最多メダル獲得数となった東京2020オリンピックで、女子フェザー級の入江聖奈選手が金メダル、女子フライ級の並木月海選手が銅メダル、男子フライ級の田中亮明選手が銅メダル、を獲得したボクシング競技。ボクシング競技を見たことがない皆さんも、興味を持たれたのではないでしょうか。

皆さんは、ここ横浜に、世界王者井上尚弥選手が所属し5人の男女世界チャンピオンを輩出するボクシングジムがあることは、ご存知でしょうか。

その名は、『大橋ボクシングジム』。

大橋ボクシングジムでは、プロボクサーの育成を始め、子どもや女性向けのプログラム、また宿泊プランをホテルとコラボレーションするなど、さまざまな取り組みをされているとの情報を受け、大橋ボクシングジムの大橋秀行（おおはしひでゆき）会長と八重樫東（やえがしあきら）さんにお話を伺いました。

世界中が注目するボクサー 井上尚弥（いのうえなおや）選手
“激闘王” 八重樫東氏

ビルの横には大橋会長の世界チャンピオン時代の雄姿が

3階4階がジム。プロ志望を含む選手たちは4階で練習しています

横浜駅から、横浜モアーズの脇を歩いて5分。鶴屋町1丁目交差点のビルに大橋ボクシングジムはあります。エレベータを降りるとすぐに受付があり、奥には大きなリングがありました。お二人にリングの前でお話を伺いました。
開放感ある大きな窓のすぐ横にリングがあります

「世界チャンピオンになるまで」

大橋秀行会長（以下、会長）
ボクシングを始めるきっかけは、5歳上の兄がボクシングが好きで、幼稚園の頃からいつもおもちゃのグローブでボクシングの相手をしていました。5歳も離れてるから勝てるわけはなくて、でも、同学年の子たちには負けたことがなかったですね。それから、だんだんと本格的にやり始めて中学生の時にボクシングジムに入りました。横浜高校に入ってからは、部活動としてボクシングを続けました。

－横浜生まれ、横浜育ちの会長は、大学でもオリンピックを目指してアマボクシングを続けられました。その後プロに転向し「150年に1人の天才」と評され、WBC及びWBAの2団体の世界ミニマム級チャンピオンになりました－

チャンピオンになって苦労したことは、ないですね。今となっては楽しい思い出ばかり。勝っても負けても楽しくて、負けたら次に向けて考えることが楽しかった。
嬉しかったのは、ベルトに挑戦するまではみんなに知られていないのに、チャンピオンになった翌日、相鉄線で実家に帰ろうとしたら、すごい人に囲まれて電車が止まっちゃってびっくりしましたね。その日の夜に、海部総理に首相官邸に呼ばれて、ネクタイピンをもらうことになりました。世界チャンピオンになるとこんなになるんだ、っていうギャップがすごく印象的でした。

八重樫東さん（以下、八重樫さん）
僕がボクシングを始めたのは、出身の岩手県で高校1年生の時、友人の勧誘で部活として始めました。それまでは野球とバスケットボールをやっていて、ボクシングには全く興味なかったんです。ボクシングはウエイト制なので、ほぼ同じ体格の選手と競うスポーツ。同じような体格の子に負けた時は、とても悔しくて、勝ちたいとのめり込むようになっていきました。

－岩手県北上市出身の八重樫さんは、大学でもアマボクシングを続けられ、アマチュアチャンピオンとなり、スカウトで大橋ジムに入門。WBA世界ミニマム級、WBC世界フライ級、IBF世界ライトフライ級のチャンピオンになり、3階級制覇を達成しました－

チャンピオン時代に限らず現役時代はけがが多く、歯がゆい思いをしていました。けがに負けることなく苦労と感じることなくずっと練習を続けてこられたことが、結果的に世界チャンピオンになれる要因の一つだったのかなと思っています。

「ジムの設立から世界チャンピオンの輩出まで」

会長
横浜生まれ横浜育ちなんで、ジムをつくるなら「横浜」と最初から決めていました。1994年に青木橋で始めて、そのあと平沼に移りこのビルで3カ所目になります。青木橋時代からの3つのジムを知ってる数少ないボクサーは、この八重樫ですね。平沼時代を知っているボクサーも少なく、井上なんかもここからですから。鶴屋町に移ってからの10年で、八重樫、（井上）尚弥、（井上）拓真と、チャンピオンが続出しているんです。ここは、パワースポットなんですよね。

－ここで出てきた「井上」。今や飛ぶ鳥を落とす勢いの「モンスター・井上尚弥」選手のことです。「日本ボクシング史上最高傑作」と評されているそうで、2012年、大橋ボクシングジムに入門した後、プロ6戦目、8戦目、16戦目と、次々に各団体の世界チャンピオンになっています。皆さんには、ボクシングの聖地ラスベガスでの試合が印象的でしょうか。現在は、日本人初の四団体統一チャンピオンを目指しています－

会長
ボクシングリングの中って、全くの一対一。同じ体重で学歴も国籍も全く平等な戦いで、全くえこひいきがない嘘のない唯一ピュアな世界なんです。たとえ勝っても負けても得るものも大きいし、こんなすばらしいスポーツはないってことを広めたいと思って、指導者になりました。

会長
プロボクサーを目指さなくても自分との闘いで勝って精神的に強くなるってこともあります。ジムを開いたころ、いじめられっ子で登校拒否の子がボクシング始めて、そのうちに立派に強くなっていくんです。そういったサクセスストーリーのような子を何人もみています。その子の人生を助けて変えられたは、ボクシングだったんです。声をかけるとしたら、まず、「ボクシングでもなんでも、3年間は続けていきなさい」と。

－大橋ボクシングジムは、先に出てきた3人を含め、男女5人の世界チャンピオンを輩出しています。そこに理由はあったのでしょうか－

会長
運がいいのは間違いないです。ただ、運がいいというのは勝手に運がいいのではなくて、いい運と悪いことって突拍子もなくいつくるか分からないじゃないですか。そのどっちがきてもいいように、常に準備をしておくということですね。その心構えは、選手の時から気を付けてます。そういう意味で、運がいいんです。

印象深いチャンピオンと言えば、川嶋かなあ。ずぶの素人で21歳から始めて世界チャンピオンになるなんて、今じゃあり得ない。それが、横浜アリーナで、1ラウンドKOで世界チャンピオンになった時のことは忘れられない。

川嶋ってすっごいんですよ、努力と気迫っていうのがすごいんです。その背中を見てるのが、八重樫で川嶋以上に気迫のこもった練習をしました。そして、またその背中を井上兄弟が見てるんです。尚弥は、子どものころからちょっと違ってたけどね。
で、やっぱりその始まりの川嶋っていうのがすごく大きくて。そのつながりが、今の5人の世界チャンピオン輩出につながってると思います。

－大橋ボクシングジム初の世界チャンピオンとなった川嶋勝重さん。21歳で入門後やめろと言われてもしつこく練習を続けて世界チャンピオンにまで登りつめた、まさに努力の人。会長いわく、「ずぶの素人が世界チャンピオンになるなんてあり得ない、奇跡は起こり得る」と－

－さて、大橋ボクシングジムの歴史を振り返ってきました。ここからは、一般の市民の皆さんが始めやすい「子どもや女性向けのプログラム」や「コラボ宿泊プラン」などについて伺います－

会長
子ども向けのプログラムをつくった理由としては、昔「世界戦」というと、日本人はテクニックで外国人に負けていたんです。それはなんでかというと、外国は子どものころからボクシングをやってる、日本も子どものころからやれば、必ず対抗できると思ったんです。今では、プロもテクニックで勝って世界チャンピオンになっていくんです。そうなるように目指したのが、「キッズボクシング」です。

会長
また、親御さんは子どもたちが殴り合うことを心配します。そこで、殴り合わない「エアーボクシング」をつくったんです。直接当てないで、空手の形みたいに行って採点するんです。親御さんも安心してできる生涯スポーツを目指しました。女子ボクシングも殴り合いたくない場合は、「エアーボクシング」を勧めています。子どもや女性向けといった側面だけではなく、高齢者でもできるんです。実は、86歳のチャンピオンがいるんですよ。
「エアーボクシング」は、後楽園ホールで本格的にリングアナウンサーをつけて、チャンピオンを決めるんです。ベルトも作っているんですよ。

「横浜ベイシェラトン ホテル＆タワーズ【大橋ボクシングジム体験＆ステイプラン】」 

会長
横浜ベイシェラトン ホテル＆タワーズの支配人さまからお話をいただき、トントン拍子で、コラボレーションをすることになりました。＜フィットネスボクシングレッスン＞では、初心者や女性でも楽しめるボクシングとエアロビクス、 筋力トレーニングといったレッスンを「大橋ボクシングジム」で行います。また、＜八重樫東氏監修スペシャルボクシングレッスン＞では、八重樫東氏が監修した本格スペシャルトレーニングを「大橋ボクシングジム」で行います。
どちらのプランも、全くの初めての方でも参加してもらえるようなプログラムを用意しています。

八重樫さん
全くの初めての方が＜八重樫東氏監修スペシャルボクシングレッスン＞を希望してこられた場合は、基礎からのスタートになりますので、時間内に段階を経ながらできる範囲で、ボクシングの形づくりをしていきます。まずは、来ていただいた方に「ボクシングは楽しいんだよ」ということを覚えてもらわないといけないと思っていますので、そういったメニュー作りになると思います。
スケジュールが合えば、僕が直接、レッスン担当を行いますよ。

会長
緊急事態宣言を受けて、8月はジム自体（プロ選手以外）がお休みしている状況です。ですから、体験＆ステイプランでお越しの方は、ジムを貸切状態で使うことができます。今がチャンスです。ぜひ、ご検討ください！
－優雅なホテルに宿泊したうえに、未経験の皆さんがボクシングの楽しみを実体験できる「体験＆ステイプラン」について、会長自らご紹介いただきました－

「大橋ボクシングジムの未来像」

会長
まず常に世界チャンピオンを出して、強いジムであり続けることが一番でしょうか。そのうえで《青少年育成》としていじめ問題を未然に防ぐとか、《シルバー世代》の健康を守るとか、そういったことを「大橋ボクシングジム」が、横浜のシンボルとして広めていく、というのが夢ですね。
今後も柔軟に、いろいろな分野でコラボレーションしていきたいと思います。横浜市や横浜市スポーツ協会とも一緒に、なにかできるといいですね。

「横浜の子どもたちに向けたメッセージ」

八重樫さん
ボクシングに限らずスポーツは、実際にやると楽しいものだと思うし、競技としてやった時には勝った時の達成感だとか、いろんな感情とかが豊かになるものだと思います。今なら、お父さんお母さんがいろんな習い事をさせてくれる中で、これ楽しいなと思うものを見つけてほしいなと思います。それがスポーツだったらその子の人生って、もっと豊かになるんじゃないかなと思うので、何にでも、チャレンジしてほしいと思います。

会長
身体を動かすことは子どもの時は大事ですよね。
身体ばっかり使ってもダメだし、その逆で頭ばっかりでもダメで、どっちか一方にならずに、バランスよく頭も使って身体も使っていくのが、どの道を進むにしても一番基本になる、ということを伝えたいですね。

緊張の中で始まった取材でしたが、お二人のやさしい語り口が、こちらの緊張をほぐしてくださいました。やさしい中にも、芯が一本通っている『さすが世界チャンピオン』といったお二人のお話でした。

大橋ボクシングジム

〒221-0835　横浜市神奈川区鶴屋町1-7-12　ハウスプラン横浜ビル3・4階
TEL　045-314-1994
FAX　045-314-1995
利用時間　月 〜 土曜日 10:00 〜 22:00
利用時間　日曜日 10:00 〜 18:00
休館日　祝日・年末年始・夏期・自主興行日ほか

「横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ【大橋ボクシングジム体験＆ステイプラン】」

自粛期間が長引き運動不足が気になる方も、ボクシングファンの方にもご満足いただける2種類の宿泊プランです。ホテルから徒歩5分の「大橋ボクシングジム」での特別なトレーニング体験と、ホテルのシェフが腕を振るう「マッスルスムージー」や「参鶏湯雑炊」をご堪能いただける、 横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズだけの宿泊プランです。
八重樫さんの指導日程に当たった皆さんは、ラッキーですね。また、＜フィットネスボクシングレッスン＞は曜日指定がありますので、ご注意ください。予約など詳しいお問合せは直接ホテルに、電話などでお願いします。

【プラン概要】
■期間：～ 9月30日（木）まで
■朝食：オールデイブッフェ「コンパス」で“神奈川朝食”をお楽しみいただきます。
※神奈川朝食：三浦産の新鮮野菜や相模湾近郊で獲れた 本カマスの干物、湘南しらす、愛川町の卵、神奈川県横浜中華街の名店「大珍楼」の豚肉焼売など、地産地消の良質食材や名産品を取り揃えたこだわりのメニュー。
■客室：レギュラーフロア（10～19F）、ラグジュアリーフロア（20～23F）
■横浜ベイシェラトン スポーツクラブ利用料無料　※滞在中に限る
※記載料金には、サービス料（10％）・消費税が含まれます。
※写真はイメージです。

＜フィットネスボクシングレッスン＞
■横浜ベイシェラトン ホテル＆タワーズオリジナルボトルに入った シェフ特製「マッスルスムージー」付き
■料金：1泊朝食付きプラン　18,426円（税サ込）～

＜八重樫 東氏監修スペシャルボクシングレッスン＞
■横浜ベイシェラトン ホテル＆タワーズ オリジナルボトルに入った シェフ特製「マッスルスムージー」付き
■夕食：「大橋ボクシングジム」秘伝のレシピ、スタミナたっぷり「参鶏湯雑炊」とスペシャルサラダをルームサービスで
■料金：1泊夕朝食付きプラン　28,027円（税サ込）～
※2名1室の場合の1名あたりの料金

【予約・お問合せ】
横浜ベイシェラトン ホテル＆タワーズ
〒220-8501　横浜市西区北幸1-3-23
宿泊予約直通TEL　045-411-1133（9:00～20:00）
宿泊予約メールアドレス　reservation@ybsh.jp

※写真提供：大橋ボクシングジム、横浜ベイシェラトン ホテル＆タワーズ