vol.119「松島・ラグビー」
1月28日(火)、ラグビー日本代表として昨年のラグビーワールドカップ2019™で大活躍した、桐蔭学園高等学校出身の松島幸太朗選手が、フランス1部リーグのトップ14で2度の優勝、11度の準優勝を誇る名門チーム、ASMクレルモン・オーヴェルニュへ移籍することが発表されました。
ASMクレルモン・オーヴェルニュですが、創設は1911年で、近年は優勝争いや上位の常連となっている強豪チームです。松島選手の契約期間は2022年6月までの2年間で、活躍が期待されます。
実は、松島選手が高校生の時に、走りを指導したことがあります。
同じ桐蔭学園高等学校ラグビー部出身で、フランスでのプロ経験のある四宮洋平氏のスプリントコーチをしていた時に「すごい選手がいる」と、松島選手を大学に連れてきたのです。
当時はまだ粗削りな動きでしたが、鋭い動きをしていたことを覚えています。専門外の競技ですが、少しでも関わったことのある選手が世界で活躍してくれるのはうれしいですね。
新国立競技場-外観-
さて、新国立競技場も完成し、イベントも開催されるようになってきました。私はまだ中には入ったことはないのですが、早くトラックの感触を確かめてみたいです。5月5日(火・祝)~6日(水・祝)に陸上競技のテストイベントがあるので、その時でしょうかね。
マラソンでは、MGCで東京2020オリンピック代表が男女2名ずつ決定し、残りの1枠を争うレースが展開されています。
女子では、1月26日(日)に選考レースとなる大阪国際女子マラソンが開催され、ダイハツの松田瑞生選手が五輪選考設定記録(2時間22分22秒)を突破する記録(2時間21分47秒)で優勝し、3人目の最有力候補として名乗りを上げました。
あとは、3月8日(日)の名古屋ウィメンズマラソンが控えています。ここで松田選手の記録を誰も上回らなければ、松田さんが代表に内定します。
男子は、3月1日(日)の東京マラソン、8日(日)のびわ湖マラソンで代表が決まります。男子の五輪選考設定記録は2時間5分49秒です。この2つのマラソンでその2時間5分49秒を突破した最上位記録の選手、突破した選手がいなければMGCで3位だった大迫傑選手が内定します。
陸上競技のその他の種目の東京2020オリンピックに参加する資格ですが(競歩など一部を除きます)、こちらは解りづらいので簡単に説明したいと思います。
2018年11月のコラム(vol.104)でポイント制のことを書きましたが、この時(2019年世界陸上競技選手権大会)、国際陸上競技連盟は採用を見送りました。
しかし、東京2020オリンピックでは正式にポイント制が採用されることになりました。2019年世界陸上選手権の日本代表選手選考にワールドランキング制を採用したことは、無駄にはなりませんでしたね。
東京2020オリンピックに参加するためには、まず『五輪参加標準記録を突破する』ということがあります。この記録はかなり高く設定されています。
例えば男子100m走は10秒05です。各国3名エントリーできると考えると、2019年に記録を出した選手は30名くらいいます。男子100m走の参加人数(ターゲットナンバーといいます)は56名なので、残りはワールドランキングの上位者となります。ターゲットナンバーは種目によって異なります。
ワールドランキングは、ポイントでランキングがなされます。このポイントの付け方は少し複雑です。まずはレースの記録が点数化され、『記録ポイント』となります。風が関係する種目(100m走や走り幅跳びなど)は、風の方向、強弱でポイントの増減がなされます。
そして、『順位ポイント』が『記録ポイント』に加算されます。『順位ポイント』は、大会のグレードによって変わります。例えばオリンピックや世界選手権(OWランク)で優勝すると350点加算されます。日本選手権の優勝は100点です。大会の規模やレベルによって加算点は異なり、小さな大会(Fランク)は優勝しても15点しか付きません。加算ポイントも3位までしか付かず、Fランクの3位は5点です。
さらに、このポイントはポイントの上位5レース分の平均化がなされ、それが個人の持ちポイントとなります。ですから、選手はポイントを獲得するため、記録を狙うとともに、なるべく良いランクの大会での順位も必要になってきます。
大阪城ホール-外観-
室内の日本選手権-会場-
2月1日(土)~2日(日)に大阪城ホールで、室内の日本選手権(第103回日本陸上競技選手権大会・室内競技/2020日本室内陸上競技大阪大会)が開催されました。この大会はDランクの大会に指定されています。60mで優勝すると100mに近い記録として得点に換算できます。Dランクの優勝は40点です。室内の記録は上位5レース中2レースしか認められませんが、前半型の選手は、この大会への出場で得点を獲得するチャンスにもなります。
そのほかに世界記録ボーナスなどもあり、ポイントの付け方は複雑でわかりづらいのですが、簡単に説明するとこんな感じです。
まずは標準記録を突破すること、突破できなければランキングでターゲットナンバーまでの上位の選手が、決まります。ランキングはポイント制で記録と順位で付けられ、順位は大会のグレードが高いほうが、ボーナス得点が高く設定されているということです。
選手は、よりグレードの高い大会を求めて海外でレースをするようになっています。
今までは国内レースが主でしたが、陸上競技ももっと海外で活躍する選手が増えてくることでしょう。もちろん国内の大会のグレードを上げるための対策も始まっています。1人でも多くの選手に東京2020オリンピックに出場してほしいものですね。
1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。
元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。
現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。
2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。
また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。
1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。
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