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えのきどいちろうの横浜スポーツウォッチング

vol.16「\横浜優勝/」

主として横浜に縁のあるスポーツ人を取り上げることの多い当コラムだが、今回は少し趣旨が異なる。読者は「\横浜優勝/」をご存知だろうか。ネット上、特にツイッターで見かけるムーブメントと言ったらいいのか、僕としては今年、発見して大いに気に入ってる現象だ。

あれは春だった。桜が咲いていた。夜、仕事に疲れて何となくヤフーのホットワードを眺めていて、そこに「横浜優勝」という文字を発見したのだ。たぶん当コラムを担当してるおかげで、僕は他人(ひと)より横浜に敏感になっている。何だろう、何が優勝したんだろう。こんな春の時期、何か大会あっただろうか。センバツはとっくに終わってる上に優勝したのは埼玉の浦和学院だった。一体、何の競技かな?


(ツイッターのタイムライン。一部加工処理をしています)

競技ジャンルはプロ野球だった。横浜DeNAベイスターズ。ものすごい人数が「\横浜優勝/」をツイートしている。といってもちろんのこと、プロ野球の優勝が決する時期ではない。ていうか、その時点でベイスターズが首位争いを演じてるわけでもなかった。

どうもその日の試合にただ勝ったらしい。勝った瞬間から「\横浜優勝/」のツイートが始まっている。僕はすんごい幸せな気持ちになった。さっそくネット検索をかけて「横浜優勝」が通常の試合でベイスターズが勝利することだと確認する。文字通り「優れたものが勝利した」という意味だ。もう、みんなね、めっちゃ機嫌いいんですよ。「\横浜優勝/」「やったー!\横浜優勝/」「残業終わって気がついたら\横浜優勝/」。ひとつの勝ちを大事にしている。喜びをみんなでシェアしている。

この現象がいつ始まったのか、残念ながらパ・リーグ者である僕には判断がつかない。だけど、それを調べてもあんまり何かになるとも思えない。自然発生的なものだ。気分は(東京時代、四半世紀近く栄光から見離されていた日ハムファンとして)非常によくわかる。僕はベイスターズファンっていうのは何て気のいい連中だろうかと惚れ惚れする。で、色んな人に言って回った。ベイスターズファンがすごくいい感じなんだよ。

意外と知らないね。例えば先月、当コラムにご登場いただいたtvkの佐藤亜樹アナウンサー、もう当然知ってておかしくないでしょう。それが初耳みたいだった。これは横浜市体育協会のコラムで取り上げるしかないと思いました。

「\横浜優勝/」が面白いのは劇的な逆転優勝とか、あと連続優勝とか、そういうのが起きちゃうことですね。「あきらめかけたところからまさかの\横浜優勝/」とか「昨日も\横浜優勝/ 今日も\横浜優勝/」みたいなことになる。この春、僕がホットワードとして見かけたのは確か逆転優勝だったはずですよ。それでツイート数が伸びてたんだと思う。

あとオシャレなのは朝の挨拶で「おはようございます! 今日こそ\横浜優勝/しましょう\(^o^)/」とか、それをショートカットして「おは\横浜優勝/」 なんて短縮形ツイートしてる人もいる。こう、毎日が優勝に彩られたエキサイティングなものになりますね。日常的に優勝してる感覚。好調時には月曜を除いて日々優勝。すごく新しいあり方ですよね、野球ファンが21世紀にたどり着いたニュースタイルとも言える。

だけど、よーく考えてみるとファンの原点って気もしますね。星勘定とかゲーム差とか、細かい数字は新聞を見るくらいで、僕ら昔はもっとストレートに勝利を喜んでたんじゃないか。勝ったら天国の気分、負けたら風呂入って寝る。人生ってシンプルだったんじゃないか。だから「\横浜優勝/」はニュースタイルではなく、野球ファンの本来の姿。

僕ね、忘れてたなぁと思ったんですよ。ツイートを眺めてるだけでハッピーなんだな。だもんでその後、ヒマな日は速報を確認してベイスターズが勝ってたら「横浜優勝」をリアルタイム検索してみるようになった。まぁ、今さら日ハムファンの宗旨替えはできないから「\横浜優勝/」ファンってニュアンスですかねぇ。

ツイッターのタイムラインとしても、みんなが大喜びしてるのって見ていて楽しいんですよ。幸福感のおすそ分けをしてもらってるとも言える。まぁ、根底に共感あっての話ではあるけれど。もし、当コラムを読んで「\横浜優勝/」という現象にシンパシーを持たれた方がいたら、ぜひご覧になってみて下さい。きっと世の中捨てたもんじゃないなって感じますよ。

えのきどいちろう プロフィール

コラムニスト

1959年8月13日生まれ
中央大学在学中にコラムニストとしての活動を開始。以来、多くの著書を発表。ラジオ・テレビでも活躍。

Book
「サッカー茶柱観測所」「F党宣言!俺たちの北海道日本ハムファイターズ」ほか

Magazine/Newspaper
「がんばれファイターズ」(北海道新聞)/「新潟レッツゴー!」(新潟日報)ほか

Radio/TV
「くにまるジャパン」(文化放送)/「土曜ワイドラジオTOKYO」(TBSラジオ)ほか

Web
アルビレックス新潟オフィシャルホームページ
「アルビレックス散歩道」

Web
ベースボールチャンネル
「えのきどいちろうのファイターズチャンネル」

※タイトル・本文に記載の人名・団体名は、掲載当時のものであり、閲覧時と異なる場合があります。