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マンスリートピック

4月「コロナ禍における熱中症対策&グッズ紹介」

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4月のマンスリートピックは、横浜市スポーツ医科学センター診療部長の長嶋淳三先生に「コロナ禍における熱中症対策&グッズ紹介」と題して、寄稿していただきました。
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「コロナ禍における熱中症対策&グッズ紹介」

横浜市スポーツ医科学センター診療部長 長嶋淳三

昨夏のコロナ禍ではマスク装着により、呼気からの廃熱が妨げられ、熱中症を生じやすい状況が発生しました。基本的な熱中症対策は従来と同じですが、本稿では、マスク装着を前提とした対策品の紹介を追加し概説いたします。

熱中症とは、熱に中る(あたる)という意味で、暑熱環境によって生じる障害の総称です。
熱中症にはいくつかの病型がありますが、重症な病型である熱射病を起こすと、適切な措置が遅れた場合、高体温から多臓器不全を併発し、死亡率が高くなります。 学校の管理下における熱中症死亡事故は、ほとんどが体育・スポーツ活動によるもので、それほど高くない気温(25度~30度)でも湿度が高い場合に発生しています。
暑い夏には、体力の消耗が激しく、トレーニングの質も低下し、効果も上がりません。熱中症予防のため、夏の運動・スポーツには下記6項目の基本的注意が重要です。

 

1.環境の把握
厳密には熱中症指標計(湿球黒球温度計)を用いた環境把握が適切ですが、近年は気象庁やウェザーニュースなどの天気予報で、熱中症情報が得られます(図1)。屋外でスポーツをする場合はテレビやスマートフォンなどで、該当地域が「危険」となっている場合は中止することが賢明です。

図1.ウェザーニュースの熱中症情報における熱中症危険度の凡例

 

2.暑熱順化を心がける
実際のスポーツの現場では、環境条件や各個人のコンディションに合わせながら、発汗量や体温の上昇にも注意しつつ、暑さと運動に馴らしていくことが必要です。
高温環境に対して順化(7日から10日間かけて運動強度、持続時間を徐々に増加させてトレーニングを行う)することが重要です。暑熱順化の前後では汗で失われるナトリウム量に変化が生じます(図2)。

 

3.水分と塩分のこまめな補給
汗は体から熱を奪い、体温が上昇しすぎるのを防いでくれます。しかし、失われた水分を補わないと脱水になり、体温調節能力や運動能力が低下します。暑いときにはこまめに水分を補給しましょう。
また、汗からは水と同時に塩分も失われますので、水分の補給には0.2%程度の食塩と5%程度の糖分を含んだものが適当です。いわゆる市販のスポーツドリンクの摂取が有効です。

 

4.体重測定による自己管理
毎朝起床時に体重を量ることは、疲労の回復状態や体調のチェックに役立ちます。
また、運動前後に体重を量ると、運動中に汗などで失われた水分量が推測できます。体重の3%の水分が失われると、運動能力や体温調節機能が低下します。運動による体重減少が2%を超えないように、こまめに水分を補給することが有用です。

 

5.服装の注意
皮膚からの熱の出入りには衣服が関係しています。熱中症予防のために、暑いときのスポーツでは服装は軽装にし、吸湿性や通気性のよいメッシュ素材のものなどにしましょう。屋外で直射日光がある場合には帽子の着用が有効です。
また、防具をつけるスポーツでは、休憩中には衣服をゆるめてできるだけ熱を逃がし、円滑な体温調節を助ける工夫が必要です。市販の保冷剤を用いたクールスーツ・ベストなどの使用も有用です(図3)。携帯型扇風機(図4)やランニング用のマスク(図5、6)なども販売されていますので活用が勧められます。

図3 図4

図5 図6

 

6.体調不良時は休む
体調が悪いと体温調節機能も低下し、熱中症につながります。疲労、発熱、かぜ、下痢など、体調の悪いときには無理に運動しないようにしましょう。
また、暑さへの耐性は個人によって大きな差がありますが、肥満の方や、高齢者は暑さに弱いのでとくに注意が必要です。

参考文献:Influence of acclimatization on sweat sodium concentration. JR, Wilson CG.J Appl Physiol. 1971 May;30(5):708-12.

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コロナ禍で迎える2度目の夏。
感染予防対策をしながら身体を動かして、気分転換を行い、この夏を乗り切りましょう!!
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