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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.138「WRk対象競技大会の設定」

 

 

2月4日(土)から5日(日)大阪府の大阪城ホールで、第106回日本陸上競技選手権 室内大会が開催されました。この大会は室内の日本選手権です。このダッシュでも紹介しましたね(vol.127「日本室内陸上」)。

 

 

この大会は、1月から始まったWRk対象大会となっています。このWRkとは、世界の陸上競技連盟にあたるワールドアスレチックス(WA)が決めたワールドランキングコンペティションという新しい制度です。

 

 

WRkというのは日本だけの略称で、ワールドランキングコンペティションが正式なのですが、WRCとすると略語で多く使用されているということで、WRkとなりました。kは小文字です。

このWRk対象大会とはWAの規定を満たし、WAに事前に申請した大会に世界選手権やオリンピックの参加資格に必要な標準記録の突破や、ランキングの対象記録を認めるというものです。つまり世界大会に出場するには、WRk対象大会で権利を得なければ出場することはできなくなりました。WRk対象大会以外の大会はカウントされません。WRk対象大会には、このマークが付けられます。

 


WORLD ATHLETICS HPより

 

何をいまさらと思われるかもしれませんが、これは記録の捏造、疑惑の記録をなくすことにもつながります。日本の競技場はかなり厳格な検定によって作られていますが、世界には多少規格や機器の精度に甘いところがありました。競技場の世界の規格も、最近になって厳しく決められるようになってきました。

日本の陸上競技場は、日本陸連の検定員が厳格に実測・審査を行い公認されていまおり、厳しい検定がなされています。世界の規定は日本の競技場規定を参考にしたと聞いたことがあります。

 

そういえば昔のことですが、私も海外で大会に出場した時に、「ほんとにこれで公認されるのか」と思うような競技場がありました。100m走の走路が「下ってるのでは」なんて疑われていた競技場もありましたね。

かつて、確かデンマークのオーフスというところの競技場で走ったことがありますが、その競技場は四角かったです。四角い形状のサッカーコートの外側にそのままトラックを作ったような感じで、「これで公認記録になるのか」と疑ったものです。現在は改修してしまったらしく四角い競技場はないそうです。

とにかく、「WRk対象大会で出した記録でないと、認めません」というのがWAの規定となりました。WRk対象大会となるには、規定に応じた器具、機器の使用が求められます。審判員の規定もあります。

 

ただ、このWRk対象大会でないと記録が公認されないというところまでは述べられていません。今のところは記録としては認められますが、今後どうなるかはわかりません。もしかしたら公認される大会すべてがWRk対象大会でないと認めないということにも発展するかもしれません。

WRk対象大会になるには、大会期日の60日前までに所定の手続きが必要で、申請費を支払い承認されなければなりません。今、日本だけでなく世界でたくさんの大会が申請されています。マラソンなどのロードレースも対象なので、かなりの大会がWRK対象大会となってくるでしょう。

WRk対象大会はWAのHPから調べることができます。

リンク先は日本の大会のみですが、Countryから選択するとほかの国の大会をみることができます。WRk対象大会では、競技終了後24時間以内に結果を申請するように決められていますので、大会の結果がすぐ出るので便利です。

結果の項目からは、出場した選手個人の獲得ポイントや世界の順位も確認できます。小さな記録会もWRk対象大会なら掲載されるので、もし出場したら自分の名前をクリックしてみてください。自分のポイントや世界の順位が掲載されていて面白いですよ。

過去のデータも掲載されているので、陸上競技を引退した方も検索してみてはいかがでしょうか。私の記録もありました。

 

横浜の話題がありませんでしたね。第106回日本陸上競技選手権室内大会では、横浜市関係者の入賞は少なかったです。女子60mHで松陽高校出身の鈴木美帆選手(長谷川体育施設)が5位入賞を果たしてくれました。

 


日本選手権 室内大会女子60mH決勝

 

ジュニアの部では、U18男子60mで茅ヶ崎中学校の米田和磨選手が2位に、U16男子60mで横浜都田中学校の佐々木寛大選手が5位入賞、同じくU16女子60mで港南中学校の三枝木結衣選手が7位に入賞を果たしました。将来が楽しみですね。

 

さて、2月12日(日)に市町村対抗の第77回かながわ駅伝が、3年ぶりに丹沢湖周回コースで開催されるので紹介しようと思っていたのですが、なんと積雪の影響で今年も中止となってしまいました。

今年はエキシビションで箱根駅伝出場大学が参加するなど、久しぶりの開催で盛り上がっておりましたが、残念です。

前回大会で優勝した横浜チームは、良いメンバーを揃えて連覇を目指していただけに、選手・スタッフ皆、心残りであると思います。複雑ですが、連覇は来年に持ち越しです!

ちなみに駅伝の大会はWRk対象大会ではありません。

 

 

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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