vol.143「2023年のトラックシーズンが終わりました」
少し前の話となってしまいますが、2023年10月7日~17日、鹿児島県で特別国民体育大会が開催されました。国民体育大会は「国体」という名称で世間一般では通っていると思います。
今回の国体は、神奈川県は天皇杯総合9位・皇后杯総合15位という結果でした。横浜市関係者では、残念ながら3位以内入賞者はいませんでした。4位ですと、成人男子砲丸投げで十日市場中学校出身の山田暉斗選手(法政大)、少年共通5000mWで保土ケ谷高校の守屋海斗選手、そして少年女子B100mで茅ケ崎中学校の望月美希選手がいます。少年女子Bとは、中学3年生と高校1年生の部で3位まで高校生でしたから望月さんは実質中学生で全国1位ということになります。将来が楽しみですね。
今回の鹿児島県での大会が国民体育大会として最後の大会となります。来年からは「国民スポーツ大会」と名称変更し、佐賀県で開催が決まっています。
近年「体育」という言葉を使用しなくなりました。体育というと学校教育のイメージが強いですし、2020年から「体育の日」も「スポーツの日」になったり、「日本体育協会」も「日本スポーツ協会」になったりしていますから、それに合わせる感じで国体も名称変更となりました。「横浜市スポーツ協会」も2020年4月1日に「横浜市体育協会」から名称変更しています。このハマスポでもトピックスがありましたよね。
国体は「国民体育大会の」の「国」と「体」で「国体」でしたが、これからは「国スポ」となるようです。今は「国体」の方がしっくりきますが、きっといずれ慣れてきますよね。
国体の前の10月7日(土)・8日(日)には、国立競技場で日本選手権リレーがありました。今年も「みんなでつなごうリレーフェスティバル(リレフェス)」の中で開催されました。
仮装リレーや家族リレーなど、さまざまなリレーが用意されて大変盛り上がりました。もっと認知されれば大きなイベントになると思います。
日産スタジアムでも実施してほしいですね。
日本選手権リレーでは、横浜市のチームではありませんが、神奈川県の相洋高校が4×400mリレーで男女とも決勝に残る快挙を成し遂げました。特に男子は高校生チームが出場するだけでも凄いことです。
時系列が前後してしまいましたが、11月3日には私の指導する法政大学と関西の名門・関西大学の対抗戦がありました。
実はこの大会、今回で第100回を迎えました。なんと第1回目の開催は1924年(大正13年)5月31日で、日本学生陸上競技連合の発足(1928年)より早いのです。ちなみに箱根駅伝は1920年(大正9年)に開始されましたが、中止などがあり2024年で同じ第100回大会を迎えます。
2大学の対抗戦というと、近代陸上の原点ともいわれる「オックスフォード大 対 ケンブリッジ大対校戦」があります。イギリスのオックスフォード大学とケンブリッジ大学の対校戦は、1864年3月5日に第1回大会が開催され、世界最古の対校戦と言われています。
日本では、早稲田大学と慶應義塾大学の対抗戦「早慶対抗陸上競技会」(対校ではなく対抗)が最も古く、法政大学 対 関西大学対校戦よりも1年早い1923年(大正12年)7月15日に開催されたという記録が残っています。第1回大会が開催された1924年(大正13年)というと、関東大震災の翌年ですし、1941年からの太平洋戦争中では、大会は中止となり、学徒出陣によって両校の学生が戦地に赴いています。両校の陸上競技部の学生も戦地へ向かいました。この学徒出陣も1943年なので80年の節目となります。
この大会は関東と関西の大学での対抗戦なので、1年ごとに東京・大阪での開催としています。今でこそ新幹線などの交通網が発達しておりますし、ホテルもたくさんありますが、開催当時は移動や宿泊はどうしていたのか、東海道線で何時間もかけて移動していたのか、旅館はあったのかと、想像するだけで大変さが伝わります。このような大変な時期を乗り越えて100年もの間、関東と関西の大学が対抗戦を令和まで継続していることは、関係者でありながら誇りに思います。この大会を大切に築いてこられた先輩諸氏、関係者の皆様に敬意を表します。
さて、トラックシーズンが終わり、ロードレース、駅伝レースのシーズンとなりました。我々は箱根駅伝に向けて調整時期に入っていますが、その前に全国高校駅伝があります。
高校駅伝は12月24日(日)京都府で開催されます。神奈川県の女子代表は鶴見区にある白鵬女子高校です。白鵬女子高校は、県大会を制し3年連続の出場を果たしました。昨年(2022年)は5位に入賞しています。今年も関東大会で優勝し、調子が良さそうです。期待したいですね。
1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。
元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。
現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。
2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。
また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。
1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。
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