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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.130「全日本インカレ」

9月17日(金)から19日(日)にかけて、埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ公園陸上競技場で第90回日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)が開催されました。大学日本一を決める、学生陸上競技の最高峰の大会です。

大会は無観客で、新型コロナウイルス感染症拡大防止の対策がなされ、無事に開催されました。関係者皆さまの計り知れないご苦労があったことと思います。
我々も比較にならないほどの小さな規模の大会を主催することがありますが、小規模であるにもかかわらず、開催には神経を使いますから、このような大規模大会の開催は大変であったと思います。

熊谷スポーツ公園陸上競技場

 

横浜関係者では、このコラムでたびたび紹介している泉谷駿介選手(順天堂大学4年)が男子110mHで13秒29の好記録で優勝しました。2位に入ったのが私の指導する選手なので少し複雑ですが、まだまだ泉谷選手には及びません。
泉谷選手は、日本を代表する選手になりましたね。

そしてもう1人、女子3000m障害に優勝したのが、鶴見区にある白鵬女子高等学校出身の吉村玲美(よしむられいみ)選手(大東文化大学3年)です。
吉村選手は、出身中学校は茅ヶ崎市なのですが、高校は女子駅伝強豪校の白鵬女子高校に進学しました。2019年には世界選手権(ドーハ)で日本代表選手となっている実力者で、今回も9分41秒43の日本歴代2位となる日本学生新記録をマークする活躍をみせてくれました。今後注目の選手です。

 

泉谷選手、吉村選手ともに障害を越える種目ですが、障害走の選手で多い障害に「腰痛」があります。多くの選手が腰痛に悩まされています。ハードルを越える時、上体を前傾(ディップ)させつつ、脚(リード脚)を前方に振り出します。その時に大きな負担が腰にかかることから、腰痛を引き起こしてしまう選手が多いのです。

一般的に腰痛の原因は、筋損傷や運動性の腰痛、身体の歪みによるものなどもありますが、内臓に原因があったりストレスであったり原因がはっきりしないことも多く、慢性的な腰痛に悩んでいる方もいらっしゃると思います。

応急的には、腰痛ベルトが痛みを軽減しかなりの効果があると思いますが、根本が治っているわけではありません。ここでは、身体的なものを扱ってみましょう。

 

大事になるのはやはり姿勢です。姿勢が悪いと身体の歪みを発生してしまい、身体のかなめである腰部への負担も大きくなります。私も猫背で姿勢が悪いのですが、以下のことに気をつけています。

①座った時に足を組まない
②立つときは片足に重心をなるべくかけず、かけたとしても定期的に逆脚に変えて、同じ足でずっと片足立ちしない
③腹筋、(特に)背筋力の維持

①②は常時マスト、背筋トレーニングは弱ってきなと自覚してきたらたまにやる、くらいです。

 

走りや歩きの指導をする前に「良い姿勢」を指導することがたまにあります。
背中の湾曲をどれくらいにするのが良いか、腰(骨盤)の角度はどれくらいが適切かに関して、正座をさせて教えることがあります。

やり方はまず、普通の正座をして姿勢を正します。そしてそのままの姿勢を維持しながた立ち上がります。このとき立ちあがっても良い姿勢が保たれます。猫背にもならず、腰が入りすぎる反り腰にもなりづらく、良い姿勢が保たれます。

正座からの良い姿勢

 

すでに立った状態から腰を入れるように指示すると腰をそり過ぎてしまったり、お腹を前に突き出してしまったりとなかなかうまくできないことがあります。この正座から姿勢を作るのは、簡単ですし、感覚もつかみやすいのでぜひ試してみてください。

悪い姿勢

 

「正座」は膝には負担がかかることから、必ずしも良い座り方とは言えないかもしれませんが、腰の入れかた、正しい姿勢の作り方を覚えるには簡単で、適しているのではないかと思います。
たとえば、膝への負担を軽減し脚のしびれも抑える一つの方法として、正座をするときに、お尻の下とかかとの間に座布団などを折って挟むといいと思います。自宅でなら良いかもしれませんね。

近年、腰に負担がかかるということで体育座り(三角座り)が廃止される傾向にあると話題になっています。
我々にとっては、体育座りは学校では常識的な座り方でしたよね。それではどう座るのが正解なのでしょうか。さすがに正座ではないと思いますので、椅子の使用や、あぐら、片膝立て座りとなるのでしょうか。

 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大第5波が収束してきて、各区のスポーツセンターの施設利用や教室、イベントも再開してきました。
第6波がないことを祈りつつ、外での運動も増やしていきたいですね。
姿勢に気を付けて身体を動かしましょう!

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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