vol.161 ビーコル河村の加入
あなたはビーコルの河村を見たか!?
1月23日 vs秋田ノーザンハピネッツ戦
ドリブルで右サイドからATB(ドリブルでリングにアタックを掛けるプレー)で抜きかかったとき、見えないはずの真後ろにパスを出した。
それは第4Q残9分07秒、No.5河村勇輝(172cm・以下、河村)は、右ウイングでNo.7レジナルド・ベクトン(206cm・以下、ベクトン)とのピック&ロール(スクリーンプレー)の時、意表をついて2人のディフェンスの隙間をドリブルで割って入っていた。これだけでも驚いたのに、その後身体を前に向けているのに真後ろへトス、考えられないプレーだが、後ろにはベクトンがフォローしていてしっかりとキャッチ、そしてレイアップを決めリードを5点に広げる73点目となった。
スロー再生を見ると直前にチラリと左後ろのベクトンが動いているのを見ている。その後は河村の高いバスケIQでベクトンが動いた位置を計算してそこへパスを出した。
これは、その夜のスポーツニュースでも取り上げられていたのでご覧になった方も多いはず。
<【河村勇輝ハイライト】キャリアハイの26得点!延長戦の激闘を制する!|2022/1/23|秋田ノーザンハピネッツvs横浜ビー・コルセアーズ(第17節GAME2)>
<第17節アウェー秋田戦GAME2・河村勇輝選手試合後インタビュー>
それでは前号(vol.160)以降の成績を見てみよう(下線の試合が勝利)。ここまでは6勝5敗。
◆11月10日(水)ビーコル75-84群馬クレインサンダース @太田市運動公園市民体育館
日曜日に7勝2敗西地区2位(対戦前成績。以下同様)の三河②に勝ち、その勢いで4勝7敗の群馬を破るかと期待したが、遠征の疲れかモチベーションが上がらず敗戦。これが連敗のスタートとなった。
◆11月13日(土)ビーコル61-75宇都宮ブレックス① @横浜国際プール
◆11月14日(日)ビーコル67-70宇都宮ブレックス② @横浜国際プール
7勝5敗東地区5位と、調子の上がらなかった宇都宮との対戦。ゲーム②でディフェンスが機能して好ゲームを展開したが最後にひっくり返された。勝てたゲームだった。
◆12月4日(土)ビーコル69-74レバンガ北海道① @北海きたえーる
◆12月5日(日)ビーコル72-75レバンガ北海道② @北海きたえーる
「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」を挟み3週間ほど間が空いたためか、相手は5勝9敗東地区9位とビーコルより下位チームながら、まさかの連敗。
痛かった!!
◆12月11日(土)ビーコル77-90川崎ブレイブサンダース① @横浜国際プール
◆12月12日(日)ビーコル77-103川崎ブレイブサンダース② @横浜国際プール
12勝4敗東地区2位と好調の川崎を迎えたが、シュートを止められず連敗。
◆12月15日(水)ビーコル78-104千葉ジェッツ @千葉ポートアリーナ
14勝4敗東地区2位の強豪千葉には、歯が立たなかった。
◆12月18日(土)ビーコル72-76 滋賀レイクスターズ① @ウカルちゃんアリーナ
◆12月19日(日)ビーコル98-85 滋賀レイクスターズ② @ウカルちゃんアリーナ
ゲーム②では、3勝16敗西地区6位の滋賀を終始圧倒し逃げ切り、今期最高得点を記録して連敗を9でストップ!
出来ればゲーム①を勝っておきたかった!
◆12月25日(土)ビーコル79-81琉球ゴールデンキングス① @横浜国際プール
◆12月26日(日)ビーコル66-79琉球ゴールデンキングス② @横浜国際プール
河村、No.23キング開(185cm)の2人が特別指定で加入。ゲーム①からベンチ入りしたが、チームと合流して1週間も経っておらずプレーも噛み合わない場面も多く、あと一歩まで追い上げたが届かず惜しい敗戦だった。もう1週間ほどゲームが遅かったら違う結果になっただろう。
◆12月29日(水)ビーコル86-75 新潟アルビレックスBB @シティプラザアオーレ長岡
2021年最終ゲーム。相手の新潟は2勝22敗で最下位チーム。立ち上がりこそリードを許したものの河村のシュートなどで逆転してからは終始圧倒し、2021年を勝利で締めくくった。
2022年
◆1月2日(日)ビーコル92-67大阪エヴェッサ① @横浜国際プール
◆1月3日(月)ビーコル69-98大阪エヴェッサ② @横浜国際プール
新年最初のゲームは、ディフェンスが機能したことと河村の積極的なオフェンスで、12勝12敗西地区6位の大阪を強いディフェンスで抑え込み25点差の大勝だったが、ゲーム②では大阪の驚異的シュート力で逆に大敗を喫してしまった。
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大阪の選手2人の新型コロナウイルス感染の陽性判定を受け、対戦したビーコルは濃厚接触者となり、1月5日(水)検査を受けた結果No.1パトリック・アウダ(206cm・以下、アウダ)、ベクトン、No.46生原秀将(182cm・以下、生原)が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けた。3選手は保健所の指示に基づき療養となり、チームの活動(練習も1月6日(木)から停止状態)詳細は《コロナとバスケ界》に。
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◆1月22日(土)ビーコル78-97秋田ノーザンハピネッツ① @ナイスアリーナ
◆1月23日(日)ビーコル102-97秋田ノーザンハピネッツ② @ナイスアリーナ
18勝10敗東地区5位でディフェンスが強い秋田。一方ビーコルは17日(月)から練習再開という、最悪の状態で対戦。
ゲーム①ではコンビネーションも合わず大差を付けられてしまったが、実は後半に関しては47-45で勝っていた。
ゲーム②では見事に立ち直り大差を付けたものの追い付かれ、87-87でオーバータイム(延長戦)に突入。残り1分を切り94-93と1点リードと言う緊迫した場面で、体調不良でエントリーされなかった生原の代役ともいえるNo.18森井健太(178cm)がスピードに乗ったドリブル・アタックでディフェンスを振り切りレイアップ・シュートを決め、更にファールも誘っていて、and1(バスケットカウントワンスロー)も決め97-93としたことが直接の勝因。全選手のモチベーションの高さこそが真の勝因!!オーバータイムながら、チーム最高得点でリベンジした。
1月24日(月)現在
10勝18敗 勝率.357 東地区9位
冒頭に書いたように、河村の加入がビーコルに大きなエナジーを生んでいる。
勝敗では、
河村加入前は7勝12敗(.368)、加入後が3勝4敗(.428)と、微妙だが勝率は上がっている。勝ちゲームと負けゲームで各カテゴリーを比較してみよう。
※注釈
M:出場分数、PTS:得点、3PM:3点シュート成功数、3PA:3点シュート試投数、3P%:3点確率、AST:アシスト、STL:スティール(相手ボールを奪うこと)、TO:ターンノーバー(ミス)
これを見るとスリー(3点シュート)を多く撃って確率が高ければ勝つし、得意のアシストが多い方が勝つ。当然と言えば当然だが、彼の成績がビーコルの勝敗を左右していることになる。
一方、昨シーズンと比較してみると出場時間、得点、スリーの成功率が良くなっていて、試投数が少なくても良い場面で撃っていることが想像できる。得意のスティールが昨シーズンの約2倍になっていることが嬉しい。相手が警戒するようになれば、攻めの範囲も狭くなるはず!
加えて、アシストが多くなりターンノーバーも多くなったのは、出場時間と共にボールを持っている時間が長くなったことも要因に一つだろう。それはすなわちビーコルの主力となったことを表している。
もっとも、彼の魅力は数字では無くプレーそのもの!
俊敏でスピードが有り、昨シーズンより積極的にドリブルで突破しシュートへ持ち込む。バランスが崩れてもシュートを決めるのが彼の魅力。
更に、シュートと見せかけアウダらのI/S(インサイド。ゴール下周辺)陣へパスを出す。シュートへ持ち込むことが多いだけに、ディフェンスは彼に引っ張られ必死にシュートを守ろうとすると、そこからパスを出す。相乗効果が生まれているわけだ。
ブースターの多くが、彼のプレーに魅了されるのが良く判る。
次回ホームゲームは、2月5日(土)6日(日)vsレバンガ北海道戦@横浜国際プール。前回はアウェーで連敗を喫しているが、今回は違うところを見せてくれるだろう!!
【観戦ガイド】横浜ビー・コルセアーズ vs レバンガ北海道
《コロナとバスケ界》
新型コロナは社会生活だけでは無く、バスケ界にも影響を与えている。
1月はビーコルを直撃し、ホームゲーム延期や練習休止に追い込んだ。それをビーコルからのプレスリリースから拾い出し、時系列で追ってみよう。
◆1月2日(土)、3日(日) vs大阪エヴェッサ戦
◆1月5日(水)11時
アルバルク東京の選手1名が、新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けた。それを受け「8日、9日に開催を予定していた第16節アルバルク東京戦の開催が中止となる可能性があり」と、発表があった。
【開催中止の可能性となる理由】
試合成立に向けては、「B1・B2リーグ戦試合実施要項 第6条第3項第3号」に規定する試合エントリー要件を充足する必要があるが、管轄保健所の調査結果によってはアルバルク東京所属の他の選手およびチームスタッフにも濃厚接触者判断が及ぶ可能性があり、その場合アルバルク東京のエントリー可能選手が「Bリーグ規約 第55条第2項第2号」に規定する8選手に満たない可能性があるためだ。
◆1月5日(水)15時
「2日、3日に対戦した大阪エヴェッサの選手2名が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けた」との発表があり、これを受け、ビーコル所属の選手およびチームスタッフも管轄の保健所による濃厚接触者の調査対象となった。
5日に実施したクラブ独自のPCR検査で、アウダ、ベクトン、生原の3名が陽性判定。3選手は保健所の指示に基づき療養に入った。
◆1月6日(木)18時
6日朝、3選手がPCR検査の結果、陽性判定
※アウダ、ベクトン:6日時点で症状なし
※生原:発熱、咳、喉の痛みあり(37.6度)
◆1月6日(木)20時
アルバルク東京所属選手6名が、濃厚接触者と判定された。
これに伴い「B1・B2リーグ戦試合実施要項 第6条第3項第3号」に規定する試合エントリー要件を充足できない為、「Bリーグ規約 第55条第2項第2号」に則り、『第16節1月8日(土)、9日(日)アルバルク東京戦の開催中止』が決定した。
◆1月7日(金)19時
新たに、No.8古牧昌也(186cm・以下、古牧)と運営スタッフ1名が陽性判定を受けた。
5日に全選手及びチームスタッフがクラブ独自のPCR検査を実施。上記3人以外新たな陽性者はいなかったが、その後古牧が喉の違和感を訴えたため医療機関で再検査を行い新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けた。古牧は保健所の指示を待ち、自宅にて療養。
更に7日16時時点で、新たに選手2名が体調不良を訴え、医療機関にて再検査を行い結果待ちとなっている。検査結果が判明次第報告する。また、運営スタッフ1名からも体調不良の訴えがあり、医療機関の抗原検査で陽性が確認された。
◆1月9日(日)18時30分
キング開と選手A、チアリーダーズB-ROSEメンバー1名、運営スタッフ2名、その後No.9森川正明(191cm)が陽性判定を受けた。
また6日に発表した3選手の陽性判定に伴い、管轄保健所より、陽性判定を受けた選手を除いた選手・チームスタッフ計18名が濃厚接触者の判定を受けた。
◆1月11日(火)11時
B-ROSEのメンバー1名が陽性判定を受けた。また、運営スタッフ1名も体調不良ため医療機関でPCR検査を実施し、陽性が確認された。
◆1月12日(水)20時
新型コロナウイルス感染症 陽性判定者の経過についての報告
4日に発表した大阪エヴェッサ所属選手2名の新型コロナウイルス感染症陽性判定を受け、チーム活動を休止し、5日に全選手及びチームスタッフがクラブ独自のPCR検査を実施。その結果、選手3名が陽性判定を受けた。
その後、4選手が体調不良を訴えたため、再検査を行い、本日までに計7名の選手が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受け、その他の選手・チームスタッフ18名が管轄保健所より濃厚接触者の判定を受けた。
陽性者ならびに管轄保健所により判定を受けた濃厚接触者については、保健所の指示に基づく療養と、健康観察および行動制限を行っている。
トップチームの活動については、4日からこの制限期間を終えるまで休止とする。
【陽性者の療養期間および濃厚接触者の行動制限期間について】
◇濃厚接触者:1月17日(月)まで
◇陽性者 当該選手の症状は落ち着き、回復に向かっている。
チームへの合流については、症状を発症した日程や今後の経過観察、保健所の指示等の理由により、当該選手それぞれ異なるが、1月18日(火)頃の予定。
◇チーム活動再開予定日:1月18日(火)
※12日17時時点で、陽性判定を受けた選手を除くその他の選手及びチームスタッフに新型コロナウイルス感染症や風邪の症状等を呈している者はいない。
◆1月15日(土)17時
14日に厚生労働省より発表された「濃厚接触者の待機期間短縮(14日間から10日間)」を受け、保健所への確認により、トップチームの濃厚接触者の行動制限期間が変更となった。
◇濃厚接触者の行動制限期間:1月17日(月)まで→1月13日(木)まで
◇チーム活動再開日:1月18日(火)→1月17日(月)から 1日早まった!
◆1月18日(火)12時発表
代替試合日程決定
【対象試合】B.LEAGUE 2021-22シーズン B1リーグ戦 第16節
横浜ビー・コルセアーズ vs アルバルク東京
GAME1:2月13日(日) 16:05TIPOFF @トッケイセキュリティ平塚総合体育館
GAME2:2月14日(月) 19:05TIPOFF @トッケイセキュリティ平塚総合体育館
以上、ビーコルに関するコロナ騒動でした。
ビーコルはどうやら一段落したものの、子ども達の大会が軒並み中止となっている。
中学生は「神奈川県中学校バスケットボール新人大会」が昨年12月に行われていてセーフだったが、例年この時期、高校生は「神奈川県高等学校新人バスケットボール大会(兼関東大会予選)」、また、ミニは「全国ミニバスケットボール大会神奈川県予選」もあり、新年最初の大会が目白押しのはずだった。
高校生にとっては新チームになって初の公式戦という位置づけだったが、神奈川県高等学校新人バスケットボール大会3回戦で中止となった。また、「神奈川県U14バスケットボールリーグ2021」は1回戦が行われたものの、それ以降は2月 19 日(土)以降に延期となった。
ミニに至っては、各地区大会後の県大会が行われたものの準決勝の時点で中止という残念なことになった。
早くコロナ禍が収束し、子ども達の大会が再開することを願っている!
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
※タイトル・本文に記載の人名・団体名は、
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