vol.65「近畿総体」
7月29日(水)から8月2日(日)まで、和歌山県紀三井寺公園陸上競技場で開催された近畿総体(インターハイ)に行ってきました。いつもは最終日を待たずして帰るのですが、今年は私の出身高校である横浜市立南高等学校から女子100mハードルの選手が出場していたので、最終日にあるハードル種目の応援も兼ねて全日程観に行きました。
そして、私の後輩はなんと見事に5位入賞!行ってよかった。
横浜市勢の活躍はというと、残念な結果でした。男子の入賞はなんとゼロ。女子は100mハードル金井さん(横浜南高校)と5000m競歩の乾さん(希望が丘高校)の2名。寂しい。
神奈川県としては川崎市の川崎橘高校や法政第二高校、小田原市の相洋高校が全国的に強く、今年も多くの入賞者を出していました。
横浜市勢、来年はがんばろう!来年は優勝候補もいますし。
さて、高校総体の戦いは非常に熱い戦いが繰り広げられたのですが、気温も暑かったです。大会期間中、気温34度と放送がありました。直射日光のあたるところでは体感温度はさらに高かったことでしょう。今年の夏も暑いですね。毎年暑くなっているような感覚になりますよね。
高校総体期間中、私の知る限りで熱中症や脱水症と思われる選手が救急車で搬送されるのを4回は見ました。ゴールのあと、全力を尽くした選手がバタバタと倒れこみ、タンカや車いすで、足りない時は担がれて運ばれていきます。死力を尽くして限界まで頑張りぬく若き高校生の姿は感動を覚えますが、少し心配です。猛暑の中、観ている観客も含めて熱中症や脱水には気をつけなければなりません。
この高校総体、今回もですが7月終わりから8月の初めに毎年開催されています。毎年猛暑の中、熱戦が繰り広げられているのですが、大きな事故があったということはあまり聞いたことがありません。今回、救急車で搬送された高校生も大丈夫であったと聞いています。これって実はすごいことなのではないかと思います。気温34度を超える中、5000mを全力疾走なんてやっているのですからね。
大会側が万全の準備をされていること、熱中症への知識や理解がある程度認知されていることが大きな事故を未然に防いでいるのだと思います。
前に一度、水分補給についてお話をしましたが、こういう話は何度しても良いと思いますので、今回は熱中症が疑われるとき、どう対処したら良いのかについて考えていきましょう。
猛暑の中でスポーツするときなど、正しい知識を持つことが非常に大事なことです。熱中症でも生命の危険に及ぶこともあります。特に夏の屋外でのスポーツ場面では頻繁に起きる事象です。決して軽視せず、正しい対処法を覚えておきましょう。
まず、熱中症の症状ですが、現在はⅠ度からⅢ度に分けられています。
Ⅰ度 熱失神・熱けいれん
症状:気分が悪い、めまい、失神、筋肉痛、硬直、こむら返り、大量の発汗など
Ⅱ度 熱疲労
症状:強い疲労感、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、倦怠(けんたい)感、脱力感、発汗、高体温(39度くらいまで)など
Ⅲ度 熱射病
症状:意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温(40度以上)、汗はかかない
Ⅲ度のような症状が診られたときは病院に搬送しなければなりません。
熱中症の疑いがあったなら、まず、以下のような対処をしましょう。
①意識があるか。目が見えているか、うつろではないか。
名前を読んだりして意識があるか確認します。指などを示して見えているか、それを追えているかも確認します。
②汗の量を確認します。そして体温を確認。
汗をかいておらず、高体温ではないか。
③身体を冷やします。冷やす箇所は、首(頸動脈)、わきの下や脚の鼠蹊(そけい)部。
後頭部など頭を冷やしたいところですが、大動脈の通っている首やわきを冷やします。
④水分をとらせる。
なるべくナトリウムが入っているドリンクを選びましょう。1リットルあたり9gの生理食塩水が推奨されています。
採れない場合は点滴をしなければならない場合があります。
⑤風通しの良いところでもたれさせ、安静に。
必要に応じて、うちわなどであおいであげます。
意識がない、異常な高体温、強いけいれんなどが見られたら躊躇することなく救急車を呼びましょう。
まだまだ暑い日が続きます。夏休みも真っ只中、こまめに水分補給をして熱中症対策をして夏のスポーツを楽しみたいですね。
1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。
元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。
現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。
2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。
また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。
1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。
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