デフリンピック・パラリンピック選手によるスポーツ体験会
2020年、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催されます。
横浜市西区ではこれを契機に、区民のスポーツへの興味や関心を高め、スポーツを通じた健康づくり、地域づくりを推進するため、「西区スポーツ振興事業推進委員会」を設立しました。
今回、同委員会が中心となり人権週間を控えた12月3日(木)、横浜市立軽井沢中学校において、デフリンピック陸上競技日本代表の高田裕士さんとアジアパラ陸上競技日本代表の高田千明さんご夫妻をお招きし、全校生徒を対象に講演会を実施しました。
講演会に先立ち、お二人の練習や試合の様子、日ごろの生活風景などをVTRでご紹介しました。
生徒の代表からの質問にお答えしていただきました。
講演の中で高田裕士さんは、
「障害のあるなしに関わらず困っている人を見かけたら、『何かお手伝いすることはありませんか?』と声をかけ、行動することが大切です。日本人は、心の中では思っていても声に出したり、行動をしたりすることが苦手なようです。試合などで海外に行くと国籍の違いや障害のあるなしに関わらず『困っているのかな?』と感じたら、さりげなく声をかけてくれる方がとても多いです。ぜひ皆さんも身近で困っている方がいれば声に出す、行動することを進んでやってほしいと思います。
ただし、私達のように障害があってもなんにもできないというわけではありません。たとえば私のような聴覚障害者が重い荷物を持っていたとして、それを『持ちましょうか?』というのはちょっと違います。荷物は自分で持つことができるからです。私の場合、助けてほしいのは、重要な音声情報があったときなどに『こんな内容だったよ』と筆談などで教えていただくことです。
皆さんの周りでも、たとえば高い所にある物が取れない友達に、背の高い人が『取ってあげようか?』と声をかけることがあると思います。それと同じように困っていることに手を差し伸べることが大切です。
2020年には、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。選手として参加する方法もありますが、世界中からたくさんの方が集まります。皆さんもその時に自分に何ができるか、ボランティアでも良いし、運営に携わることもできますが、ぜひ何か困っている方がいたら、積極的に声をかけて、行動してほしいと思います。」
と、ご自身の体験を通じて感じたことをメッセージとして生徒の皆さんに伝えました。
講演の最後には、高田裕士さんから「ありがとう」の手話を教わりました。
「皆さんには、ありがとうと言える人、人からありがとうと言われる人になってほしいです。是非、『ありがとう』の手話を皆さんで覚えてください。」(高田裕士さん)
この「ありがとう」の手話は、お相撲さんが勝ったときに軍配から懸賞金を受取るときの動作からできたということです。
高田千明さんは、来年開催されるリオパラリンピックの出場を目指して、現在トレーニングに励んでいます。
息子さんに「金メダル」をかけてあげることが、最大の目標という高田千明さん。
ぜひリオパラリンピックに出場して夢を叶えてほしいです。
デフリンピック陸上競技日本代表(2009年台北大会、2013年ソフィア大会)
専門は400m、400mハードル
<主な記録>
2012年トロント世界ろう者陸上競技選手権大会4×400mリレー銅メダル
2015年台湾・桃園アジア太平洋ろう者競技大会400mハードル銀メダル
4×400mリレーアジア記録保持者 400mハードル日本記録保持者
※プロスポーツ選手として、競技活動とは別に講演会やイベント等を通じて、「デフリンピック」普及活動も積極的に行っています。
専門は100m、走り幅跳び(T11)
<主な記録>
2011年IBSA WORLD GAMES 100m銅メダル、200m銀メダル
2014年仁川アジアパラ大会 走り幅跳び銅メダル
100m、200m、400m、走り幅跳びの4種目で日本歴代2位記録。