vol.165「河村と新ビーコル」
今の日本バスケ界のみならず一般的にも、日本を代表する男子バスケ選手と言ったら八村塁を抑え、うちの子「No.5河村勇輝」以外考えられない。とは言い過ぎか?
数年前から最年少Bリーガーとか注目されていたが、大方の専門家は「スピードとアシストだけでどこまで世界に通じるのか?」と見ていたと思う。
そんな疑問を一気に晴らしたのが、7月13日FIBAアジアカップ予選ラウンド(インドネシア、ジャカルタ開催)NBAシーズンを終えた渡邊雄太が新たに加わり、注目のゲームとなったグループCのカザフスタン戦だった。
そのゲームを振り返る前に7月から8月まで、河村が出場した国際ゲームを時系列で追ってみよう。
◆FIBAワールドカップアジア予選Window3
・7月3日 日本89-49台湾 *このゲームで河村は日本代表デビュー。ここで認められ7月12日からのアジアカップのメンバーに
・7月13日 〇日本100-68カザフスタン
・7月15日 〇日本117-56シリア
・7月17日 ✕日本76-88イラン
・7月20日 〇日本102-81フィリピン ベスト8進出
・7月21日 ✕日本88-99オーストラリア 準々決勝
◆強化ゲーム
・8月13日 〇日本82―77イラン
・8月14日 〇日本85―58イラン
◆FIBAワールドカップアジア予選Window4
・8月25日 ✕日本68―79イラン アウェー ホーバス・コーチ及び帰化選手欠場
・8月30日 〇日本73―48カザフスタン@沖縄アリーナ
*バスケ世界ランキング
オーストラリア/3位 イラン/23位 フィリピン/34位 日本/38位 カザフスタン/68位 シリア/83位
重苦しい展開となった7月13日カザフスタン戦で、No.33河村(代表チームでの番号は33)が登場したのは第1Q2分17秒12-17の場面だったが、いきなりNo.3エバンスへAST(アシスト、得点に直接結びつくパス)を送り驚かせた。
前半は45-48の3点ビハインドで前半を終えると、富永のFTで62-57と差を開き始めた第3Q、途中からコートに出て来るや否や、ドリブルで運ぶガードのバラショフから奇麗なSTL(スティール、相手ボールを奪うこと)からワンマン速攻を決め、さらに相手パスを読み切ってSTLし、ドリブルで楽々レイアップを決めた。
16秒間で4得点し、66-57と一気に9点差を付けたことが大きく、それが引き金となり日本はその勢いで第3Qを74-59と15点差を付けことで、勝負を決定付けた。
このプレーがTVで何度も流れたこともあり、No.33河村が一気に脚光を浴びることとなった。
このゲームのNo.33河村について、日本男子代表チームのトム・ホーバス・コーチは次のように言っている。
「河村選手は試合に出るとスイッチオンするタイプ。常にスティールを狙っており、この試合も2本のSTLからレイアップを決めたプレーがターニングポイントになりました。
そこから渡邊選手ら経験ある選手たちも、若い選手のあのプレーを見てみんなのモチベーションもエナジーもすごく上がっていきました」
そのコメントに対し、No.33河村は「自分の役割は限られた時間の中で、ひとつのプレーで流れを変えることだと思っているので、そこをヘッドコーチに評価されたのは嬉しいです」と謙虚に返した。
またNo.12渡邊雄太は「彼の視野やパスセンスのすごさは、練習から分かっていました。特に僕がゴール下でフリーになった時にすかさずにパスを出して、ダンクを決めた場面は彼の良さが出たシーンでした。ベンチから出てきて、あのようなパスで味方を活かしたり、特に昨日の試合は彼のディフェンスから流れを引き寄せて後半の大量リードにつながりました。このゲームのMVPは彼だったと思います」と、これまたベタ褒めだった。
さらに千葉ジェッツのNo.2富樫勇樹は「あれが彼の持ち味なので、なんの驚きもないです。シーズン中から何度も対戦していますし(実際3月23日vsビーコル戦@国際プールで終盤の逆転を狙う場面でドリブルを奇麗にSTLされ、それがビーコルのダメ押し点に繋がっている)、シンプルに彼らしいプレーが出ただけです。あれぐらいできることはみんな知っていますが、国際試合ではあのスピードの選手を見たことがないと思うので、相手にとっては脅威になります」
その後のゲームでもSTLや目の覚めるようなASTを何本も決め、それがTVで日本中に流され、彼の活躍と実力が知れ渡った。
とはいえ、課題もある。8月中旬に行われた強化試合では「彼はシュートもあるのに何で打たないんだ」
さらに「問題は彼のマークマンが下がった時に打たなかったこと。それを直さないと次のレベルには行けないと思います」と、消極的なシュートセレクションをホーバス・コーチに注意されたが、Window4初戦のイラン戦では、11分の出場でFG(フィールドゴール、フリースロー以外のシュート)5本とシュートチャンスでしっかり打ち切っており、指揮官の要望にすぐに対応している。
撃てないわけではないのだ。
河村はシュートに対し「自分の意識を少し変えるだけで出来ることだと思うので、そんなに難しいことではなかった。これはホーバス・コーチから求められていることで、僕自身狙えるところでは撃っていかなければいけない気持ちでアテンプト(Attempt.試投。シュートを撃つこと)を増やしました。撃てるところで撃てた感触はあるので、あとは決めるだけかなと思います」
Window4が終わり、11月中旬のWindow5まで代表チームは一時解散となる。そのため、河村は8月30日のカザフスタン戦を「3カ月間やってきたことの集大成」と位置付けていた。
「若いからといって、怖じ気づくことなくプレーすること。自信を持ってプレーすることを教わりました。技術的なことでいうと、スコアを狙いながら自分の役割と他の選手の役割を理解してプレーすることを学ぶことができました。それはホーバス・コーチのバスケットじゃなくても生かせるポイントだと思いますし、この3カ月間で学んだことをBリーグ(ビーコル)に戻ってもやっていければいいと思います」
そのNo.5河村のプレーが見れるのはビーコル(横浜ビー・コルセアーズ)だけ!
河村勇輝 アシスト集 – YouTube
さてそのビーコルだが、、、、、
No.5河村(ビーコルでは5番)を含め今シーズンのビーコルは11人で戦う計画で、昨シーズンからフォワード・レイトン・ハモンズ、センター・レジナルド・ベクトン、ガード生原秀将、G/F古牧昌也、ガード阿部龍星、F/C土屋アリスター時生の6人が抜けている。
それに対する新加入選手は、外国籍選手ではインサイドには昨シーズン広島戦でゴール下でビーコルを苦しめたNo.10チャールズ・ジャクソン(208㎝)とB2仙台で活躍していたフォワードNo.15デビン・オリバー(203㎝)とNo.6赤穂雷太(196㎝)の3人だけで、計11人の少数精鋭主義でいくことになった。
No.6赤穂は、19-20シーズンに特別指定で居たので新加入ではない。両親共に日体大バスケ部、双子の妹はオリンピックで活躍した赤穂ひまわりというバスケ一家で、バスケIQが高いオールマイティーな選手。
ガードはNo.5河村とNo.18森井健太の2人で、かなりレベルが高いとは思うが、この2人のどちらかが負傷した時はどうするのか竹田GMに聞くと、No.23キング開もPG(ポイントカード)に起用できると言っていた。実際にはあと1人欲しいところだが、シーズン途中から特別指定で大学生を取るかもしれない。まあいざとなれば赤穂のPGも考えられる。
大きな選手が担うI/S(ゴール下周辺)は、純粋なセンターのNo.10ジャクソンと外から切れ込むのが巧い3年目そして昨シーズンのポイントゲッターNo.1パトリック・アウダ、彼はNo.5河村との相性が良く、昨シーズンはピック・アンド・ロールが良く決まっていたのを覚えている読者も多いともう。
そしてそこに外も中も攻められるフォワードタイプのNo.15オリバーがいる。
外から攻めるのは、昨シーズン3P成功率42.9%でリーグ5位No.7森川正明、ピュア・シューターNo.14大庭岳輝(3P成功率34.4%)、3Pでいえば成功率35.2%のNo.30須藤昂也も忘れてはいけない。シュートだけではなく強いディフェンスも彼の魅力のひとつ。
昨シーズン途中から加入のNo.23キング開はNo.5河村とのコンビが良く、河村からのパスでスリーを決めるのが多い気がする⇐単なる妄想かもしれないが(笑)
そしてそれらをまとめるのが新キャプテンNo.18森井健太、アシストに関しては河村が多すぎて陰に隠れているが、1ゲーム平均5.3本でリーグ8位である。
*No.5河村は1ゲーム平均7.5本、リーグでもダントツなのだが、特別指定選手として途中加入のため規定ゲーム数が足らないためランキングされていない。因みに1位富樫は6.4本
そしてプレータイムこそ少ないがリバウンドや外国籍選手へのディフェンス等、地味なプレーで貢献している帰化選手枠No.32エドワード・モリスも外せない。
今シーズン残留している日本人は昨シーズンのプレータイムが11分以上で、得点が出来てディフェンスも強い選手ばかり。今シーズンは良いタイムシェアが出来るはずだから、今まで以上に強いディフェンスが期待出来る。
河村勇輝のプレーを見るならビーコル!
メディアの注目度も高く開幕戦のチケットは残り少ないらしい。
早めに手配することを勧める!!
◆ホーム開幕戦◆
10月15日(土)15時05分 vs名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
10月16日(日)14時05分 vs名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
詳細はこちらを
【2022-23シーズン】10月開催ホームゲーム 観戦チケット販売情報 | 横浜ビー・コルセアーズ (b-corsairs.com)
「うちの子」年配のビーコル・ブースターさん達は代表チームに派遣されたNo.5河村勇輝の事を「可愛らしさと誇らしさ」で「うちの子」と呼んでいるので私も使ってみた。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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