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3月「古澤拓也選手(車いすバスケットボール)」

車いすバスケットボール日本代表として活躍している、横浜出身のパラアスリート古澤拓也選手に、ご自身がプレーする「車いすバスケットボール」について語っていただきます。

古澤拓也選手(ふるさわたたくや)プロフィール
平成8年5月8日生まれ、横浜市出身。
所属チームは、パラ神奈川SC(スポーツクラブ)。
平成20年12歳の時に二分脊椎の合併症(脊髄空洞症)により車いすユーザーになる。13歳の時、横浜ラポールの事業として開かれていた車いすバスケットボール教室を体験し、車いすバスケットボールを始めた。
高校2年生でU23日本代表に選抜され、2017年U23世界選手権4位。大学2年生から現在まで日本代表強化指定選手に選ばれ、2019年アジアオセアニアチャンピオンシップス(タイ)4位などの成績を修めている。
今春、桐蔭横浜大学を卒業。

 

【車いすバスケットボールとの出会い】

質問 古澤拓也選手が、車いすバスケットボールを始めるきっかけは、いつ、どんなことからですか。
古澤拓也選手(以下、古澤選手) 小学6年生の時に母が地域の障害者スポーツセンターである横浜ラポール[※1]で車いすバスケットボールの体験会を見つけてきてくれたことがきっかけです。最初は、乗り気ではなかったし、バスケットボール自体をプレーしたことがなくて難しかったですね。
でも、出来ないことに対する「負けず嫌い」の性格を発揮して、しだいにのめり込んでいきました。

[※1] 横浜ラポール:障害者スポーツ文化センター 横浜ラポール(横浜市港北区)

 

【古澤選手のプレースタイルについて】

質問 ポイントガードとして、またシューターとして活躍されている古澤選手の魅力は「3ポイントシュート」だ、と思うのですが個人練習(トレーニングを含む)でがんばっていることはありますか。
古澤選手 最近の個人練習では、自分が嫌いな持久系のトレーニングに取り組んでいます。疲労が蓄積した後のシューティング練習に切り替えたことで、よりゲームに近いトレーニングを行えるようになりました。
また、ガード[※2]というポジションであり、ボールハンドリングがストロングポイント(強み)であることから、ドリブル系のトレーニングにも比重を置いて取り組んでいます。

[※2] ガード:バスケットボールのポジションの一つ。主にボール運びや試合の組み立てなどを行い、チームの司令塔の役割を担う。

質問  車いすバスケットボールをするときに欠かせない競技用車いすの規定の中で、「古澤選手モデル」として、プレースタイルを生かせるように仕様を変えているところ(特徴など)はありますか。
古澤選手 僕のこだわりは、ターンの速さやクイックに動くことなので、ほかの選手に比べるとコンパクトに作っています。

質問 ライバル選手はいらっしゃいますか。その選手に負けたくないところは、どんなところですか。
古澤選手 最近では、ライバルと思う選手は考えたことがなく、どの選手にも勝ちたいと思っています。また、自分自身に負けないように(苦しいトレーニングに負けない、など)しています。

質問 以前の取材では、『東京パラリンピックに出場し、金メダルを取る!』と話されていました。その気持ちが芽生えてきたのは、いつ頃、どのようなきっかけでしたか。
古澤選手 東京パラリンピック代表を意識するようになったのは、初めて出場したトルコで開催されたU23世界選手権[※3]がきっかけです。各国のジュニア世代の選手の中にも、すでにシニアの代表でデビューしている選手が多く出場しており、自分との実力の差を肌で感じました。ここでも「負けず嫌い」を発揮して、将来は『絶対パラリンピックで勝つぞ』と思うようになりました。

[※3] U23世界選手権:「2013アダナU23男子世界選手権」(2013.9.5~9.15、トルコ・アダナ開催)は、古澤選手が17歳の時に出場した国際大会。日本は、参加12チーム中9位。

質問 古澤選手の将来の夢や抱負など、お答えください。
古澤選手 僕は車いすユーザーになった時に当時北京パラリンピックで活躍していた国枝慎吾選手(車いすテニス)を見た事で、憧れを抱きパラスポーツを始めました。将来僕と同じように、車いすユーザーになった家族や子どもたちに、「車いすでもこんなに楽しくしていられるんだ」「大学にもいけるんだ」という希望を持ってもらえるロールモデル[※4]になりたいなと思っています。

[※4]ロールモデル:手本となる人物のこと、具体的な行動や考え方の模範となる人物のこと

 

【車いすバスケットボールとは】

質問 オフェンス面、ディフェンス面、チームプレーなど、全体を通して、車いすバスケットボールを知らない方に向けて「車いすバスケットボールットボールの魅力」を伝えてください。
古澤選手 車いすバスケットボールでは、障害の有無や男女等関係なく公平に戦うことができるパラスポーツの中でも数少ないインクルーシブなスポーツという魅力があります。また、クラス分け制度が導入されていることから、障害の重い選手から軽い選手までが、公平に試合に出場できる仕組みとなっています。この仕組みによって、選手一人一人へリスペクトできる状態になっていることが魅力です。

 

皆さん、いかがでしたでしょうか。
10代から、日本代表として活躍されている古澤選手。国内だけではなく世界の中でいかに活躍するのか、そのためにどこをアピールするのかについて、ご自身の特徴を生かし探求されていることを、垣間見ることができました。
車いすテニスの国枝選手に憧れたタイミングで、思いがけず体験することになった「車いすバスケットボール」。
その魅力に取りつかれ、「負けず嫌い」の性格と相まって、今のプレースタイルを確立していらっしゃいます。障害のあるなしに関わらず、スポーツを実際に行う機会(チャンス)がたくさんあることが、スポーツを始めるきっかけとして大切なのだと、古澤選手の実体験からもわかります。

そして、そんな体験をした古澤選手自身は『東京パラリンピックに出場し、金メダルを取る!』という目標に向けて、コツコツと地道な努力を続けることで、『未来の子どもたちのお手本になりたい』と話してくださいました。

車いすバスケットボール
車いすバスケットボールのルールは、一般のバスケットボールのルールとほぼ同じで、1チーム5人の選手がボールを奪いあい、一般の競技と同じ高さ(3.05m)のゴールにボールを投げ入れて、得点を競います。スピードや俊敏性、持久力に加えて、車いすを操作する技術などが決め手となります。 また、ゲームは10分のピリオドを4回行います。第1ピリオドと第2ピリオドの間、第3ピリオドと第4ピリオドの間、それぞれ2分間のインターバルがあり、第2ピリオドと第3ピリオドの間のハーフタイムは、10分または15分です。
― 一般社団法人日本車いすバスケットボール連盟 ホームページ参照 ―

最後に、【YouTubeチャンネル】社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団に掲載中の動画で、古澤選手によるトップレベルのハンドリングテクニックやチェアワークをご覧ください。