vol.148 第78回国民スポーツ大会
10月5日(土)から15日(火)に佐賀県で開催された第78回国民スポーツ大会(国スポ)に行ってきました。この大会は、昨年までは「国民体育大会(国体)」という名称でしたが、今年から「国民スポーツ大会」に変更されました。
この名称変更は、スポーツ基本法の1部改定(2023年1月1日)によって定められており、「国民スポーツ大会」となりました。今まで長く「こくたい」と呼んでいたので「こくすぽ」には、まだ慣れません。英語表記も「JAPAN GAMES」となりました。
広義の意味での「体育」は、スポーツも含まれた身体活動や身体的活動を概念としますが、狭い意味では、身体を育成するという教育の側面が強調されます。一般的には、「体育」ではなく「スポーツ」としたほうがわかりやすく適切なのでしょう。
かつて10月10日で固定されていた10月第2月曜日の「体育の日」も2020年から「スポーツの日」になりましたよね。10月10日体育の日は、1964年に開催された東京オリンピックの開催日を記念した国民の祝日です。この日に運動会が開催されることが多かったですが、今は、春に運動会がある学校が多くなっています。
スポーツ基本法によると、スポーツは「心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心、その他の精神の涵(かん)養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動であり、今日、国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のもの」と定義されています。
国スポは、国内最大級のスポーツ大会で、国体の時代から、大会の肥大化、開催地の多大な負担や、開催地優勝主義によるひずみなど多くの問題が指摘されてきました。大会後の問題も残ります。
しかし、いざ訪れると、よい大会であることが伝わってきます。中学生から成人まで幅広い世代が参加し、大変盛り上がりますし、開催地のアピールや地域活性化にもつながります。改革やスリム化は必要かもしれませんが、継続していただきたい大会です。
さて、国スポの都道府県対抗ですが、男女総合の天皇杯、女子総合の皇后杯とも優勝は東京都で、開催地の佐賀県が2位、神奈川県は、天皇杯6位、皇后杯が8位という成績でした。
競技別の陸上競技単体では、天皇杯優勝が京都府、皇后杯優勝が大阪府で、神奈川県はそれぞれ10位、9位でした。少し苦戦した印象ですが、女子は、昨年15位でしたので大きく躍進しました。
横浜市関係者の成績は、中央大学附属横浜高校出身の吉川絢斗選手(サンベルクス)が成年男子10000m競歩で2位、保土ケ谷高校の及川集雅選手が少年共通5000m競歩で5位、横浜緑が丘中の赤井遙斗選手が少年B110mハードルで8位、女子では、成年女子400mハードルで磯子高校出身のイブラヒム愛紗選手(成洋産業)が4位に入りました。
横浜市の陸上競技選手は、競歩とハードルが活躍する印象がありますね。国スポの少年Bは、中学3年生と高校1年生が出場できます。中学生での入賞は立派です。
確定ではありませんが、2021年に新型コロナウイルス感染症の拡大により残念ながら開催中止となってしまった三重県大会の開催が2035年に検討されています。この三重大会が実現すれば、国スポ2巡目が終わり、3巡目に突入します。
国スポの開催予定地は、2034年の開催地まで決まっています。来年の国スポは滋賀県で開催される予定です。国スポに対する多くの見直しや検討事項はあると思いますが、サステナブルな大会として、参加する人、関係する人、そして地域の人に有益な大会となってほしいものですね。
1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。
元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。
現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。
2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。
また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。
1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。
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