vol.149 やり投げトレーニング
11月30日(土)、26年ぶり3度目の日本一となった横浜DeNAベイスターズの優勝パレードが実施されました。横浜ハンマーヘッドから日本大通りの約1.5キロに30万人もの観客が沿道に集まり大盛況でしたね。リーグ3位からのクライマックスシリーズ、ファイナルステージ、そして日本シリーズと横浜は大変な盛り上がりでした。
そして、野球で横浜と言えば、横浜高校。25日に開催された明治神宮大会の高校の部でこちらは27年ぶり2度目の優勝を果たしました。明治神宮大会は、秋の高校日本一を決める大会です。横浜高校は、1年生の活躍が目立ちましたね。
横浜高校の1年生に私が古くからお世話になっている、先生の息子さんが所属していて、レギュラーとして活躍しています。彼は、小学生、中学生と野球と並行して陸上競技をやっていました。走り幅跳びと、ジャベリックスローの選手で、全国でも入賞し、陸上競技でも活躍していました。選抜も頼みますよ!!
ジャベリックスローは、小学生用のプラスチック製の短いヤリのようなジャベリックをより遠くまで投てきする競技です。小学生や中学生は、基礎体力や投動作の取得のために、陸上競技を並行して競技をすることは珍しいことではありません。ジャベリックスローに関しては、2011年11月のダッシュ(Vol.20)でも紹介しました。
最近も、このジャベリックスローのことを、「聞いたことがある」という人がいるかもしれません。現在ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸選手がこのジャベリックを投げるトレーニングを実施しているということで話題になりましたね。現在は、ジャベリックは野球トレーニング用に改良され、「フレーチャ」という名称で、WBCの日本代表選手の投手も練習に取り入れられています。
やり投げは、一見野球の投げ方と同じように見えますが、より遠くに投げるヤリの投げ方と、スピードやコントロール、チェンジアップや変化球など多岐にわたる野球の投げ方とは、投法が多少異なります。
やり投げは、肘を下げす、助走があるが故の下半身の高い反発力を利用し、Cカーブと言われる身体のしなりを最大限に利用します。リリースのポジションやひじの位置など違いはありますが、共通点も多く、やりの投げ方が野球の投球動作の良いトレーニングになるのだと思います。
パリオリンピックで北口榛花選手(JAL)が金メダルを獲得し、やり投げは、注目されていますよね。北口さんは、10月13日、北海道のエスコンフィールドで日本ハム対ロッテ戦の始球式を務め、見事なストライク投球を見せてくれました。もちろん本気では投げていませんでしたが、本気で投げればかなりの球速が出せそうです。
やり投げ選手の始球式では、2009年ベルリン世界選手権で銅メダルを獲得した村上幸史さんが球速144キロ、パリオリンピック日本代表のディーン元気選手(ミズノ)も球速139キロを記録しています。村上さんは元々野球をやっていましたが、ちゃんと野球の投げ方の練習をしたら2人とももっと速度を出せるのでしょう。
やり投げのみならず、陸上競技のトレーニングは、身体運動的に基礎中の基礎の動きです。同じ動きを正確に着実に地道にこなしていきます。競技中は、失敗してしまった動作は、成功や勝利には、ほとんど繋がりません。0.1秒以下のタイミング、1センチ以下の精度を毎回求められる競技です。
小学生や中学生の運動を習得する時期に、基礎の動作を実施することは、必ず他の競技にも役に立ちます。近年、こうした基礎的運動能力開発のための陸上競技教室も増えています。将来の大選手を目指して陸上教室にチャレンジしてはいかがでしょうか。
1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。
元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。
現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。
2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。
また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。
1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。
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