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ハマパラ便り

Vol.10 ウィルチェアラグビーを紹介します!


 

■はじめに

 「ハマパラ便り」をご覧の皆さん、新年明けましておめでとうございます。今年度も残り3ヶ月となりました。

 今回は、パラリンピック種目であり、今年度の世界選手権(8月、シドニー)で日本代表が見事に優勝した「ウィルチェアラグビー」のご紹介です。
 横浜ラポールで定期的に練習している「横濱義塾」の代表兼監督である月村さんにご紹介をお願いしました。タイトルは『横濱で闘う者たち』です。
 

■『横濱で闘う者たち』(ウィルチェアラグビー)

 「車椅子で生活しています」という事が、はたして大変なのでしょうか。
 たしかに健常者目線で見てしまえば、仕事はしているのか、食事を作ることやお風呂に入ることなどの生活の面はどうしているのだろうかと、まず生活面での大変さを心配してしまう事でしょう。
 ましてや一人で街を出歩き遊びに行く事、夜な夜な飲みに出歩く事、車を運転する事などの娯楽的な事など、彼らを知らなければ想像すらできない人も多いでしょう。
 そう、[危険だから・・・]という理由で。
 
 私もこの世界(パラスポーツ競技、選手)に関わった当初は幾度も危ない、という概念で障害を持つ方に手を差し伸べていました。しかし、そんな状況でも周りの選手たちは動じず、ましてや大笑いして、その状況を本人と一緒に楽しんでいました。
 
 私は、何が何だかわからなく、当初は理解できませんでした。
 しかし、それから数十年彼らと過ごすうちに、心の強さ、生活環境、仕事の状況、介護制度や街のバリアフリー環境などを知っていき、「危険や大変」な状況は健常者とあまり変わらないのだと思うようになり、当初理解できなかった状況も、今では一緒になって笑えるようになりました。
 
 また、私たちが拠点としている横浜市は、介護制度、バリアフリー環境、施設環境等が充実している事も知り、特に福祉に力を入れているのだなと感じました。
 そんな環境の中、最も危険だと思わせるパラスポーツに挑む選手達がいます。『ウィルチェアラグビー』。読んで字のごとく、車椅子でラグビーを行う競技なのです。


 
 1980年代にカナダで考案され、日本に普及され始めたのが2000年頃。対象となる選手は、『四肢障がい』を持つ者とされています。
 主なルール:1チーム4名、障害の程度により各選手に持ち点が与えられていて0.5(重)~3.5(軽)から、8点を超えないよう構成する。コートはバスケットコートと同じ広さを使用、エンドラインにコーンを2つ置き(間8m)、ボールを持った選手が時間内(1ターン40秒)に、コーンの間のトライラインを超えれば1得点となる。
 と、これだけを読んでいただけると、単純で簡単な競技に思われますが、「ラグビー」と名があるように、この競技には、車椅子スポーツで唯一コンタクトが認められているのです。なので、コート上では、相手に得点を許さないよう「タックル」をして、ボールを奪う事を考え自軍の得点を重ねていきます。相手をコート上から押し出す、相手をひっくり返す(共に相手バイオレーション)などが頻繁に起こり、パラスポーツ1と言って良いほど激しいスポーツで、それがラグビーまたは別名「マーダーボール」と言われる由縁なのです。


 
 現在国内では、北は北海道から南は沖縄まで全国に12チーム、約120名の選手が在籍し、年間に各所で予選リーグを行い、年末に行われる日本選手権に向け、日々活動を行っています。
 
 先のリオパラリンピックでは、全国から選ばれた日本代表選手たちが、この競技初となる銅メダルを獲得し、今年の世界大会では悲願の世界一に見事に輝き、世界ランキングを3位となりました。東京オリパラに向け、今、大注目の競技なのです。
 
 そして、私たち「横濱義塾」は、15年前に横浜ラポールを拠点に「障害、健常の枠を飛び越え、感動を伝えられるチーム」をスローガンに発足しました。過去に日本代表選手を3名輩出し、現在は日本代表の要のローポインター「若山英史」を筆頭に、現在は10名の選手、7名のスタッフが属するチームです。


 
 国内では、過去に準優勝もありましたが、最近は選手の高齢化などから、成績は思わしくありませんが、地元横浜の皆さまを中心に「応援団」が発足したり、地元企業や施設の応援もいただいています。自チーム主催大会を開催したり普及活動を行い、国内のウィルチェアラグビーチーム1の盛り上がりを見せているチームでもあります。
 
 また、養護学校などと連携し、小学生からの若手育成にも努め、ウィルチェアラグビーを通じ、子どもたちやご家族に、将来を見据えられるような活動も行っております。


 
 なお、拠点となる横浜ラポールでは、年に1度リーグ予選が行われています。気軽な気持ちで構いませんので、ぜひお時間の許される方は一度会場で観戦して、横濱義塾の大応援団と一緒に大声をだして応援していただけると嬉しいです。
 
 最後に、選手からの印象に残っている言葉を1つ。『車椅子になったから今も輝けるのかな』と。
 
 ♪義塾BOM -BA -YE♪