ハマスポ

 
横浜市風景シルエット
 
       
 

ハマスポロゴハマスポ

横浜市風景シルエット
 
注目ワード
 
えのきどいちろうの横浜スポーツウォッチング

vol.46「横浜ブルー」

 

 このコラムがアップされる頃は2016年プロ野球も開幕週を迎えているはずだ。今年はキャンプ入りのタイミングで、かつてのスーパースター選手が逮捕されるというショッキングな出来事があり、またその後も新聞、週刊誌が賭博疑惑等、球界の不祥事を連日報じる異様なプレシーズンだった。スポーツ紙の1面が野球の現場について触れない。僕も薬物や賭博を球界からシャットアウトするのにやぶさかではないけれど、一方で野球自体のことももっと書いてくれよと思った。

 

 で、今回はファンがわくわくする話を書きたいと思った。ひとつ気になってることがあった。1月下旬、横浜DeNAベイスターズが球団本拠地の運営会社「横浜スタジアム」へのTOB(株式公開買い付け)成立を発表したのだ。平たく言うと買収成立だ。運営会社「横浜スタジアム」は横浜DeNAベイスターズの連結子会社となり、球団との一体経営が可能になる。

 

 「ただ野球をやるスタジアムから、楽しくてまた雰囲気を味わいたいと思うボールパークになることが大切だ」(池田純・球団社長、1月22日付、朝日新聞)

 

 球界関係者に聞くと横浜スタジアムは難しい球場であったらしい。ベイスターズとしては収益が上げにくいのだ。所有者は横浜市で、運営管理会社は「株式会社横浜スタジアム」である。TBSがオーナーだった時期は使用料として入場料収入の25パーセント、横浜DeNAベイスターズになってからも入場料収入の13パーセントを支払っている。売店や広告は球場の管理であり、周囲でのイベント、出店には市の許可が必要だった。つまり、ベイスターズからすると「稼げない」上に「自由にならない」本拠地だった。

 

 一時、TBSがオーナーだった時期に「タレント・石橋貴明氏プロデュースの本格ホットドッグ」を発売したことがあり、僕はかなり旨いと感心したのだ。が、売店が妙にこじんまりしていた。僕はせっかくメディアがオーナーになって、色々と新機軸を仕掛けられそうなのに何でこんなに地味なんだろうと思ったものだ。あれはもっと大々的にやりたくてもできなかったのだ。

 

 ちなみに同じように公共の持ち物であるQVCマリンフィールド(千葉マリンスタジアム)を本拠地とする千葉ロッテマリーンズの場合は、2006年度から指定管理者を取得したのが大きい。球場内外の演出、売店・出店等の充実、以前とは風景が一変した。いつの頃からか球場まわりはお祭り広場のようだし、場内の電光ディスプレーは年々、進化している。

 

 ベイスターズはいずれ「難しい球場」を出ていき、例えば新潟市のハードオフ・エコスタジアム(新潟県立烏屋野潟公園野球場)あたりへ本拠地移転してしまうのではないか。ファンの間で噂がささやかれた。が、それは杞憂だったのだ。ベイスターズは「株式会社横浜スタジアム」を買収し、本腰を入れてハマスタ再生に取り組むことになった。

 

 3月はじめのオープン戦(ヤクルト戦)をとにかく見に行ったのだ。百聞は一見に如かず。ハマスタのことはハマスタへ行って考えるべきだろう。今季初めての本拠地シリーズだった。本当は2日(初戦)の取材予定だったが、親戚のお通夜になってしまって、翌3日に変更した。そうしたら2日の観客数が1万5千人と報じられている。平日の昼間に1万5千人はすごい。相手が首都圏チームのヤクルトということも作用してるだろうけど、基本はラミレス新監督のベイスターズが期待されてるのだ。

 

 で、翌日、プレイボールに合わせて根岸線に乗ったら、関内駅でごっそり降りるんで仰天した。これ、平日昼間の客足じゃないよ。ベイスターズはDeNAになって観客動員を伸ばしている。逆に言うと動員率が9割近くに達し、入場料収入ではもう収益増が限界なのだ。更に攻めのマネジメントに打って出るとき、ハマスタ再生が目標に掲げられた。「コミュニティボールパーク」化構想の2016年第1弾として「カラーの統一」「内野エリアの名称変更」「ベイスターズ専用応援エリアの増設」の3点が打ち出された。

 

 よく晴れたハマスタの公園敷地。ファンクラブ勧誘の係員さんが声をかけている。いや、人数多いなぁ。一昔前はベイスターズのファンクラブは「最小限のサービスでコスト軽減をはかっている」(ベイスターズファンの友人・談)と評判悪かった。聞いたら今は「入会したらハマスタ開催のオープン戦、全試合入場無料」をはじめとして特典目白押しだ。いや、それは平日昼間でもお客さん入るよ。もう、ゲート付近も活気にあふれてる。

 

 先発は山口俊と原樹理。スタンドを見渡してちょっと壮観なほどお客さんが入ってる。ハマスタの座席はこれまでのオレンジ色から「横浜ブルー」に改修されつつある。まだライトスタンド席や三塁側内野席等、一部のみだが、これは段階的に増やして、いずれは球場全体の「カラーの統一」が完成する。すごくキレイだと思った。

 

 僕は「横浜ブルー」のイスに座りたくて三塁側内野席で観戦したんだけど、今シーズンからは「三塁側」じゃなく「スター・サイド」と名称変更されるそうだ。ちなみに一塁側はもちろん「ベイ・サイド」。これまでの一塁側はホーム、三塁側はビジターという概念を取っ払うらしい。イメージはヤフオクドームだろうか。(ビジター応援席以外は)ぐるり360度、すべてベイスターズファンで埋めたいのだろう。

 

 目に見える変化はまだわずかだけど、ハマスタは劇的に変わろうとしている。これから球場まわりのイベントが次々仕掛けられていく。野球はやっぱり夢がなくちゃいけないね。ハマスタは夢の舞台として再びブランディングされる。あとは最高のゲームを見るだけだ。野球ファンの皆さん、開幕おめでとう!

 

20160303ベイスターズ (1) 20160303ベイスターズ (31)

 

20160303ベイスターズ (91) 20160303ベイスターズ (80)

 

20160303ベイスターズ (200) 20160303ベイスターズ (195)

 

 

 

えのきどいちろう プロフィール

コラムニスト

1959年8月13日生まれ
中央大学在学中にコラムニストとしての活動を開始。以来、多くの著書を発表。ラジオ・テレビでも活躍。

Book
「サッカー茶柱観測所」「F党宣言!俺たちの北海道日本ハムファイターズ」ほか

Magazine/Newspaper
「がんばれファイターズ」(北海道新聞)/「新潟レッツゴー!」(新潟日報)ほか

Radio/TV
「くにまるジャパン」(文化放送)/「土曜ワイドラジオTOKYO」(TBSラジオ)ほか

Web
アルビレックス新潟オフィシャルホームページ
「アルビレックス散歩道」

Web
ベースボールチャンネル
「えのきどいちろうのファイターズチャンネル」

※タイトル・本文に記載の人名・団体名は、掲載当時のものであり、閲覧時と異なる場合があります。