vol.60「いよいよ横浜マラソン2015」
「横浜マラソン2015」(http://www.yokohamamarathon.jp/2015/)までカウントダウンですね。
3月15日(日)フルマラソンは8時30分スタートです。
前回はマラソンの練習方法についてお話ししました。そして、どうしてもきつくなったとき、なるべく「止まらない」「座りこまない」というアドバイスをさせていただきました。歩くのはOKです。
今回は第2弾です。
走り始めると呼吸が速くなってきますよね。これは身体が運動を継続するために酸素を多く取り入れ、二酸化炭素を排出しようとすることによるものですが、皆さんは走る時、呼吸はどうしていますか? 私は小学生の時、マラソンの呼吸は「スースー(2回吸う)ハーハー(2回吐く)」でするように、と習いました。皆さんはどう習いましたか?
「スースーハーハー」は確かにゆっくり走っている時に走りのリズムを取るには有効なのですが、もう少し速く走らなければならない時、本当にこのような呼吸のリズムで走っているのでしょうか。
実際はこのリズムでは呼吸していないランナーの方が多いと思います。意識しないで自由に呼吸しているのが正解なのです。小学生の時の「スースーハーハー」の指導とはなんだったのでしょうか。
私はこれを教わったので最初はこの呼吸のリズムでやっていたのですが、どうも合わなかったので「スー(小さく)スー(大きく)ハ———(長く)」という自己流のリズムを作っていました。ただ、もっと速くなると自由にしていましたね。
今でもこうやって教えているのでしょうか。そういえば、鼻から吸って口で吐くなんていうのもあったような気がします。これも違いますね。口でいいです、口で。
さて、この呼吸の仕方、走っている最中では重要と言えます。長く走ると呼吸が苦しくなります。この時、「どうするか」ということがポイントです。
苦しいので楽になるには「酸素をたくさん取り入れなければ」とたくさん吸うのは間違いです。苦しくなったら「吐く」方を意識します。吐けば吸えますので「吸う」方を意識する必要はありません。
走り終わって呼吸が速い時も同じです。吸い過ぎてはいけません。吐くのです。吸い過ぎると身体の酸素が過剰に摂取され、血中の二酸化炭素濃度が減少し、血液がアルカリ性に傾き、過換気症候群…いわゆる過呼吸という状態になってしまうことがあります。手足がしびれたり、ひどいときは痙攣を起こします。大変苦しいのですが、落ち着いて浅く速い呼吸は止め、落ち着いて吐く方に意識をします。昔は口に紙袋をかぶせ、呼気を再度吸わせることで回復させるという方法がありましたが、最近はしません。
私も現役時代は毎週のように軽いアルカローシス(※)状態になっていました。その時は気合いで息止めです!慣れれば何ともないですよ。
※アルカローシスとは
血液中の酸と塩基との平衡が乱れ、アルカリ側に傾いている状態。高山病で呼吸過多となり二酸化炭素が多く失われたときや、嘔吐(おうと)で胃から大量の塩酸が失われたときなどにみられる。アルカリ血症。
(出典:コトバンク)
ではもうひとつ。走っていて苦しいものに脇腹の痛みがありますよね。この痛みは正確には解明されていないようですが、走っている時の脇腹の痛みは大きく2つあります。
ひとつは左脇腹の痛み。
これは大腸のあたりにガスがたまり、圧迫することから神経を刺激し発生するようです。このガスは走る前に食事をして、その消化過程により発生するもののようです。食事した後によくお腹が痛くなるのはこのためみたいですね。かといって走る前に何も食べないというのはエネルギー切れを起こしてしまいますから、食べる量や時間に気をつけなけれななりません。
もうひとつは右脇腹の痛み。
私はこの痛みを経験したことがないのですが、横隔膜の痛みと言われています。肝臓がランニングによって上下し、横隔膜を引っ張るからだそうです。本当でしょうか。。。
では、痛くなってしまったらどうすればよいのでしょうか。ガスによる左脇腹の痛みは、脇腹を伸ばすことでガスを逃がし、痛みが軽減されるといわれています。というと、ラジオ体操(体側)ようにの左腕を上方に上げて右側に反らすようにするのでしょうかね。私も痛くなったら試してみたいです。
いよいよ15日(日)に迫った横浜マラソン2015を走られる皆さん、ぜひ楽しんで走ってほしいです。苦しい話ばかりして「楽しんで」とは矛盾しているかもしれませんが、苦しさの中に、そしてそれを乗り越えた中に楽しさや充実感が見つかるものです。
近くにお住まいの方、沿道での応援もお願いします。15日はランナーに声をかけに出かけましょう!!
いつか私もフルマラソンに挑戦したいです。そういえば大会アンバサダーにはどうやったらなれるのでしょうか。。。
1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。
元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。
現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。
2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。
また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。
1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。
ブログ
※タイトル・本文に記載の人名・団体名は、掲載当時のものであり、閲覧時と異なる場合があります。