vol.146「神奈川県高校総体」
2024年5月18日(土)、三ツ沢公園陸上競技場で開催された高校総体神奈川県予選に行ってきました。高校総体の神奈川県予選とは、全国高校総体(通称・インターハイ)の県の予選会で、ここで6位に入賞すると6月に開催される高校総体南関東地区大会に進出できます。
南関東大会は、東京都、千葉県、山梨県、そして神奈川県の4都県で争われ、南関東大会で6位に入賞すると、全国高校総体の出場権を得られることになります。
関東は、北と南に分かれています。北関東は、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県の4県で、他の地区は、北海道、東北、北信越、東海、近畿、中国、四国、北九州、南九州があります。この11地区の6位入賞までが、全国高校総体に進めることになります。全国高校総体は、毎年開催地が変わります。今年は福岡県で開催されます。
したがって、この神奈川県大会は全国高校総体を目指す高校生によって、大事な大会ということになります。県大会に出場している選手は、神奈川県大会の前にも横浜市など支部の大会を経ています。全国への道のりはなかなか厳しく長い道のりなのです。
さて、県大会が終わり、これから南関東地区大会(今年は東京都で開催)なのですが、南関東地区予選のリレー種目がかなり熱く、有名となっています。特に4×400mリレーの決勝は、盛り上がりもレベルも全国大会さながらで、ここを勝ち上がるチームは全国でも必ず活躍できると言われています。
実際、昨年2023年の全国高校総体の成績では、4×100mリレーで男子が、千葉県の市船橋高校が優勝、神奈川県の相洋高校が3位、6位には保土ケ谷高校が入りました。女子も、2位に市立船橋高校、5位に神奈川県の東海大相模高校、6位に相洋高校と、男女とも3校が入賞しています。
4×400mリレーでも、男子が、2位に相洋高校、8位に市船橋高校、女子も2位に市船橋高校、3位相洋高校、そして、8位に神奈川県の法政二高校が入賞しました。
2022年も2021年も、男女両リレーすべてに南関東地区で勝ち上がった高校が優勝や入賞を果たしています。このような地区はほかにありません。
このリレー種目、小学校の運動会で走られたことがある方もいらっしゃると思いますが、大抵は、イベントの最後に行われ、大変盛り上がりますよね。オリンピックや世界選手権でも4×400mリレーが最終種目になることが多いです。陸上競技は基本的には個人種目が中心ですので、大会の最後を飾るリレーは大変盛り上がりますし、リレーでの勝利は格別のものがあります。
リレー競争のルーツは、19世紀末のアメリカの競技会と言われています。紀元前にも聖火リレーの起源となる「たいまつリレー」のような競技もあったようなのですが、今の形式のようにバトンをもって行うリレー競争は、アメリカ・ペンシルバニアのリレーカーニバルが最初のようです。このリレーカーニバルは、ペン・リレーといって、現在でも続く超名門競技会です。第1回大会は1895年に開催されています。日本代表リレーチームも何度か走っています。
日本でリレー競技が最初に開催されたのは1913年で、リレー競技は「継走」と言われていました。現在でも4×100mリレーのことを「4継(よんけい)」というのはこの名残です。
ペン・リレーの第1回大会当時はバトンではなくタッチであったようです。そして、種目は4人で1マイルを走るリレーでした。1マイルは1609mなので1人約400mを走ります。現在の4×400mリレーが「マイルリレー」とも呼ばれているのは、ここからきています。
6月の南関東地区大会を勝ち抜けると、8月には全国高校総体があります。南関東を勝ち抜いた高校の活躍が今から楽しみです。
同じ時期にパリ・オリンピックが開催されます。日本代表は、5月に開催された世界リレー選手権で、男子4×100mリレーと男子4×400mリレーで出場枠を獲得しました。
女子4×100mリレーと、男女混合4×400mリレーは世界リレーでは出場枠できませんでしたが、世界リレーで16枠中14枠が決定し、残り枠があと2枠あります。残りの2枠は、6月末までの記録の世界ランキングによりで選出されます。かなり厳しいのですが、わずかに可能性は残っています。
パリ・オリンピックの日本代表選手は、個人種目、リレー種目とも、6月末の日本選手権で決定します。男子4×100mリレー、4×400mリレーともにメダル獲得を目指しています。狙える位置にいると思います。
私は、リレーコーチではなくハードルコーチとしてパリ入りします。日本代表選手の活躍はもちろんですが、横浜市の高校生の活躍の情報も気になりますので、現地で情報を入手し、応援したいと思います!
1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。
元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。
現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。
2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。
また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。
1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。
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