vol.59「LSD」
2月8日(日)第69回かながわ駅伝が開催されました。かながわ駅伝は19市11町が参加し、秦野市中央運動公園から県立相模湖公園までの7区間51.9kmで行われました。昨年は降雪により残念ながら中止となってしまった大会です。今年は快晴というわけではありませんでしたが無事に開催されました。
横浜市は第64回大会から4連覇中でしたが、今回はなんと7位という結果に終わってしまいました。1位は川崎市でした。
順位
1位 川崎市 2時間42分53秒
2位 藤沢市 2時間43分12秒
3位 相模原市 2時間44分46秒
4位 横須賀市 2時間44分48秒
5位 茅ヶ崎市 2時間44分54秒
6位 小田原市 2時間45分12秒
7位 横浜市 2時間46分05秒
8位 鎌倉市 2時間47分41秒
9位 三浦市 2時間47分56秒
10位 平塚市 2時間48分08秒
私の大学からは3名の部員が出場し、川崎市の7区アンカーを須崎裕也が務めさせていただきました。最後に藤沢市に詰められましたが1位をキープし、トップでゴールしてくれました。少しは貢献できたのでほっとしています。
私もかつて駅伝を何度か走ったことがあります。高校時代は県高校駅伝予選会にも出場しました。大学4年生の時には東京の奥多摩駅伝に参加しました。その時は確か、8kmくらいの区間だったと思うのですが、普通のおじさんのような少し小太りの(失礼)ジョガーの方にぶち抜かれて(失礼)大変ショックを受けました。その時感じたのは「毎日ジョギングされている方は速く走れるんだな」ということでした。
皆さんはLSDトレーニングという言葉を聞いたことがありますか。LSDは「ロング・スロー・ディスタンス(Long Slow Distance)」の略語で、長い時間、ゆっくりと長い距離を走るトレーニングのことです。どれくらいの距離をどれくらいの時間でというのは諸説ありますが、このトレーニングは長距離やマラソン初心者にとっては大変良いトレーニングとなります。
その効果は、主に有酸素能力の向上です。酸素摂取の効率や心拍数の減少、毛細血管が増えるなど様々な効果があります。
また、ゆっくりですからフォームを意識できます。さらに長い距離を走ることになるので脚力やスタミナもつきます。
このLSDトレーニングは、「ランニング・ドクター」と呼ばれたドイツのスポーツ医学者でトレーナーでもあるエルンスト・ファン・アーケン(Ernst van Aaken)博士によって提唱された長距離トレーニングの方法です。これをアメリカのランナーであり、ランニングコーチであったジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)が1969年に「Long Slow Distance(Tafnews Press)」を出版し、マラソンのトレーニングとして推奨しました。
Long Slow Distance by Joe Henderson(※www.joehenderson.comより)
日本でLSDトレーニングが注目されたのは1988年ソウルオリンピック女子マラソンに出場したNECホームエレクトロニクスの浅井えり子さんがトレーニングに取り入れてからではないでしょうか。浅井さんのコーチであった佐々木功監督がLSD理論を浅井さんのトレーニングに取り入れ、全国に広まったと思います。佐々木監督は1984年に「ゆっくり走れば速くなる(ランナーズ)」という本を出されています。
このトレーニングは、ただゆっくり走るだけではないと言われています。ゆっくり走ったあと、流しのような少し速い走りを入れるとよいなどとも言われています。
とにかく無理のないゆっくりペースでフォームも重視して走ることが推奨されます。
ただ、私は「今日は長く走ってみようかな」と思っても、いつもきまって60分くらいで断念してしまいます。なかなか難しいものですね。サブ4(マラソン3時間台)を狙うなら1kmあたり5〜6分ペースで90分から120分のLSDでトレーニングすべきなのでしょうが、60分でなぜか終わりたくなってしまいます。まだまだですね。
さて、3月15日(日)いよいよ「横浜マラソン2015」が開催されます。残念ながら私は出場しませんが、出場される皆さん、楽しんで走ってくださいね。
大会まであと1か月、目標のタイムからペースを換算してLSDのトレーニングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
最後に、少しだけアドバイスを。マラソンは立ち止まらないことが大切です。さらに止まって座ってしまうのはもっとよくありません。どうしてもきつくなったら歩くことです。一旦止まってしまうと再び走り出すことはなかなか難しいのです。
いつか私も地元・横浜を走りたいです!
1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。
元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。
現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。
2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。
また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。
1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。
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