塚田真希選手涙の7連覇で北京へ〜「大好きな先輩」の思いを受けて、再び金メダルに挑む
by :スポーツ情報センター記者
柔道の全日本女子選手権が4月20日、横浜文化体育館で行われ、アテネ五輪78キロ超級金メダルの塚田真希選手が大会史上最多となる7連覇を達成しました。大会の連覇としては、田辺陽子さんの1987年〜1992年、塚田選手自身の2002年〜2007年の6連覇の記録を超えた快挙となりました。全日本柔道連盟は試合後に強化委員会を開き、塚田選手は北京五輪同級代表に選ばれました。塚田選手には五輪2連覇の期待が掛かります。
北京五輪代表を掛けた運命の決勝戦
この日の塚田選手は準決勝まで4試合連続一本勝ち。決勝では7年ぶり2回目の優勝に挑む薪谷翠選手と対戦しました。勝負の5分間は両者ポイントがなく、旗判定3−0で塚田選手が優勢勝ちを収めました。判定後、両選手は「ありがとう」と声を掛け合い、涙で抱き合いました。
勝負を終え固く抱き合う塚田選手と薪谷選手
涙は二人の深い絆の証です
塚田選手が「大好きな先輩」と慕う薪谷選手は、引退の決意を固めて決勝に臨みました。「薪谷先輩がこの試合で最後ということは聞いていました。自分の試合に集中していても、先輩が決勝に上がってきたことは、一人の柔道家として誇らしかったです」と、あふれそうな涙をこらえながら振り返った塚田選手。決勝と同時に北京五輪代表が掛かった運命の一戦。しかしそのことは関係なく、薪谷選手と戦えることを喜び、全力でぶつかっていきました。
そしてつかんだ代表の座。「いろんな人たちの思いを背負って代表になっていることを自覚して、全力でやらなければ。北京ではもっと大きく、自分を100パーセント出し切った状態で試合に臨みたい」と決意を固めました。
観客席から愛娘を見守った塚田選手の母・恵子さんは、「4年前のアテネ五輪から、精神的に強くなりました。7連覇というプレッシャーもあったでしょうが、皆さまの応援と、身の周りで手助けしてくださる方々のおかげだと思います」と喜びをかみしめていました。
支えてくれた人たちへの思いがあふれて…
一方で、薪谷選手は柔道と共に歩んできた人生の中で、現役選手としての舞台に幕を下ろしました。2002年に負った右ひざの大怪我を乗り越えて、2005年世界選手権優勝を成し遂げた実績を築きました。困難に打ち勝ち、今日まで邁進してきた理由を、「五輪に出ることが小さい頃からの夢でした。現役生活の中で一度はあの台に立ちたい、という思いがあったので続けてきました」と穏やかに語った薪谷選手。久しぶりに対戦した塚田選手について問われると、「相変わらず迫力はすごかったです」と笑顔に。「塚田選手は(北京で)世界一になってくれる」と、自身が果たせなかった夢を後輩に託しました。
大切な人たちのために、そして日本女子柔道に新たな栄光をもたらすために、塚田選手の次なる挑戦が始まります。
北京の表彰台で、塚田選手の笑顔が見れますように!