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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.80「箱根ジュニア」

 

 10月15日(土)立川の昭和記念公園で2017年正月2日、3日に開催される箱根駅伝の予選会がありました。

 

 私が監督をしている法政大学は、今年の箱根駅伝で19位の成績でしたので予選会に出場しなければなりません。

 

 皆さんご存知と思いますが、箱根駅伝本戦の10位まではシードとして次回の箱根駅伝に出場できますが、それ以降の大学はこの予選会を走って10位以内に入らねばなりません。

 

 うちの下馬評はあまりよくありませんでしたが、何とか総合4位で箱根駅伝の切符を得ることができました。

 

法政大学
 

 

 今予選会では、87回連続出場をしている中央大学がわずかに44秒差で本戦出場を逃してしまいました。中央大学は昨年も出場が危ぶまれていましたが、今回とうとう予選会敗退となってしまいました。我々関係者にとっては中央大学のようにかつて上位常連で優勝経験もある古豪が、予選会敗退することは衝撃的な出来事です。

 

 総合結果は各大学が12名ずつ20キロを走り、そのうちの上位10名の合計タイムで争われます。トップ通過は大東文化大学、2位通過は明治大学でした。この2校は安定して選手が上位でゴールし、総合力の勝利でした。

 

 予選会の戦い方は、襷をつなぐ駅伝とは違い一斉にスタートするのでその戦略も変わってきます。あるチームはエース選手にできるだけ前に行かせてタイムを稼ぎます。たとえば、ギリギリ10位通過ではありましたが、日本大学は外国人留学生が1位、チーム2番目も7位と、大きくアドバンテージを得ます。1位のワンブイ選手は、20キロを58分15秒で走りました。うちのエース足羽は2分近く離されてしまいました。この戦略、チームの戦力差があるときに有効なのですが、上位は安心して観られる反面、後ろがかなり離されることがあり、今回の日本大学のようにハラハラさせられます。

 

 集団走をする大学もあります。集団走で有名なのは上武大学で、ペースを作って集団で走ります。大崩れしませんが、設定タイムを間違えると取り返しのつかないことになります。

 

 うちの作戦はチームを選手の力に合わせて3つの小集団に分け、それぞれにペースメイキングの選手をつけ、ペースを守っていく作戦をとりました。

 

 当日はかなり気温が上がり、難しい判断のレースとなりましたが、なんとか4位に入ることができました。これで2017年の正月も自宅でゆっくりとはいかなくなりましたが、箱根路を走れる喜びをかみしめながら戦いたいと思います。ぜひ応援していただけたら幸いです。

 

 さて、10月28日(金)から30日(日)には、新横浜の日産スタジアムでジュニアオリンピックという中学生の大会が開催されました。この大会と合わせてリレーの日本選手権が同時開催されています。リレーの日本一を決める大会です。

 

日産スタジアム

 

 

 法政大学は4×100mリレーで昨年、一昨年と優勝しており、3連覇がかかっていました。そして、今回の結果は優勝! 3連覇を果たしました。4年生が3名走っているので4連覇は難しいかもしれませんが、日本代表リレーチームをコーチしているものとして恥ずかしくないレースをしたいと思います。ちょっとだけ自慢してしまいました。すみません。

 

集合写真

 

 

 この大会は中学生と日本のトップが同じ競技場でレースを行う数少ない大会です。来年も日産スタジアムで行われる予定です。興味のある方はぜひスタジアムにいらして観戦していただけると嬉しいです。

 

 陸上競技は、これでおおむねトラック競技の大会が終わります。これからはロードレースや駅伝のシーズンです。市民ランナーがチームを組んで出場できる駅伝も多いです。チームを組んで出場するロードレースも面白いですよ。エントリーしてみたらいかがですか。実は私も駅伝に出場したことがあるんですよ。この話はまた。

 

 

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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