vol.170「ビーコル新シーズンとIH予選」
【ビーコル2023-24ロースター】
B.LEAGUE 2022-23シーズンは念願のチャンピオンシップに出場し、過去最高位のベスト4まで進出した横浜ビー・コルセアーズ(以下ビーコル)は6月にシーズン契約が終了し、退団した選手がいれば、当然ながら新たに加入した選手もいる。
残念ながら退団した選手は、スリーポイント・シュートを武器に何度もビーコルのピンチを救ってくれたハマの母さんこと森川正明(長崎ヴェルカへ)、高バスケIQでディフェンスの良い赤穂雷太(秋田ノーザンハピネッツへ)、サウスポーを活かしペイント内へアタックしたパトリック・アウダ(206cm・青森ワッツへ)、ゴール下の守護神で巨漢ながら速攻にも参加したチャールズ・ジャクソン(208cm・京都ハンナリーズへ)の4人だ。
一方で新たに海賊軍団に加わることになったのは
No.1ジェロード・ユトフ(206cm・京都ハンナリーズから)、No.40ジョシュ・スコット(210cm・宇都宮ブレックスから) No.9杉浦佑成(196cm・滋賀レイクスターズから) No.12西野曜(199cm・サンロッカーズ渋谷から)の4人。
【Welcome to Yokohama】ジョシュ・スコット選手 B.LEAGUE2022-23シーズン プレーヤーハイライト
(横浜ビー・コルセアーズ公式Youtubeチャンネルより)
【Welcome to Yokohama】ジェロード・ユトフ選手 B.LEAGUE2022-23シーズン プレーヤーハイライト
(横浜ビー・コルセアーズ公式Youtubeチャンネルより)
スタッツから、退団した選手達と新入団選手達とのプラスマイナスを比較したグラフを作成したので検証すると、数字上ではプラスになる。
詳しくは次号に。
◆河村勇輝 韓国直前合宿参加メンバーに
7月12日、公益財団法人日本バスケットボール協会は7月22日・23日に韓国で開催される男子韓国代表との国際強化試合の直前合宿メンバーを発表したが、台北との強化ゲームをケガの為に欠席した横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝を参加メンバーに加えた。
河村は当初韓国遠征メンバーに入っていたものの、最終的にはコンディション不良のため外された。気になるところだがワールドカップ本番に向けてコンディションを調整するだろう。
【インターハイ神奈川県予選】
夏と言えば野球をはじめとする高校スポーツが話題になる。
しかしこの時期に汗を大量にかくスポーツ競技を行うというのはいかがなものか?
戦後間もない頃と違い、近年温暖化でかなり気象に変化が起き、30度超えは当たり前で、35度や40度近い日が多くなっている。
そんな中、屋内競技は直射日光を浴びないとは言え、風通しが悪い屋内は、汗が身体に纏わりつき、体温が高くなる。昔に比べユニフォームの生地が進化し、汗をすぐに吸収し、さらに発散も早くなっている。…とはいえ、日本の夏は気温だけじゃなく湿度が高いため、発散する量が間に合わず、ベト付いて肌に纏わりつく。
そんな時期に行われるのは公益財団法人全国高等学校体育連盟ほかが主催する通称インターハイ(以下IHと省略)と呼ばれる「令和5年度全国高等学校総合体育大会(北海道インターハイ2023) バスケットボール競技大会」。
今年は7月25日(火)~30日(日)の間、北海きたえーる(北海道立総合体育センター/札幌市豊平区豊平5条11丁目)をはじめとして3か所で開催される。
その神奈川県予選が「第61回神奈川県高等学校総合体育大会バスケットボール競技兼令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技神奈川県予選兼第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会神奈川県予選」として県を4ブロックに分け、そこを勝ち抜いてきた男女各32チーム(合同チームがあるため「チーム」表記)とシードされた8校が加わった40チーム、男女合わせ80チームで県大会が行われた。
・IHへ行けるのは男女共に2チームだけ
競技方法は40チームを4ブロックに分けトーナメントを行い、各ブロックの勝ち上がりチーム4校でリーグ戦を行い、その上位2チームだけしかIHへ出場できない。
そのためまず各ブロックを勝ち抜かなくてはならないが、その組み合わせは関東大会予選の成績をもとに決められる。
今年度の男子、強豪は5校。それに対しブロック数は4なので、どこかの学校がブロック決勝で対戦することになり、第一関門の決勝リーグに進出できなくなる。
それが湘南工科大学附属高(以下テック)vs横浜清風高(以下清風/保土ケ谷区岩井町447)となった。このどちらかはトーナメント段階で絶対にIHへは行けないということで、この試合が第一の見どころだった。
蘊蓄を語ると、清風のコーチ(監督)・三宅学はテック出身。
今年のシード校は桐光学園高(以下桐光)、法政大学第二高(以下法政)、東海大学付属相模高(以下東海)。
この5校以外には慶応義塾高(以下慶應/港北区日吉4-1-2)、県立小田原高、県立厚木北高、そしてAブロック第2シードの慶應を破った立花学園高が挙げられる!
男子結果はこちら(神奈川県バスケットボール協会ホームページ内・PDF)を参照。
決勝リーグ以外で最も注目されたのは前述のテックvs清風戦。
5月に行われた関東大会予選では準々決勝で対戦し80-78でテックが勝っているため、清風はその雪辱を期すべく戦いに挑んだが、主力でアンダー日本代表チーム候補のNo.28長谷川比源(2年生・199cm・大道中…金沢区大道1-85-1)が早々にファールトラブルのため苦しい戦いとなり、79-74でテックが勝利した。
◇男子決勝リーグ
第1日目
・桐光84-59テック 桐光は強いディフェンスでテックのI/Sを抑えて勝利した。
・東海70-31法政 法政のシュートが入らなすぎ、手の打ちようがない状態だった。
第2日目
・法政60-54桐光 優勝候補No.1の桐光が法政のディフェンスに抑えられた。法政はvs東海戦の結果を若干引きずり得点が伸びないが、頻繁に行ったメンバーチェンジで強いディフェンスを保ち、桐光の第4Qの得点を6点に抑え60-54で勝った。
・東海81-76テック 東海はテックの強いディフェンスに得意のスリーが決まらず、無理やりのATB(リングへドリブルでアタックする)も不調で苦しい戦いに。一方テックは中外と攻め第2Qには一時25-12とリードを奪うが、東海もディフェンスの効果が表れシュートが決まり始め41-35と逆転し前半終了。後半もお互いにシュートが決まらないが徐々にテックが追い上げ58-56と迫ったが終盤のゾーンが裏目に出て81-76で東海の勝利。
*東海2勝0敗、法政1勝1敗、桐光1勝1敗,テック0勝2敗
東海2勝0敗でIH出場に大きく近づいた。逆にテックは0勝2敗でかなり厳しい状況。
第3日目(最終日)
・テック58-56法政 勝てばIH出場が決まる法政はテックのI/S攻撃を抑える一方、第2Qはディフェンス・リバウンドからの速攻を繰り出し35-24と大差を付け前半終了、このまま逃げ切るかと思われたが、テックはNo.14木村怜嗣(3年生・193cm・滝の沢中)とNo.91オディギェ・プレシャス恵(2年生・190cm・戸塚中…戸塚区戸塚町4542)のI/S等で徐々に追い上げ47-46の1点ビハインドで最終Qへ。
お互いにシュートが入らず時間だけが過ぎて行くなか、残り3分でテックNo.38穂谷野駈(3年・176cm・白山中)がスリーを決め56-55と逆転し逃げ切った。法政は終盤のピンチ時もCTO(タイムアウト)を取らなかったのが悔やまれる。
この結果、テック1勝2敗、法政1勝2敗となり同率だが、2校間だけでは直接対決で勝っているテックが上位。この時点で東海2勝0敗、桐光1勝1敗。
桐光が勝てば東海と桐光が2勝1敗で問題なくこの2校がIH出場となる。
一方東海が勝つと、東海3勝0敗でIH出場が決定するが、桐光・法政・テックの3校が1勝2敗で並ぶ。勝率が同じとなるため、当該チーム間の得失点差で順位が決まる。そこでこの3校の勝数を見ると、桐光54-60法政、桐光84-59テック、法政56-58テックで3校ともに1勝1敗の三つ巴になり、得失点差の勝負になる。
上記の成績を踏まえると、桐光[-6+25=+19]、法政[+6-2=+4]、テック[-25+2=-23]となり、vsテック戦で大差を付け勝利した桐光が一番高く全体2位となるため、最終戦を待たずにIH出場が決まった。
・桐光73-62東海 IH出場が決まった上での対戦となったが、両校とも全力の戦いとなった。
立ち上り桐光はNo.8大竹陸翔(2年生・187cm・村岡中)のI/Sから始まり、前日の法政戦では不調だったキャプテンNo.4島村俊之介(3年生・184cm・梅丘中)が積極的にシュートを決めた。対する東海は得点がNo.4佐藤清春(3年生・182cm・東鴨居中…緑区鴨居3-39-1)、No.5東明一心(3年・181cm・名瀬中…戸塚区名瀬町791-6)、No.9森野陽斗(3年生・182cm・由井中)の3人が中心のため、そこを桐光に抑えられシュートが決まらず5分で12-1とリードを奪われたが、森野等のシュートで19-17と追い上げ第1Qを終えた。第2Qでも東海は外からのシュートが多くなるが、それがリングに嫌われる。桐光は逆にI/Sをアタックし、41-23で前半を終了。
後半東海は積極的なゾーンディフェンスで反撃に出て一時追い上げるが、桐光はスリーで対抗し、逆に62-33と差を広げる。最終Qは東海が強いディフェンスを仕掛けシュートミスを誘い追い上げると桐光は残6分に続けてCTOを取り、立て直しを図り、そのまま逃げ切った。
桐光、東海ともに2勝1敗となったが、直接対決で勝った桐光が優勝となった。
結果 優勝-桐光、準優勝-東海、3位-テック、4位-法政
IHへは上位2校が出場する。
一方女子は関東大会出場・鵠沼高(以下鵠沼)と県立横浜立野高(以下横浜立野/中区本牧間門40-1)が2強。その下は混沌とした状態で、県立秦野総合高(以下秦野総合)、相模女子大学高(以下相模女)、法政、県立横須賀大津高(以下横須賀大津)、白鵬女子高(以下白鵬/鶴見区北寺尾4-10-13)、県立相模原弥栄(以下弥栄)、星槎湘南高(以下星槎)、テック、県立松陽高(以下松陽/泉区和泉町7713)、東海等が挙げられる。
女子結果はこちら(神奈川県バスケットボール協会ホームページ内・PDF)を参照。
aブロックは第2シードのテックを破った松陽が鵠沼に挑んだが跳ね返されてしまった。
bブロックも第2シード横須賀大津を横浜立野がブローアウトし順当に第1シード校が勝利した。
cブロックでは第1シードの法政が白鵬に敗れ、第2シードのアレセイア湘南も秦野総合に敗れる波乱が起きた。ブロック決勝は白鵬vs秦野総合の戦いとなり接戦が続いたが、終盤のクラッチタイムに秦野総合キャプテンNo.4大津涼夏(3年生・172cm・白山中)がファールアウトとなり69-66で白鵬が勝ち進んだ。
dブロックは第2シードの相模女が弥栄に敗れ、その弥栄を下級生中心の星槎が下し、決勝リーグ進出4校が決まった。
◇女子決勝リーグ
第1日目
・鵠沼95-43星槎
・横浜立野89-64白鵬
第2日目
・鵠沼96-73白鵬 鵠沼2勝0敗 白鵬0勝2敗
・横浜立野66-55星槎 隣のコートで鵠沼が確実に勝利しIH出場を確実なものとしそうな展開。そうなると横浜立野が勝ち2勝0敗になればこの日でIH出場校が決まる。
第1Qは横浜立野が得意のI/Sで得点しリードを奪ったが、第2QでそのI/Sを抑えられ、星槎はNo.17橋岡翠(1年生・175cm・所沢富岡中)のI/Sのシュートで逆転し37-35で前半を終える。
後半立ち上がり横浜立野はゾーンプレスを敷くが機能せず、そのためか得点も出来なくなり6分10秒星槎41-35横浜立野となったところで横浜立野がCTOを取り攻撃パターンを変更(詳細は下記石川コーチのコメントを参照)し、徐々に建て直しNo.7庵杏(3年生・168cm・戸塚中/既出)のスリーで46-46の同点に追いつき、第4QにNo.8大津瑠莉(3年生・169cm・万騎が原中…旭区万騎が原31)のATBで57-55とついに逆転し、その後、下級生中心の星槎はチームとしての経験が少なく、ミスを多発し66-55と大きく差を開かれ、横浜立野が逆転勝ちを収め45年ぶりのIH出場を決めた。
横浜立野高・石川一洋コーチ(警察官からの転身。4年前県立市ケ尾高から転任)コメント
このチームは大きい選手が多いことからI/S中心のチーム作りをした。「チームの魂」であるキャプテンNo.4松野純怜(3年生・170cm・笹下中…港南区港南5-8-1)が途中で逃げたシュートになって来たため「逃げないシュート」とアドバイスし、それからリズムが良くなった。「4Qで勝てば良い」という考えで、前半はうまくいかなくても走ることと言っている。
逆転した第4Qはオフェンスの中心を松野から大津に変えた。No.6小林來夢(3年生・169cm・追浜中)はシューターとして厳しい状況の時に頑張ってくれた。
改称前の立野高として45年前のIHに出場していた当時の先輩が応援に来てくれた。
第3日目
・鵠沼68-38横浜立野
・星槎97-88白鵬
結果 優勝-鵠沼、準優勝-横浜立野、3位-星槎、4位-白鵬
IHへは上位2校が出場する。
前述したとおり、本年は札幌で7月25日から開催される。
4校の健闘を祈る!!
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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