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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.40「トレイルラン」

近年、ランニングを楽しまれる方が多くなってきましたが、最近は不整地を走るランニングも広く普及し始めています。その一つにトレイルランニングがあります。
トレイルランニングは日本トレイルランニング協会によりますと、未舗装の自然の路面が75%以上あることが条件で、自然の障害物、激しい高低差、美しい景観が得られることが必須と規定されています。似たものでクロスカントリー競技があります。こちらも舗装されていない路面を走りますが、トレイルランニングと同じようなアップダウンとともに、自然もしくは人工的に作られた障害物を越えて走ったり、普段は道ではないところにコースを作って走る競技です。簡単に言うとトレイルランニングはランニングに登山の要素を加えたスポーツです。
クロスカントリーもそうですが、不整地を走ることは平坦な路面を走るよりも難しく、集中力や調整能力が必要となります。
不整地では足を捻ってしまうリスクが高くなります。しかし、足を捻ってしまうかもしれないと身体が構えることで、仮に捻ってしまったとしても大事に至らないことがあります。こうした調整能力やバランスの能力は、身体にはとても大事です。
また、アップダウンによって強い負荷が自然にかかり、呼吸循環系や筋の強化には大変効果があります。
気持ちの良い自然の中を走ることで爽快感を感じることもできます。ただし、山を走るということは多くの危険が潜んでいることは認識しておかねばなりません。
山は、天気が変わりやすいこと、滑落の恐れ、転倒による怪我など、これら予測される事故や怪我への対処を事前に考えておかなければなりません。
トレイルランニングを始めようとされる方は、まず、近郊の身近で安全度の比較的高い森や山道から始めるのが良いでしょう。

図は一般的なトレイルランニングの服装例です。険しい山で草が深い等という時は脚がすべて隠れるようなスパッツの方が良いかもしれません。

リュックには、飲料、軽食(非常食)、着替え、携帯電話、小銭のほか、必要に応じて地図、コンパス、救急用具、ライト、鈴(クマよけ)、笛、ビニール袋などを入れるのが良いでしょう。 

トレイルランニングを楽しむにあたって、注意事項やマナーがいくつかあります。以下に挙げておきます。

・通行には問題ないが走り抜けるのは困難な場所は歩いても良い
・他の登山客への配慮
 山では原則登りが優先(しかし、走っている人には登りの人が道を譲ってくれることもあるでしょう。臨機応変に対応しましょう)
 譲っていただいた時にはお礼(挨拶、会釈)をしましょう
 待つ時は基本山側で待つようにします
 追い越す時の配慮(必要であれば声をかける)
 挨拶
・ごみは持ち帰る
・自然環境を守る
・山の表示などの規則を守る

など、規則、マナーを守って気持ちよくトレイルランニングを楽しみましょう。

横浜でもトレイルランイニングを楽しむことができます。
ポピュラーなのは、港南台駅から歩いて行ける瀬上市民の森から尾根道を通って金沢市民の森、大丸山山頂から横浜自然観察の森へ抜けるコースです。このルートはトレイルランニングの良いコースとして知られています。そこから鎌倉に抜けるルートもあります。

あとは、長いコースはとれないかもしれませんが、四季の森(中山)や三保市民の森(十日市場)などもトレイルランニングを楽しむことができます。

市民の森でランニングを楽しむ場合は、ランニングを行うための場所ではないので、なるべく少人数でルール、マナーを守って行うようにしましょう。

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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