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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.9「アジア大会」

 11月12日〜27日に中国・広州で第16回アジア競技大会(以下「アジア大会」と略す。)が行われました。テレビや新聞などの報道を通じてご存知の方も多いと思います。私は、陸上競技の日本選手団の役員(男子短距離コーチ)として参加してきました。

 アジア大会は、1948年に開催されたロンドン・オリンピックの時に、アジアの地域から参加した13カ国のうちのインドの呼びかけによってアジア競技連盟(現在のアジアオリンピック評議会:OCA)が結成され、開催が決定しました。
 第1回のアジア大会は1951年インド・ニューデリーで開催され、11カ国、約500名が参加しました。もちろん日本は第1回大会から参加しています。行われた競技は6競技(陸上競技、水泳、サッカー、バスケットボール、ウエイトリフティング、自転車)でした。
 アジア大会は4年ごとに開催され、今回で16回を数えます。日本では1958年第3回東京大会、1994年第12回広島大会が開催されています。今回のこの広州大会は、45の国と地域が参加し、約9万7000名が参加、42競技が行われました。

 アジア大会では、オリンピックでは行われていない競技が多くあります。アジアで生まれた競技のセパタクローやカバディ、その他珍しいところでは、ビリヤードやボウリング、チェスなんていうのも正式競技となっています。チェスもドーピング検査をするそうです。する人いないでしょ。いや、精神を鎮静化する薬とかありますからね。ステロイドはいないでしょうけど。

 さて、そんなアジア大会ですが、選手や役員のコメントは報道を通じてしか配信されていないのはご存知でしょうか。実は、選手や役員がブログやホームページでアジア大会の様子や競技のコメントをすることはできないことになっています。写真もダメです。ジャーナリスト活動もだめです。マイクを持って競技はできません。一部のブログやホームページで選手が書き込んでしまっているのを見かけますが、本当は、あれはNGなのです。役員を含め、日本代表になった時点で情報を公に流すことは禁じられるのです。ですから、選手の情報や選手村など内部の情報があまり表に出てこないのです。オリンピックも同様です。個人の自由な発言を制約するのはおかしいのではないかと感じるかもしれませんが、これはルールで決められています。国際ルールだったと思います。ただ、すべてを規制するのは難しいし、どこまでが大丈夫かということが曖昧なので結構ネットに流れてしまっています。私もここに書くことはある程度制限が必要です。が、どこまでがOKか?難しいですね。

 私がかかわった陸上競技男子短距離は、力を尽くしましたが目標に程遠い結果となってしまいました。来年はこの結果をしっかりと分析し、修正しロンドンに向かっていきます。以上…。

 ところで、出発前から日中関係が緊張状態にあり、いろいろな方に心配されました。実際のところはどうだったかというと、まったくその気配すら感じませんでした。大会の関係者やボランティアの方々はもちろん、街の人も私たち日本人に大変友好的で、むしろ親日なのではないかと感じるほどです。北京オリンピックの時も同じような感じでしたので、あまり心配はしていませんでしたが、広州の日本総領事館で今年9月にビンが投げつけられる事件があったので多少あるのかなくらいには思っていました。日本での情報は何だったのでしょうか。しかし、中国国内での情報入手にはいくらか制限があり、何か政治的なものは多少感じました。

 中国の発展は目覚ましく、昨年も広州に行ったのですが、1年でかなりの変化が感じられました。相当なスピードで近代化が進んでいます。何年か前はトイレにドアがなく、溝のみだったこともあったのですが、今ではスタジアムのトイレも立派な洋式です。トイレの話で終わるのもなんですが、日本とともにアジアをリードすべくお互い手を取り合って仲良くしてほしいものです。

 余談ですが、横浜市は中国・上海市と姉妹都市(友好都市)提携を結んでいます。私も高校時代この友好都市事業で上海に行ったことがあります。大変よくしていただきました。両市の提携の歴史は古く今年で37年になります。こうした友好関係がうまく続いていくといいですね。

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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