに「その競技が好き」こういった子はだいたい強いですね。
■メダルを取るのに必要なこと
常に競技の特性を理解して、客観的に判断して、そうやって突き詰めて行って勝つということにつながっていくと思っています。
ただ漠然と練習して多くの時間を割いて練習して「頑張りました」だけじゃダメで、どうすれば勝てるのかということを常に考えて練習することが大事だと思います。
■次の目標
とにかく目の前の試合ですね。僕はまだ大学生なのでインカレでしっかり優勝すること、それから1月にW杯がパリからスタートするのでそこでしっかり結果を出していく、そういった目の前の試合の積み重ねが大事だと考えています。
もちろん4年後のリオ五輪がありますけれども4年後というのはかなり遠い目標なので、まずは目に見える近い目標からしっかり結果を出していくことが大事だと思います。
■競技をあきらめそうになったときは
これは自慢じゃなく、むしろコンプレックスなんですけど今まで挫折がなく、「上手くいかないな」と落ち込む時期がなく、ここまでは楽しくフェンシングを続けていますね。
今僕はナショナルチームで最年少ですし、若いうちにメダルが取れてここまで順調に来れて運もあるのかなと思っています。
■フェンシングの楽しさとは
剣道などと違って形(かた)がないんですよ。
ある程度こうしなさいという基本はあるんですけどだいたいは個性になってくるんですね。
今回男子フルーレの4人にはそれぞれの構えがあるし、試合の展開の仕方も違うので、そういったところを見るとまた違ったフェンシングの楽しさが見えてくるんじゃないかなと思います。
僕は太田選手みたいに相手の背中を剣で突く「振り込み」という技ができる華やかな選手ではなく、とにかくどんな技でも1点は1点なのですごい技よりも着実に1点を重ねていくというスタイルですね。
■これから普及活動にも取り組んでいくということですが
そうですね、フェンシングはまだまだマイナー競技なのでとにかくフェンシングを知ってもらうということが一番だと思っています。
その中で北京五輪で銀メダルだった太田選手は「太田雄貴杯」という小学生を対象としたすごく大きなフェンシング大会を作りました。
僕は地域の方々と近いアスリートでありたいと思っているので、みなさんにフェンシングの良さを知ってもらうために地域で教室を開き、指導法を体系化して誰に教わってもしっかりとした技術を学べるようなフェンシング教室を作って子供たちに広めたいと思っています。
フェンシングは指導者と審判の両方の技術の向上をしていかないと発展していかないんです。
審判の技術は協会が行うことになりますが指導者の技術は競技者と一緒に高めていかなければならないものだと思っているので指導技術の向上をしっかりやっていきたいと思っています。
■メッセージ
スポーツを通じた人との出会いというのがありまして、強くなれば他の競技の人たちと関わることが出来たり、深い話を聞けたりするので、子供たちには様々な人と出会って自分の考えを話したり人の考えを聞いて自分の見識を広げてほしいなと思います。