vol.91「ビーコルと神奈川県女子中学優勝」
3月1日の福島ゲーム2でチームのシーズン通算100勝目をあげ勢いに乗りたい横浜ビー・コルセアーズ。
次の対戦相手は30勝8敗でイースタン・カンファレンス2位・秋田ノーザンハピネッツ。2ゲームともに最後まで接戦を展開しましたが、93-102、88-94と逃げ切られてしまいました。
横浜国際プール今季初となる3月15-16日の新潟戦。ゲーム1は忘れられない感動的な幕切れでした。
ビーコルは#15ウォーレン・ナイルズが体調を崩し外国籍選手3人というハンデを背負ってのゲームで、元ビーコルのトーマス・ケネディと佐藤公威の高確率3Pの前に常に先手を取られていたビーコルでしたが、終盤に追い上げ、74-77のビハインドから残り33秒、#3蒲谷正之の3Pで追いつき、次のディフェンスでは佐藤公威のパスを#3蒲谷がスティールしてボール・ポゼッションを獲得。
残り11秒で#3蒲谷のスローイン後、何度かやり取りがあった後、#13山田謙治からパスを受けた#3蒲谷がドリブルで1人かわし若干バランスを崩しながらトップからの3Pシュート。
ボールがまさに最高点に達した時ブザーが鳴った。そのまま入れば得点になる。
ビーコルブースターが見守る中、ボールは見事にリングを通過してネットに吸い込まれ、80-77で逆転勝ち!!
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3/14新潟戦。ラスト34秒から、蒲谷が魅せた劇的勝利!
Posted by 横浜ビー・コルセアーズ on 2015年3月19日
これで11勝28敗となりこの勝利を翌日のゲーム2に繋げたいところだが、ゲーム2では最後の1分間、新潟にファールゲーム(残り時間が少なくなり、通常のディフェンスを敷いては簡単に追いつけないと判断した時、意識的にファールをし、相手にフリースロー(以下FT)を与える。これにより時間を止めることができ、さらに相手はFTを落とす可能性もある。とはいえギャンブル的要素が強い戦術)で得たFT10本全てを決められ、81-91で逃げ切られてしまった。
翌週の21-22日はアウェイで仙台89ERS戦。#22カール・ホールがゴール下でがんばったものの追いつけず81-92。続くゲーム2ではいつもの悪い癖が出て立ち上がりが悪く、13-30とWスコア以上も離されたのが、得意の追い上げで82-85と追い上げ、15秒を残した時点でボールを得たもののシュートが入らず、82-86で敗れ連敗した。同一チームには何が何でも1勝はしなくては!!
年度末となる28-29日、今季最後の横浜国際プール。最後といっても今季は2回だけでしたが(笑)。
相手は100勝目となった福島ファイヤーボンズでその時は2勝していた。とはいえ油断はできない。何故ならその時福島は主力の#12バーデル・ジョーンズ3世が怪我で欠場していて外国籍選手が2人しかいなかったため。
しかし今回ビーコルは#33ジャーフロー・ラーカイが左腕の故障で欠場となった。
前回は#4狩俣昌也に2ゲームで36得点13アシスト、5スティールと、やりたい放題された。楽にプレーさせてはいけない選手だが、ゲーム1ではまたも狩俣にいいようにやられ、3P7本を含む30得点。これはダメでしょう!!
残り4分までは接戦していたが、そこから#4狩俣に3P3本を含む11得点され91-106で敗れ4連敗。
このゲーム後の記者会見で福島の藤田弘輝コーチは「バーデルと狩俣に対応できるディフェンスは横浜にはいないと思い2人に攻撃させた」と話したが、これがビーコル選手の耳に入った。
翌日のゲーム2では藤田コーチの発言に発奮したビーコル戦士に強いディフェンスが蘇った。最初の2シーズン「ビーコルといえばディフェンス、ディフェンスといえばビーコル」と自負していたもの。今季は面影がまるで見れなかったが、やっと本来のビーコルに戻り、強いディフェンスが展開された。
ゲーム1では#4狩俣のピック・アンド・ロール(2人で行うスクリーンプレー)に対し、「アンダー」というスクリナーの内側を通るという消極的なディフェンスだったが、ゲーム2では「ファイトオーバー」という#4狩俣に密着してスクリーンを避ける攻撃的ディフェンスを行なった。
ディフェンスが積極的になるとオフェンスも活気づきます。元々インサイド(以下I/S)攻撃が中心としたビーコルですが、#11齊藤洋介が久しぶりにいい仕事をしてくれました。I/Sを守る福島に対し外から3Pを決める。そうしてディフェンスを広げておいて次はI/Sで#22ホールがねじ込んでくるという良いスパイラルに。そして第1Qを27-19と大差を付けると、その後も中・外バランスの良い攻撃で59-31で前半を終了しました。
後半も強いプレッシャー・ディフェンスで福島を抑える一方、#11齊藤と#15ナイルズが得点し98-63と久しぶりの圧勝でした。
嬉しいことにこの日の入場者数はホームゲーム過去最高の2901人でした!!!!
とはいえ4月3日現在12勝32敗の10位。プレーオフ出場権は8位まで。残りゲーム数は8。かなりキツイ状態です。
まだ決定していない7位から成績と今後の予定を見てみましょう。
7位 信 州 18勝26敗 残-群馬、新潟、仙台、福島
8位 福 島 17勝29敗 残-東京、富山、信州
9位 群 馬 16勝28敗 残-信州、横浜、高松、富山
10位ビーコル 12勝32敗 残-東京、群馬、埼玉、東京
信州とは8ゲーム残して6ゲーム差なのでここまでは届かない可能性が高い。しかし圏内の8位の福島と群馬には追いつける可能性は高い。というのは福島の対戦相手の富山グラウジーズは31勝15敗5位の強豪チームで3位の可能性も残している。さらに信州は8位に落ちる可能性もあるため全力で2勝を取りに来るはずで、良くて3勝3敗、最終成績は20勝32敗と予想される。
群馬クレインサンダーズも信州ブレイブウォリアーズと富山、そしてビーコルとの直接対決を残しています。ビーコルが2勝するので良くても3勝5敗で、最終成績は18勝34敗と予想されます。
そしてビーコルは東京(5勝37敗11位)、埼玉(4勝38敗12位)と下位チームとの対戦が多く、全勝を狙えます。
となると群馬は落ち、福島と争うことになりますが、同率になった場合は直接の対戦成績上位のチームが有利になるため、ビーコルが上になる可能性が高い。
そのためには4-5日のvs東京サンレーヴス@町田市立総合体育館の京浜ダービーに連勝して勢いをつけたいところです。
町田は神奈川県です(笑) こぞって応援に来てください。
*さて明るい話題を!
今年で28回目を迎える都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会、通称ジュニアオールスター。全国から選抜によるチーム(東京だけ2チーム)が集まってのオールスターゲーム。昨年は男子が優勝しましたが、今年は3月28日~30日の3日間行われました。
今年の男子は決勝トーナメント準々決勝で愛知に55-63で破れましたが、今年は女子がやってくれました。
■ロースター
4 池田 沙紀 2年 158cm 横須賀市坂本中
5 熊谷 萌那 1年 153cm 伊勢原市成瀬中
6 太田 清香 2年 162cm 横須賀市坂本中
7 栗原 波那 2年 164cm 相模女大中
8 窪田 真優 2年 166cm 横浜市富岡中
9 佐々木郁乃 2年 166cm 横浜市新井中
10 渡辺 菜緒 2年 170cm相模女大中
11 熊澤 杏香 2年 170cm 相模女大中
12 小関 笑 1年 171cm 相模女大中
13 宮 優里奈 2年 175cm 横浜市六角橋中
14 モハメド早野夏 2年 176cm 相模女大中
15 奥山里々嘉 2年 180cm 横須賀市坂本中
コーチ 五十嵐 真 横浜市樽町中
Aコーチ 児玉 芳樹 横浜市戸塚中
気がついたと思いますが175cm、176cm、180cmとトリプル・タワーです。走れるしディフェンスもできます!
この大会は予選リーグから含めると3日で6ゲームという超ハードなスケジュールです。とても教育者が考えたとは思えません(笑)。
28日(土)予選リーグ、神奈川93-33京都、神奈川64-39広島
29日(日)決勝トーナメント 神奈川52-43秋田、神奈川64-54茨城
30日(月)準決勝 神奈川63-38東京A
■決勝 vs埼玉県
スタメン #4池田、#6太田、#8窪田、#13宮、#15奥山 平均身長168.2cm
トリプルタワーの神奈川もスタメンは#13宮と#15奥山の2人だけ。その訳は?
所属中を見るとわかるとおり坂本中3人+相模女大中4人となっている。そして両校ともガードもセンターも揃っている。ということで神奈川として坂本中中心のチームと相模女大中中心のツープラトンで行くことに。それによって12名全員を使い、体力の消耗を極力抑えるようにしました。このゲームも第1ピリオド真ん中の4分近く6-4とリードしたところで全取っ替えして相模女大チームが出てきました。
埼玉は神奈川の高さに徐々にダメージを受けます。ペイント内のシュートのみならず外郭のシュートも神奈川の長い手に戸惑い、シュートがズレます。入らないシュートは高さに勝る神奈川がリバウンドを獲得。
立ち上がりは高さを活かしたゴール下のシュートを外していた神奈川もリバウンドを支配できるのでプットバック(オフェンス・リバウンドからのシュート)でモハメドや奥山が得点、15-7とリードして第1ピリオド終了。
実は神奈川の強さは高さだけじゃないのです、本当の強さはディフェンスにあります。五十嵐コーチは「単に勝つことだけじゃなく、世界における日本の立場を考え、長身だけで勝つのではなく強いディフェンスで勝たなくてはいけない。」と考えていて、この長身選手達に「Wチーム」や「ローテーション」の練習をシッカリと教え込みました。元々能力の高い選手が多いため、高さだけで終わる選手たちじゃないと考え、大事なディフェンスを強化して臨みました。
この長身、この個人能力の高さ、勝って当たり前のチームで、選手達も優勝する気で臨んだ大会です。
チームとしては1月31日に合宿をスタート。10回の合宿中、荏田高や秦野高に胸を借りました。一度は逆転されても最後は再逆転して勝ったとか。
その後もインサイドを支配、特にオフェンス・リバウンドで優位に立ち徐々に点差が広がって行き28-11で前半を終了。後半に入り埼玉はディフェンスを強くしてパスカット等するが、ガードもシッカリとしている神奈川はそのまま69-43で勝ち、神奈川県女子に平成8年第9回大会以来19年ぶりの二度目の優勝をもたらしました。
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女子決勝◼神奈川県vs埼玉県Tip off直後からブルーのユニフォームが神奈川県。#15 が奥山(180cm)です。
Posted by Ando Takao on 2015年3月30日
最優秀選手に#15奥山が、大会優秀選手には#15奥山と#13モハメドの2人が選ばれました。
最優秀選手の#15奥山選手の母親は元富士通の選手というサラブレッド。180cmながら170cmと同じ速い動きと3Pも撃てるシュート力を持つ選手。
#14モハメド選手は今まで、身体能力を含め個人能力は高かったものの、アッサリとして淡白なプレーが多かったが上級生になる意識が出てきたのか、オフェンス・リバウンドに積極的に飛び込むなど、精神的に進歩の跡が見えた。
過去に優秀な選手が何人も県外の高校へ出て行ったが、できれば神奈川県に残ってほしい気もする反面、インターハイやウインターカップ決勝で活躍するところを見たい、という気持ちもあります。これは県全体で考えなければいけない問題でしょう。
【編集部追記】
4月4日(土)・5日(日)、町田市総合体育館において横浜ビーコルセアーズは東京サンレーヴスと対戦。もう1試合も落とせない状況において見事連勝。特に5日の試合は、オーバータイムまでもつれる接戦を制して見事勝利を収めました。
【結果】
4月4日(土) 横浜 86-65 東京
4月5日(日) 横浜 78-76 東京
GO!Go!!ビーコル!!!
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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