ハマの公立校の星・Y校が甲子園を目指す!
by :スポーツ情報センター:yoko
春のセンバツが始まり、神奈川県の高校野球シーズンもいよいよ幕を開けます。4月11日(土)から始まる春季県大会を前に、各校は地区予選に突入します。
センバツ出場の慶応を筆頭に、私学優位と言われる高校野球ですが、公立校も負けていません!胸にY字のブルーのユニフォーム…高校野球ファンならピンと来る方も多いのでは?横浜市立横浜商業高校(Y校の愛称で親しまれています)は、19年ぶりの夏の甲子園出場を目指して、チーム一丸で頑張っています。
Y校といえば、ブルーのユニフォームが印象的!【左】はエースの上島哲生投手です
Y校は新3年生、新2年生合わせて90人の大所帯です。昨年秋、新チームになって初めて迎えた県秋季大会は、4回戦で日大に惜しくも敗れました。選手は冬のトレーニングを経て一回り成長し、今年の目標は「甲子園出場」ではなく、「最高の目標・日本一」と鈴木隼人主将(横浜市立小田中学出身)は胸を張ります。
Y校を率いて4年目の寺田克夫監督は、「甲子園は夢ではなく目標と、選手に伝えています。目標は達成できるもの。ひとつひとつステップを踏んでいけば近づくことができます」と力を込めました。Y校室内練習場の扉には日本一を目指して、富士山の写真が掲げられています。
寺田監督【左】は野球の技術指導だけでなく、栄養指導、メンタルトレーニングにも力を注ぎます。【右】は鈴木主将
高校野球の聖地・甲子園で日本一を目指して…室内練習場の扉には富士山、甲子園の写真が掲げられています
公立校のY校は地元・横浜市出身の選手が多く、選手は野球と学業の両立に励みながら高校生活を送っています。日々の練習は朝1時間、そして授業を受けて放課後の16時から下校の20時くらいまでボールを追い続ける、多忙な毎日です。
「私学と比較すると不利な部分も多いのですが、それを乗り越えて甲子園を目指します」と寺田監督。「高校野球は青春の1ページ。選手と一緒になって感動を味わうことができるのが一番の醍醐味ですね」と笑顔を見せました。野球部では監督、そして学校では英語教師として選手と接する寺田監督。「野球を通して人間的な成長を願っています」と、一人一人を温かく見守っています。
「選ばれた選手たちだけでなく、全員で力を合わせて勝つ」と寺田監督【左】
スタンドから練習試合を見つめる控え選手の眼差しも真剣です【右】
「僕たちは守りのチーム」と分析するのは鈴木主将。その中心になるのはエースです。上島哲生投手は1年生から公式戦に登板、新3年生になった最後の夏はエースとしてマウンドを守る覚悟です。 180センチ、80キロの大柄のサウスポーは、「常に三振を狙って投げています」と頼もしい言葉。横浜市立生麦中学出身。「公立に入って、私立を倒して甲子園に行きたい」、その思いでY校へ入学しました。
Y校は多くのプロ野球選手を輩出していますが、巨人の山口鉄也投手(2005年巨人に育成選手として入団。2008年新人王を獲得)から、「頑張ってY校を上まで連れていってほしい」とエールを送られた上島投手。「今まで野球をやってきて、ひとつの区切りの年。1分1秒時間を無駄にしないで、野球にすべてを懸けたい」。そうエースは誓いました。
上島投手の帽子の裏に刻まれた力強い言葉【右】「常に自分に言い聞かせて、周りに気を配って投げています」
MAX135キロ・上島投手の力強いピッチング!ストレートとスライダーのコンビネーションが持ち味です
野球部に欠かせない縁の下の力持ちといえば、マネージャーですね。Y校では3人の女子マネージャーが陰日向なくチームに尽くしています。元ソフトボール選手などマネージャーになったきっかけは様々ですが、新3年生の柳沢千晶さんは、「7歳上の兄がY校野球部出身で、当時のマネージャーさんにとても優しくしてもらいました。その影響で私もマネージャーをやりたいと思いました」。最上級生らしく、しっかりした印象の柳沢さんは、「選手は厳しい冬の練習を乗り越えてきたので、ひとつでも多く勝って、最終的には一番上を目指して頑張ってほしい」と祈りを込めました。マネージャーにとっても、最後の夏が待っていますね!
日々の練習、大会、合宿…。マネージャーとしてかけがえのない高校生活を送る、【左】から柳沢さん、佐藤さん、片岡さん
また柳沢さんの二人の後輩・新2年生の片岡依久美さんは、「選手たちの方が練習で大変なのに、いつもマネージャーに気を遣って『ありがとう』と言ってくれるので、頑張って支えてあげたいという気持ちになります。『ありがとう』の言葉はすごい力を持っていると、マネージャーになって改めて思いました」と笑顔に。「部員を誰よりも近くで支えてあげることができるので楽しいですね」と同じく新2年生の佐藤美綾さんは、日々やりがいを感じながらマネージャー業に打ち込んでいます。
毎年公式戦の前にはベンチ入りメンバーへ手作りのお守りを渡したり、バレンタインデーには徹夜で90人分のチョコレートを作ったり、“女子マネ”ならではの心配りも選手の励みになっています。鈴木主将は、「部員がこれだけ多い中で、マネージャーは3人で頑張っている。3人がいなかったらこの野球部は成立しないので、感謝しています」と心を込めて話してくれました。
スコアをつけるのは、マネージャーの大切な仕事です【左】
練習試合でアナウンスを務める柳沢さん。プロ顔負けの美声でした!【右】
さあ、春の戦いが始まります。Y校野球部が目指すは、春の県大会を制して関東大会出場。そして夏の甲子園に向けて一直線です。「寺田先生(監督)は、もしかしたら選手よりも甲子園に行きたい気持ちが強いかもしれない。その熱い思いが伝わってくるので、僕たちも期待に応えられるように、練習から先生に負けないくらい本気になって甲子園を目指します」と鈴木主将は力強く宣言しました。
公立校の星として、今年は強いY校が復活!ブルーのユニフォームがグラウンドを駆け抜けます!
「つなぐバッティング。守りはエラー0、失点0を目指します」(鈴木主将)。Y校野球部から目が離せません!
全員一丸となって!
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