「JOCオリンピック教室」in~横浜市立横浜吉田中学校~
5月28日(火)に開催された「JOCオリンピック教室」についてお伝えします。
この教室は、オリンピック出場経験があるアスリート(オリンピアン)が教師役となり、オリンピアン自身のさまざまな経験を通して[オリンピズム]や[オリンピックの価値]などを伝えると同時に、この価値はオリンピアンだけのものではなく、多くの人々が共有し、日常生活にも生かすことができるものであることを学習する授業です。
今回は、横浜市立横浜吉田中学校の2年3組で行われた様子をお伝えします。
教師役のオリンピアンは、2006年トリノ冬季オリンピックに「ボブスレー女子2人乗り」で出場し15位となった、長岡千里さんです。トリノオリンピックは、イナバウアーで有名な女子フィギュアスケート荒川静香さんが金メダルを取った大会で、生徒の皆さんが生まれたころのオリンピックです。
はじける笑顔が印象的な 長岡千里 先生
授業は、1時間目に「運動」、2時間目に「座学」です。
長岡先生の話術でなごやかに始まり【今日の2時間で[オリンピックバリュー(価値)]である「エクセレンス(卓越)」「フレンドシップ(友情)」「リスペクト(敬意/尊重)」について学ぶ】、ということを確認しました。
「運動」では、グループに分かれて縄跳びを行いました。「8の字飛び」を、90秒間で数多く跳べたグループが勝つという競争をしました。
挑戦の間に、グループごとに「もっと数多く飛ぶため」の作戦会議を持ちます。2回目、3回目の結果報告が終わったところで、先生から「数字という結果ではない」「“もっと数多く飛ぶため”の意識をみんなが持って臨んだことが大事」と話してもらった生徒の皆さん。
「運動」で経験したことを踏まえ、次の「座学」へ移動です。
教室に戻っての「座学」では、[オリンピックシンボル](オリンピックマーク)にはどんな意味があるのか、[オリンピックバリュー(価値)]は実技で取り組んだ「8の字飛び」競争の中にもあったんだということを、長岡先生のトリノオリンピック選考時の経験とともに、わかりやすく、面白く、授業してくれました。
~長岡先生のオリンピック選考時の経験談~
ボブスレーは、200㎏にもなる鋼鉄製のソリを押し出し、氷のコースを滑る競技です。長岡先生はオリンピック選考前の世界大会で、ソリを運ぶときに手の小指を切断するという大きなけがを負ってしまいます。選考会への出場を「けが」を理由にあきらめかけていました。その時に、遠くからわざわざ出向いてきてくれた親友からの一言で奮起し、選考会に臨むことができたそうです。
生徒の皆さんは、「運動」で経験したことを「座学」でグループワークをすることで、オリンピックバリューを実体験したんだと、深掘りし再認識していました。
この授業では、オリンピアンがオリンピックに向けて競技する中で経験することと、生徒の皆さんが日常生活の中で経験することとは、大きな違いがあるのではなく、誰しもが経験することで、その経験をどのように取り組んで価値あるものにするか(意識して、気持ちを込めて行うか)が、大切だということを学んでいました。
長岡先生から、生徒の皆さんへ最後の言葉
「13歳・14歳の皆さんには、長い人生の中で興味の柱をたくさん立てて(持って)、たくさんの経験や挑戦をしてほしいです。親や先生に相談できない事でも仲間や親友といった周りの人に相談しながら、多くの経験をしてほしいです」
熱弁あふれる、2時間の「JOCオリンピック教室」でした。
「JOCオリンピック教室」
主催:公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)
後援:スポーツ庁
協力:公益財団法人JKA、横浜市
対象:中学2年生
講師:オリンピック出場経験があるアスリート(オリンピアン)