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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.166「ビーコルの河村勇輝から日本の河村に」

 

横浜ビー・コルセアーズ(以下ビーコル)から日本の河村勇輝になったと前回書いたが、その為か最近は全国ネットのTVをはじめ大手ネットや雑誌等のメディアでの露出が多くなり、ここで列挙しきれないほどになっており、ビーコルだけでなく日本の#33河村勇輝となったことを証明しており、嬉しい限りだ!!

 

 

 

 

さらに直近の2ゲームでブザービーター的逆転及び逃げ切りシュートを2本決め、YouTubeは勿論、TVでも取り上げられ注目度が増している。

 

<その1>
10月26日(水)バイウイークに入る直前の信州ブレイブウォリアーズ戦。直前の22-23日の茨城ロボッツ戦でまさかの2連敗を喫し、ショックを受けた後のゲームなだけに心配していた。

<その2>
10月31日(月)第98回天皇杯全日本バスケットボール選手権大会 第3次ラウンドvs川崎ブレイブサンダース戦。川崎はニック・ファジーカス欠場とはいえ、ビーコルもNo.1パトリック・アウダが右膝の故障で欠場している。

 

この2ゲームを振り返ってみよう
<その1>
信州はヘッド・コーチ勝久マイケルとアシスタント・コーチ久山智士、選手ではウェイン・マーシャルと生原秀将の4人が元横浜海賊と言う何となく親しみが湧くチームだが、信州はこのゲーム前まで平均失点リーグNo.1の64.3点とディフェンスを誇るチームで、得点するのは容易ではない。

案の定立ち上がりは得点出来なかったものの、第2Q(クォーター)ではNo.14大庭岳輝、No.23キング開、No.6赤穂雷太等若手の活躍で一度は逆転するがひっくり返され、33-38の5点ビハインドで前半終了。ロースコアの展開は信州ペース。
後半、ビーコルは途中からディフェンスをゾーンに変えペースを掴み、No.30須藤昂也の3Pシュート2本で逆転すると、No.5河村勇輝とNo.6赤穂雷太のスリー(3Pシュート)で59-55として最終Qへ。

一時はリードするものの、信州も追い付き逆転を繰り返し接戦で最終盤へ。
残48秒No.10チャールズ・ジャクソンがFT(フリー・スロー)を1本決め74-75の1点差に迫りディフェンスへ。信州は逃げ切るには48秒は時間が多く、攻めとしては中途半端な残秒。慎重にI/Sを狙いながらもショット・クロックが残5秒で外からホーキンソンがスリーを撃ったがリングの付け根に当たり大きく跳ねてNo.9森川正明が掴んだのは残27秒、ここはビーコルが守り切ったと褒めよう。

No.5河村勇輝がゆっくりとボールを運ぶ。ゲームの残秒とショット・クロックの差は2秒ほど。

残10秒ほどでNo.10ジャクソンがピック&ロールを仕掛けに始動するとNo.5河村勇輝にマッチアップしている191㎝の前田がスクリーンを避けるために積極的に前へ出た瞬間、あえてNo.10ジャクソンのスクリーンを使わず左サイドへドライブする。
左ウイング(通称45度。FTラインの延長と3Pラインが交差する辺り)の3Pライン内で急ストップしジャンプ・シュートのフェイク(ポンプ・フェイク)を掛けて前田を跳ばし、右脚をピボットにして踏み込むロング・ステップ・イン・ショット。一瞬遠すぎると思ったが、ボールはボードを使ったバンク・ショットとなり強くリングに吸い込まれた。

残り6.3秒で76-75と大逆転!!

その後はディフェンスの上手いNo.18森井健太をNo.5河村勇輝と替えことが功を奏し、焦ったマクヘンリーのミスを誘い逃げ切った!


ビーコル公式YouTube 【ハイライト】終了間際までもつれた接戦!20221026|信州 75 vs 76横浜BC残6秒 河村の逆転スリーポイントシュート

 

<その2>
神奈川ダービーといえるvs川崎ブレーブサンダース戦、今シーズン5勝4敗と好調とはいえない川崎だが、日本代表等に選ばれた選手が多く身長も高くディフェンスの良い強豪チーム。

立ち上がりは川崎ペースでシュートを高確率で決められ、さらに強いディフェンスで第1Q15-30と抑え込まれたが、第2Qはシュートも決まりだしディフェンスも良くなり追い上げ34-42で折り返す。

後半No.5河村勇輝とNo.9森川のシュートで追い上げ一度は逆転するもののその後が続かず、ヒースらに得点され53-58で最終Qへ。

その後62-55と離されたがNo.32エドワード・モリス、No.14大庭岳輝らベンチメンバーの活躍で62-64と追い上げ好ゲームが展開され、第3Q辺りから聞こえていた女子中高生とみられる悲鳴に近い声援がビーコルのシュートが入る度に聞こえる。

そして74-74で迎えた残10秒のスローイン。No.5河村勇輝がセンターのNo.10ジャクソンへボールを入れ直ぐに戻しNo.10ジャクソンはFTラインでピックアンドロールの準備をする。

残5秒、No.5河村勇輝が始動するとNo.10ジャクソンがスクリーンを仕掛けに行く。するとNo.5河村勇輝をマークしている藤井が下がった(アンダー)、同点なので1点余計に取れば良いので「スリーは来ずドライブをして来る」と判断したのだろう。No.10ジャクソンがリング方向へ動いたことからパスを警戒して、さらにゴール下の方へ動いた。

No.5河村勇輝の前が2mほど空いた。

この数ゲームは終盤に積極的に撃っているNo.5河村勇輝がこれを見逃すはずがなく、ドリブルして3Pライン1m後方から思い切ってシュート!

ボールがネットに吸い込まれた途端に場内はキャーと言う悲鳴に近い叫び声が響く。残り時間は1.1秒

77-74と逆転し初の天皇杯ベスト4進出を決めた!!


ビーコル公式YouTube【ハイライト】残り1.1秒で河村が!前回王者
川崎から劇的勝利!天皇杯3次ラウンド 2022.10.31|横浜BC 77vs74 川崎

 

なおNo.5河村勇輝はFIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア地区予選 Window5に向けた強化合宿に招待された。

またSoftBank ウインターカップ2022令和4年度第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会の大会アンバサダーに就任することが決定した。

 

 

◆ビーコルの開幕戦からを振り返ってみよう
今シーズンの開幕戦はホーム国際プールではなく、アウェー広島サンプラザホールに乗り込み、広島ドラゴンフライズとの対戦だった。

■10月1日(土) ビーコル96-89広島ドラゴンフライズ ゲーム①
前半はシュートが決まらずリードされ第2Qにスリーも決まりだし良い展開になったが、前半終了近く広島に決められ42-55とリードされ前半を終えた。リードされているとはいえ昨シーズン平均76.5得点だったことを考えると、得点力が付いたと言える。

終盤No.15オリバーのI/S(インサイド、ゴール下周辺)の活躍で追い付き逆転し、残2分には90-80と10点差を付け、No.5河村勇輝がとどめのスリーを決め96-89で開幕第1戦を勝利で飾った。

No.10ジャクソン24P、8TR No.15オリバー23P、11TR No.5河村勇輝15P、7Ast(注釈 P=得点、TR=リバウンド総数、Ast=アシスト、Stl=スティールの略)

 

■10月2日(日) ビーコル68-70広島ドラゴンフライズ ゲーム②
競ったゲームだったが広島は残り1秒の場面、スローインで受けたボールを佐土原がそのままシュート、勝ち越しブザービーターを沈められ68-70で広島に雪辱された。

No.10ジャクソン22P、7TR、No.15オリバー7P,12TR、No.5河村勇輝15P、7 Ast、13Stl ⇐ダブルダブル(WW、2カテゴリーで2桁になること)

 

■10月8日(土) ビーコル64-68島根スサノウマジック ゲーム①
2Q前半に島根にリードされたがNo.10ジャクソン、No.15オリバー、No.23開などの活躍で34-39と追い上げて前半を終え、後半はさらに追い上げ最終Q残3分に一度はNo.5河村勇輝のシュートで逆転したがそこで息切れ、4点差で破れ成績は1勝2敗。良いディフェンスだっただけに残念だった。

No.5河村勇輝16P,12Ast,4TR,2Stl (WW2連続2回目)、No.10ジャクソン16P 13TR No.15オリバー8P,16TR,4Ast

 

■10月9日(日) ビーコル64-68島根スサノウマジック ゲーム②
島根に先制されたもののNo.5河村勇輝の得点とアシストで逆転し、一時は12点差を付けたが安藤の3本のスリーで39-38と1点差に詰め寄られ前半終了。

後半に入り接戦を繰り広げたが、疲れが出た終盤に津山がスリーを連発し75-89と差を付けられ同一カード2連敗を喫してしまった。通算1勝3敗

No.1アウダ18P 3Stl No.5 河村勇輝16P 3TR 11Ast  3Stl (WW3連続)No.10ジャクソン11P  5TR No.15オリバー 10P  8TR  2Stl

 

■10月15日(土) ビーコル84-91名古屋ダイヤモンドドルフィンズ ゲーム①
ホーム開幕戦はNo.5河村勇輝人気でソールドアウトとなった国際プール、相手は4ゲーム平均得点90.3点の強豪・名古屋D。

ホーム最初の得点はNo.5河村勇輝のスリーのプットバック(オフェンス・リバウンド後のシュート)をしたNo.10ジャクソン。しかしその後は神奈川県桐光学園出身の齋藤拓実に得点され21-24とリードを許し、さらに須田の3ポイントシュートなどで9点差を付けられたが、No.5河村勇輝を中心にNo.9森川のスリーとNo.10ジャクソンのI/Sで43-45と追い上げて前半終了。

第3QはNo.9森川やNo.10ジャクソンの速攻で49-48と逆転したが、名古屋Dは齋藤や須田のスリーで再度逆転し、そのまま突き放され63-72第3Qを終えた。

最終QではNo.5河村勇輝やNo.1アウダのゴール下で81-83と詰め寄るがそこに齊藤が立ちはだかり逆転できず84-91の7点差で敗れた。

残2分10秒、No.1アウダがNo.5河村勇輝からのパスを受けリングへ向かってワンドリブルでシュートし決めたが、着地時に左膝を痛め退場した。それ以降プレー出来ていないので心配だ。

No.10ジャクソン21P 14TR No.30須藤14P, No.15オリバー13P 7TR 4Ast 2Stl No.9森川10P No.5河村勇輝7P 12Ast.2Stl (WWならず)

 

■10月16日(日) ビーコル88-78名古屋ダイヤモンドドルフィンズ ゲーム②
肋軟骨損傷のNo.6赤穂に次いでNo.1アウダまでケガで欠場のためベンチメンバー9人でスタートという苦しいゲームだが、こういう時に強いのが海賊の海賊たる所以だ!

No.10ジャクソンがリバウンドやI/S、No.5河村勇輝が得点しそれにNo.23キング開が続き、28-26リードして第1Qを終える。その後No.5河村勇輝がベンチに座っている間、オフェンスリズムが掴めず、逆に須田らのスリーで40-52と大きく点差を広げられて試合を折り返した。

後半クラークの3Pでこのゲーム最大の16点差を付けられたが、ここから反撃がスタート。No.5河村勇輝の7アシストでNo.9森川が12得点し、強めたディフェンスが相まって、65-64と逆転して最終クォーターへ。第4Qは中盤からNo.5河村勇輝の積極的なシュートでリードを広げ88-78で勝利し、満員のブースターの前で連敗ストップと嬉しいホーム初勝利を挙げた!

No.5河村勇輝22P(3P2/5) 12Ast(WW)5TR 2Stl No.10ジャクソン20P 10TR No.9森川14P(3P2/2) No.23キング13P No15オリバー11P(3P2/3) 10TR 8Ast

 

■10月22日(土) ビーコル77-84茨城ロボッツ ゲーム①
ホーム連続2週目となる上、対戦前まで平均失点89.0点とディフェンスが弱くビーコルと同勝敗数の2勝4敗、東地区7位の茨城相手、さらに前週は強豪・名古屋Dに勝っているビーコルとすれば1勝は当たり前で2連勝を目指していたはずのビーコル。

立ち上がりが良すぎた。No.15オリバーのスリーに始まりリバウンドからNo.10ジャクソン、No.15オリバー、No.5河村勇輝の3連続速攻などで3分半の間に9-0としたことが悪い方向へ行ってしまった。私は1DS(第1Q出来過ぎシンドローム)と呼んでいるが、立ち上がりのシュートや攻撃が好調過ぎると、過信したりシュート感覚が甘くなったりし、気持ちが緩む。対する相手は逆に「これはヤバいぞ!!」と気を引きしめる。

一度緩んだ気持ちは簡単には戻らないモノで、入るだろうと安直にシュートし、ミスを繰り返すことになり終わってみれば負けていた、ということになる。

No.5河村勇輝18P(3P0/4)5TR 11Ast(WW) 3Stl No.15オリバー18P 15TR 3Ast No.10ジャクソン14P 14TR No.14大庭9P(3P3/6)

 

■10月23日(日) ビーコル77-84茨城ロボッツ ゲーム②
No.9森川とNo.6赤穂の3Pで40-38と辛うじてリードを保ち前半終了。後半もNo.10ジャクソンのI/SやNo.23キングの得点で拮抗した展開だったが、2分を切ってタブコットと平尾のスリーが決まり77-84で連敗した。

敗因は2つ。ひとつはNo.9森川の疲労。No.1アウダの欠場で外国籍選手のディフェンスに回ることが多く、体力を削られ大事な終盤にシュートが撃てなく入らなくなったこと。

もうひとつは、ロボッツがvsNo.5河村勇輝用の特別なディフェンス・システムを作り抑え込んだこと。グラフを見るとFG試投(フィールドゴール・アテンプト)数がガクンと落ちている。実はゲーム①でも特別なディフェンスをしたが今ひとつ効果が無かったため、バージョンアップしたディフェンス・システムを考えたという。

そのシステム作りを任されたのがアソシエイト・コーチ福田将吾。覚えているブースターも多いと思うが2019-20のビーコル・アシスタント・コーチ、後にヘッドコーチに就任している理論派で、実は「あんたかファミリー」の一員。将吾だったら考えられるだろうなと腑に落ちたし、ショックだった(笑)。

No.10ジャクソン19P 12TR No.9森川14P(3P4/8) No.23キング12P(3P2/4) No.5河村勇輝10P(3P0-3) 14Ast(WW) 5TR No.15オリバー10P 7TR 3Ast No.6赤穂10P(3P2/4)

 

■10月26日(水)ビーコル76-75信州ブレイブウォリアーズ 
上記<その1>参照

 

 

 

◆10月31日(月)天皇杯 ビーコル77-74川崎ブレイブサンダース
宮崎県早水公園体育文化センター、上記<その2>参照
4次ラウンド<ベスト4>12月7日(水)トッケイセキュリティ平塚総合体育館 19時
対戦相手B1三遠ネオフェニックス

◆ビーコルホームゲーム・スケジュール
11月19日(土)15時05分 20日(日)14時05分 vsアルバルク東京 @国際プール
11月26日(土)15時05分 27日(日)14時05分 vs新潟アルビレックスBB @国際プール

応援お願いします Go B-Cor !!

 

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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