地域ではぐくむ親子のコミュニケーション
by :かぐや姫
母親にとって、子どもはかけがえのない存在。心身ともに健やかに育児に取り組むことが一番だが、子育てに悩みはつきものだ。以前は「公園デビュー」という言葉をよく耳にしたが、最近は安心して子どもと外で過ごす場所を見つけることが難しくなってきている。
そこでお勧めしたいのが、地域の地区センターやスポーツセンターで主催している、気軽に参加できる親子教室だ。今回は戸塚区の踊場地区センターで毎月1回開催されている、「のびのび親子ランド」を紹介する。
親子のコミュニケーション、そして子どもの体力向上のために。踊場地区センターで開催されている「のびのび親子ランド」
体を動かす楽しさを、子どもたちに伝えたい
親子のコミュニケーションの場として始まった「のびのび親子ランド」は、今年で5年目を迎えた。1歳児クラスと2〜3歳児クラスで分かれているので、同じ年頃の子どもを持つ母親同士の交流の場の役割も果たしている。
講師を務めるのは、スポーツリーダー歴22年の中村洋子さん。「子どもたちに体を動かす楽しさを知ってもらいたい」。その一心でスポーツ指導に力を注いできた。
自身も二児の母親である中村さんは、子育ての過程で生じる悩みの声にも耳を傾けてきた。「みんなと一緒でなければいけない、そう悩んでいるお母さんが多い。そうではないことを、伝えてあげたい」。
育児書通りにいかない。しかし相談できる人が周りにいない。結果、子どもと家に閉じこもってしまう母親が増えている。「子どもはそれぞれ個性がある。どんどん外に出て、いろんな人の話に耳を傾けてほしいですね」と中村さん。「のびのび親子ランド」は、その第一歩を踏み出す格好の場だ。
講師の中村洋子さん(右)と、アシスタントの石川澄代さん(左)。二児の母親でもある二人は、子育ての経験を生かして取り組んでいる
2〜3歳児クラスに初参加した丹下英美さん。この日はちょうど息子の大輔くんの2歳の誕生日。「夫は休日しか子どもの相手ができないので、普段は子どもと二人だけの生活になってしまう。ここに来ると友だちができるので楽しいですね」と笑顔を見せた。
誕生日おめでとう!丹下大輔くんと母親の英美さん【左】 子ども同士って、すぐに仲良くなれるのです【右】
子どもの体力作りは3歳までが勝負!
クラスは単なるコミュニケーションの場では終わらない。「3歳までに身につけることが大事」と、中村さんは子どもの体力づくりを考えて、45分間のプログラムを構成する。例えば最初の基本動作で行う、母親が子どもを抱いてグルグル回る動き。これは空間認知力を高めることにつながる。転んだ時にさっと手がついたり、ドッチボールでボールをつかむ力。「意外とできない小学生が多いんです」。
中村さんは現在の小学生の運動能力に危機感を抱いている。「握力が弱く、ソフトボールを投げることができない子もいる。丸めたタオルをしっかり握って投げるなど、ちょっとしたことを小さい頃から続けてほしい」とアドバイスを送る。
基本動作は将来の運動能力向上につながる。家庭でも実践したい
この日のメインプログラムは、パラバルーンを使った遊び。大きな風船のように膨らんだパラバルーンに、子どもたちは大喜び。持ち上げたり、下にもぐったり、一見単純な動きが実は全身運動につながっている。「ハイハイが終わると、腕の筋力が落ちてしまう。腕を伸ばす動きで腹筋や背筋が鍛えられます」と中村さん。小学生になった時、逆上がりができなくて困ってしまう子どもを減らしたい。こんな深い思いも込められている。
パラバルーンを大きく広げて…【左】 その上にカラーボールを転がす!【右】
そして一斉にカラーボールをキャッチ!【左】 ちょっと一休み…【右】
早速、効果は現れている。「子どもたちがでんぐり返しのやり方を覚えました」と嬉しそうに報告してくれたのは、鈴木貴子さん。2歳11ヵ月になる双子の兄弟のお母さんだ。「2歳になったばかりの頃から、毎月通っています。最初はうまく輪に入れなかったのですが、この頃は行くのが楽しみになったようです」。
地区センターの体育館という、広いスペースで動き回れることも、子どもたちにとって魅力のようだ。
鈴木貴子さん、古木香織さん親子は友だち同士で毎月参加【左】 「先生ありがとう!」子どもたちが中村さんに駆け寄る【右】
「のびのび親子ランド」では子どもたち、見守るお母さんたちも笑顔が輝いていた。子どもの成長はあっという間。悩んでいる時間なんて、もったいない。まず一歩、積極的になって子育ての時間を有意義に過ごしたい。
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「のびのび親子ランド」は毎月1回、月曜日に開催中。1歳児クラスは10:00〜10:45(先着30組)。2〜3歳児クラスは11:00〜11:45(先着40組)。参加費は300円。
日程、申込み開始日など詳細は踊場地区センターに問い合わせを。
【踊場地区センター】
〒245−0061 戸塚区汲沢2−23−1 電話045−866−0100
http://www.yokohamaymca.org/odoriba/index.htm
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