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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.142「第19回アジア競技大会」

2023年9月23日から10月8日まで中国・杭州市で第19回アジア競技大会(通称:アジア大会)が開催され、私も杭州に行ってきました。
この大会は2022年に開催予定でしたが、コロナウイルス感染症の世界的な拡大により1年延期しての開催となりました。

アジア大会は4年に1度…オリンピックと同じ間隔で開催されます。通常はオリンピックの2年後に開催されていて、2年おきにオリンピック・アジア大会となります。

アジア大会はその名の通りアジアのトップを決める大会で、オリンピックと同じように多くの種目が開催されます。
世界選手権という名のつくものはその競技しか開催されません。アジアといっても45の国と地域が参加しますのでかなり大きな大会といえます。

皆さんは、アジア大会はオリンピックよりも実施競技が多いことをご存じでしょうか。
オリンピック33競技(東京2020)に対して40競技が開催されました。珍しいところではカバディやセパタクロー、ドラゴンボートなどがあり、マインドスポーツという分野ではeスポーツや囲碁、チェスなども実施競技としてあります。

eスポーツを現地のテレビで観ましたが、高度すぎてついていけませんでした。
オリンピックでは観ることのできない日本代表の競技を応援できるのはなかなか新鮮です。マインドスポーツのブリッジに、私の出身高校のひとつ下の後輩が出場されていて驚きました。そしてなんと銅メダルを獲得されていました。

今回のアジア大会の開催された杭州に私は1986年に訪れたことがあります。
横浜市は今から50年前の1973年に上海市と友好都市として締結されたのですが、この上海市とのスポーツ交流事業として横浜市内の高校生が上海市を訪問し、上海市の高校生と陸上競技の対抗戦をしたのです。

この対抗戦のあと、電車で杭州市に向かい西湖などを観光した記憶があります。
当時は、趣や風情のある風景などには興味ありませんでしたが、今考えるともっと堪能しておけばよかったです。当時のことをそれほど鮮明に覚えているわけではありませんが、現在の杭州市の市内はビルが立ち並びかなり近代化が進んでいるようです。

選手村もビル街となっておりますが、Google Mapだとまた空き地です。そこに巨大なビルが建ち、地下鉄まで通っています。
中国の発展のスピードは目覚ましいと再認識しました。

アジア大会の選手村は、新築の分譲マンションを使用しています。
アジア大会が終了後、パラのアジア大会があり、その後売りに出されるそうです。
東京オリンピックの選手村もそうでしたね。東京オリンピックの選手村は完売だとか…。

選手村は快適でした。部屋は清潔に保たれていましたし、食事も悪くなかったです。そして、ボランティアの方々が素晴らしかったですね。今回、中国に遠征するということで例の処理水問題で何かあるのではと思いましたが、まったくその気配はありませんでした。

ただ、競技会場では日本人選手に拍手が少なかったり、国旗掲揚時に起立せず座ったままの観客を目にしました。しかし、こうした態度をとるのは一部の人たちで多くの方々は好意的だったように感じました。

こうした競技会は政治が絡まないと開催すらできませんし、すべてを排除することはできないと思いますが、少なくとも選手たちには政治的影響がないように、そして政治的活動をしないようにしてほしいと願います。

…陸上競技のことを書くのを失念しておりました。
今回、陸上競技日本代表選手に横浜の関係者は残念ながらいませんでした。
それでも、私の担当したハードルブロックは、男子110mHで高山峻野選手が金メダル、女子100mHで田中佑美選手が銅メダルを獲得してくれました。ただ、もう一つくらいいきたかった…というのが正直な気持ちです。

次回のアジア大会は2026年でなんと日本での開催が決まっています。場所は名古屋です。
2026大会でのマインドスポーツはeスポーツのみのようで、ブリッジや囲碁、チェスは実施しないようです。新種目としてサーフィンやクラッシュなどが実施種目として予定されています。

日本でのアジア大会の開催は1994年広島以来となります。多競技種目を実施する大規模な大会としてはオリンピック以来ですね。
アジア大会のみで開催される競技種目もあり、いまから楽しみです。皆さんも応援するだけでなく、なじみのない種目に挑戦してみるのもいいかもしれません。競技人口の少ない競技もあるので今からでも代表を狙える種目もあるかもしれませんね!

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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