vol.53「甲府インターハイ」
7月30日(水)から山梨県甲府市で全国高等学校総合体育大会(インターハイ)があり、行ってきました。さすが甲府、毎日暑かったです。今年のインターハイは「煌めく青春 南関東総体2014」というスローガンのもと、南関東で開催されました。陸上競技は山梨県でしたが、東京都、千葉県、神奈川県を含めた4都県で開催されました。横浜市はソフトボール競技とハンドボール競技の一部が開催されました。
インターハイは学校対抗でもあるのですが、実は都道府県での得点も累計されています。陸上競技の男子ではなんと神奈川県が105.50点を獲得し優勝しました。女子も4位と健闘しています。ただし、神奈川県の得点は小田原市の相洋高校の42点、川崎市の法政大学第二高校の24点、川崎市立橘高校の13.50点の3校で80点近く獲得していますので横浜市の高校の得点は実は少ないです。残念ながら。
その中でも横浜市では瀬谷西高校の松井俊樹選手が円盤投げで第3位、棒高跳びで横浜清風高校の岡本拓巳選手が第5位、希望ヶ丘高校の高須莉喜選手が第7位に入賞しています。女子では1500mで白鵬女子高校の加藤美菜選手が第2位に入賞し、そのほかにも数名の入賞者を出しています。
私の高校生の時代では陸上王国と言ったら静岡県や兵庫県でしたが、今や神奈川県が陸上王国かもしれません。神奈川県勢の今後の活躍が楽しみです。
さて、インターハイも行ってきたのですが、7月17日(木)には横浜市立一本松小学校へ走りを教えに行ってきました。一本松小学校は西区西戸部にある創立100年を超える伝統ある小学校です。一本松小学校は戸部の小高い丘の上にあり、みなとみらいが一望できます。また逆を見ると富士山も見えるそうです。素晴らしいロケーションです。
今回は、低学年、中学年、高学年と3つのプログラムを行いました。低学年と高学年では運動遂行能力がだいぶ違います。理解度も違うので教え方や接し方も変わってきます。小学校の先生はさすがプロでうまく生徒さんたちをコントロールされています。勉強になります。今回もみなさん元気で楽しく教室ができました。
私はこのような教室を行うときに必ず最初に行うのが姿勢を正すことです。姿勢を正しくすることは走ることのみならずスポーツにとって大変重要です。まずちゃんと立つ、まっすぐ立つとういことが大切です。まっすぐに立つことはほとんどの人ができることと思います。しかし、よく見るとどちらかに傾いていたり、頭が曲がっていたりする人がみられます。
鏡の前に立って目を閉じてまっすぐ立ってみてください。まっすぐと思ったら目を開けてみましょう。肩のライン、腰のラインは傾いていませんか。また頭が傾いていませんか。よく、証明写真を撮ったら出来上がった写真の顔が傾いていたり、写真館の方に家族写真を撮ってもらったり集合写真を撮ったりするときに頭の位置を修正されませんか。自分がまっすぐと思っていても実は傾いているなんてことがあります。
これは自分の感じている身体感覚(深部感覚)と実際の位置のズレから生じるものです。運動するにはこの感覚のズレがパフォーマンスに影響することがあります。自分の身体が今どのようになっているか、その感覚と実際の位置が同じようになれば自分の身体をうまくコントロールできるようになります。なんて、こんな難しい話は小学生にはしませんが。
まず、まっすぐ立つことを教えるとき、私は腰に手をあてさせます(図1)。おなかを出さず胸を張る感じです。これは骨盤の角度を調整して地面からの反発をうまく受けられるようにするのが目的です。バレエの第一ポジションや体操の「白樺のポーズ」と同じ様な感じです。腰の角度や位置を確認するには良い方法です。一度正座してから立つというのも同じような感覚が得られます。興味のある方は試してみてください。
図1
また、立つという感覚、陸上競技界では様々なイメージでとらえられています。学術的ではありませんが、いくつか紹介します(図2)。足は肩幅くらいに開き、身体の重心を中心として一本の棒のような軸としてとらえて立つ(図2左)。頭から重心近くまでは一本の軸を作り、そこから足を通して逆Y字のイメージで立つ(図2中)。脚からそのまま上方に2本の軸を作って立つ(図2右)などがあります。あくまでイメージです。
つま先は前方へ向け、頭頂から真上に引っ張られているような感じでスッと立つようにします。何度も書きますがあくまでイメージです。
図2
まず、姿勢を正すことが重要でそこから様々な運動、動作に進んでいきます。みなさんも理想の立ち方のイメージをいろいろと試してみてはいかがでしょうか。
でも言っている私は猫背で姿勢が悪かったりします(2枚目の写真のように)。
1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。
元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。
現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。
2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。
また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。
1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。
ブログ
※タイトル・本文に記載の人名・団体名は、掲載当時のものであり、閲覧時と異なる場合があります。