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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.159「オリパラとビーコル開幕直前」

オリンピック、パラリンピック 共に感動的でしたね!!
オリンピックでは新種目の「3×3」が男女共に惜敗で、あと一歩のところで決勝トーナメントに進出を逃してしまい、残念でした。

 

◆オリンピック◆

5人制男子は、予選ラウンドにあたるグループ・リーグではワールドカップ2019優勝のスペインに77-88、NBAでもMVPクラスのルカ・ドンチッチを擁するスロベニアに81-116、ワールドカップ2019準優勝アルゼンチンに77-97と破れ、グループ・リーグ敗退。対戦チームはいずれも世界の強豪チームでした。

色々と問題点が浮き彫りになりましたが、コーチと主力選手は残して欲しいですね。強化と言うのは数年で出来るものでは無く、10年以上はざらにかかります。
今まで日本バスケットボール協会は、負けるたびにコーチに責任を取らせてきました。就任時には長期計画で、とか言っておきながら数年で代えたため、強化はブツ切れ状態となり、一向に進化しないまま世界では弱者のままだったのです。

2017年にアルゼンチンのフリオ・ラマスを男子コーチに任命しました。アルゼンチンを世界の強豪国にした実績のある「世界を知るコーチ」です。いや、実績だとか技術論とかに関係なく、気持ちや技術を継続させることが大事なのです。

最低10年は指導させたいものです。続行させてください!!

 

男子の悔しさを晴らしてくれたのが、女子です。
記憶に残るのは準々決勝vsベルギー戦ですね。土壇場の残14秒に林咲希のスリーで逆転勝ちして、テレビで多く取り上げられました。そして準決勝ではグループ・リーグで苦戦したフランスに圧勝して、初の決勝進出とメダルを確定しました。

下に日本チームの成績を書き出しました。

予選ラウンド グループ・リーグ
日本74-70フランス
日本69-86アメリカ
日本102-83ナイジェリア
2勝1敗で決勝トーナメント進出を決めた

準々決勝 日本86-85ベルギー
準決勝 日本87-71フランス
決 勝 日本75-90アメリカ

 

この女子代表チームで横浜に関係のある選手と言えば、宮澤夕貴(みやざわ・ゆき)でしょう。

神奈川県横浜市生まれで小学生時に泉区の岡津ミニでバスケットボールを始め、市立岡津中学へ。中2の時にジュニアオールスター神奈川県代表に選ばれ出場した時、県立金沢総合高(以下金総)監督の星澤純一と出会い、金総へ進学。高校3年時の2011年に高校総体(インターハイ)優勝。[これについてはこのコラムvol.47をご覧ください]

翌2012年1月の全日本総合選手権では、高校生として49年ぶりとなるベスト8進出を果たしました。[これについてはこのコラムvol.52をご覧ください]

卒業後は、日本女子バスケットボールの強豪・ENEOSサンフラワーズに入部。2015、17〜18年にWリーグ・ベスト5に選出され、2018年から2年連続して皇后杯MVP獲得。
ポジションはフォワード、コートネームは金総時代に星澤から名付けられた「アース」←星澤らしいネーミングです(笑)由来は、検索すれば直ぐにヒットするので調べてみてください(笑)


2011年インターハイ予選 vs茅ケ崎北稜高戦 宮澤のフリースロー

 

五輪期間中、宮澤と毎日のようにメールを交換したという星澤。
高校女子バスケ界では私立が幅を利かす中、インターハイ3回、ウインターカップ1回優勝と数少ない公立の強豪校にしています。それじゃ、さぞかし猛練習をしているのだろうと皆さんは考えるでしょうが大違い!!

バスケ部として週3回しか使用出来ない体育館。更に他部との共有や、バスケ部でも男女チームが有るため、コートの半分しか使えないという環境、多くの公立高よりも悪い条件での優勝です。
良く研究された合理的な練習だと容易に想像出来ますね。練習法については、バスケ技術について勉強しつくした星澤が考え出したユニークで効率の良いもので、書籍や動画も多くありますので検索してみてください

宮澤の高校時代はチームで一番の高身長でしたので、通常ならポジションはセンター(主にゴール下でプレーする)に置きますが、星澤はI/S(インサイド。ゴール下周辺)に限定させず、外からもプレーさせていました。それは宮澤だけにでは無く「大きい選手でもオールラウンドに育てていました。進路先(実業団や大学)のコーチがどのポジションで使っても困らないよう」と星澤は言います。目先の高校での大会だけでは無く、その先でのプレーを見据えたものです。

頭も良く、プレーや状況の判断が良くスピードが有る宮澤にピッタリとはまりました。

因みに「3×3」の代表篠崎澪も横浜市旭区の市立旭中から金総、そして富士通レッドウェーブスへ進んだ星澤チルドレンで、今シーズンは宮澤と同じチームになりました。

公立高で同じ大会に2人のオリンピック代表選手を輩出するとは、前代未聞じゃないでしょうか?更に付け加えると、バスケ部は京急富岡駅から学校までの道を毎朝掃除していました。

 

◆パラリンピック◆

オリパラ(オリンピック+パラリンピック)で女子と共に日本に感動を与えてくれたのが「車いすバスケットボール」通称「椅子バス」男子です。

それまでほとんど知られてなかった鳥海蓮志や藤本怜央、香西宏昭という名前が日本中に知れ渡りました。
申し訳ありませんが、パラリンピック以前は椅子バスと言えば今回監督を務めた京谷和幸が有名で、それ以外は、、、、、でした(^^;
それが、「ベリーハードワーク」を合言葉に「攻守の切り替えが速いトランジション・バスケット」と 「ディフェンスで世界に勝つ」で準優勝・銀メダルに輝いたことは全国民が知るところです。
それまでの苦労などは、読者の皆さんの方がご存知かと、、、

今回活躍した若者、No.2鳥海連志(写真上段)とNo.7古澤拓也(写真下段)の二人は、藤沢市に練習拠点を置く「パラ神奈川SC(スポーツクラブ)」に所属しています。障害者スポーツ文化センター横浜ラポールを使って練習していることも有り、横浜市や神奈川県にはゆかりが有る選手です。[古澤選手をご紹介したマンスリートピック3月号をご覧ください]

 

◆横浜ビー・コルセアーズ◆

来月からBリーグ新シーズンが始まります。
横浜ビー・コルセアーズ(以下ビーコル)は新しく4人が加わり、コーチも変わり9月12日(日)に初めてのプレシーズン・ゲームを行いました。相手は開幕戦で対戦する川崎ブレイブサンダースです。

川崎は前日にB3アルティーリ千葉と対戦していますが、ビーコルは初ゲーム、そのうえ前日まで平塚で合宿しており、新外国籍選手No.2レイトン・ハモンズも1週間前に初めて合流したばかりで、とても川崎の相手になる状態では無いので、ゲーム内容は書きませんが、良いプレーも数多く出てきました。新加入の若手日本人も頑張っていました。

新コーチの青木もゲーム後の記者会見で「課題が全て浮彫になったことが収穫。プレッシャーがかかったときにどういうプレーができるか、どう打破していくか各個人個人が感じていたと思うので、ここから修正するには良い経験、課題が浮き彫りになったところが一番良かったと思います」と言っています。
<青木ヘッドコーチのコメント(横浜ビー・コルセアーズTwitterからの引用)>

<生原選手のコメント(横浜ビー・コルセアーズTwitterからの引用)>

ここで外国籍選手のおさらいを簡単にします。
No.1パトリック・アウダ
206cm、外から中に入っていける選手。ATB(ドリブルでリングへ攻めること)も、ダイブ(ボールを貰う目的でI/Sへ飛び込むこと)も、ビーコル得意のピックアンドロールでI/Sへ入ることも得意です。チェコ代表でオリンピックに出場していました。
No.2レイトン・ハモンズ
203cm、新加入。外から攻撃する選手、スリー(3点シュート)もATBも出来るオールラウンダー。
No.レジナルド・ベクトン
206cm、生原と同じく3シーズン目のベテラン選手。リバウンドを中心にI/Sに強い選手。

つまり、外から攻撃する選手、ゴール下中心に強い選手、外からI/Sへ攻め込む選手と3人3様でバランスが取れています。
これにNo.46生原秀将やNo.9森川正明などがうまく絡めば、面白いチームになりそうです。
若手で新加入選手が多いので、シーズン半ばから力を出してきそうです。それまで暖かく見守ってあげてください。

開幕まで3週間あります。
★シーズン開幕節 10月2日(日)3日(日)vs川崎ブレイブサンダース@川崎とどろきアリーナ
★ホーム開幕節 10月16日(土)17日(日)vsサンロッカーズ渋谷@横浜国際プール

 

ウインターカップ2021神奈川県予選(令和3年度神奈川県高等学校秋季バスケットボール大会)◆

男女各8チームが出場した大会でしたが、コロナ禍の影響で練習を満足に出来無いチームが多く、女子はレベルが低く、男子は大ざっぱなゲームとなりました。結果はこちらをご覧ください。

♥女子
本命の鵠沼が1回戦で県立相模原弥栄高(以下弥栄)に敗れ、インターハイ予選(IH)で準優勝のアレセイア湘南高も星槎国際高湘南(星槎)に敗れ、決勝は初出場同士の星槎と弥栄で争われ、高さを活かし前半をリードした弥栄でしたが後半は練習量の多い星槎に追い上げられ大接戦になり、最後のシュートを決めきれなく、星槎が初優勝!!
星槎は、埼玉県の強豪与野東中で今オリンピック日本女子代表ガード宮崎早織を育てた原田学を招へいし3年前に創部。チームとして3年で優勝しようと目標を立て、見事達成しました。当然初の全国大会出場となりました。

 

♠男子
本命の桐光学園(以下桐光)が湘南工大附(以下テック)を破り7回目の出場を決めた。
[準決勝]テックvs法政大第二高(以下法政二)は今季3度目の対戦となり、関東大会予選では63-60で法政二が勝ち、IH予選では因縁のダブル・オーバータイム(再延長)で101-91でテックが勝ったが、今回はテックが立ち上がりからペースを掴み、法政二の追い上げを振り切って勝ち、決勝進出を決めた。

[決勝戦]桐光はタレント揃いでメンバーを頻繁に代えタイムシェアが出来るが、テックは5人だけで戦うチーム。
コーチの今野は「僕に度胸が無いから代えられなくて!」と言うように、スタメンとベンチメンバーの差が大きく、更に5人のコンビネーションが良いのでメンバー・チェンジをしづらいのは判るが、前日の法政二戦でもフルに走り回っており、法政二の鈴木コーチも「テックは体力が持たないと思う」とゲーム前に語っていた通りの展開になった。
お互いに速いスピードで走り回り、外からのシュートを決め合う展開。テックはエースの齋藤裕太のシュートに波が有るが44-43のハイスコアで前半終了。
第3Qもテックがリードしたものの、疲れからシュートが落ち始め65-62と桐光が逆転した。更にテックはATBやスリーで攻撃するものの、ブロックされたり精度が落ちたりし得点が止まった。桐光はそのリバウンドからの速攻で引き放し85-74で桐光がウインターカップ7度目の出場を決めた!

IH予選でも桐光・高橋コーチが言っていたように、今年は大会や練習ゲームが出来なかったことがつらかったようだ。

例年なら色々なチームと練習ゲームをして、選手もチームもうまくなっていくのに、今年は出来ず、見ていてもうまさが感じられなく、雑なプレーが多かったように気がした大会だった。

:原稿執筆:2021年9月13日

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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