vol.153「新生ビー・コルセアーズ」
新型コロナの影響で開催が心配されていたBリーグ2020-21シーズンが、10月2日(金)に開幕します!
横浜ビー・コルセアーズ(以下ビーコル)は、翌3日(土)にアウェーで新潟アルビレックスBB(以下新潟)とシティホールプラザ アオーレ長岡(長岡市大手通1-4-10)から出航します!
昨シーズン、新潟とは91-85,71-64,67-63,64-70と勝ち越してはいますが、今シーズンはどうでしょうか?
今シーズンの外国籍選手に関して、どのチームも新型コロナ問題で、新規に契約した選手は入国できませんでしたが、その影響をモロに被ったのがビーコルです。選手どころか司令塔のカイル・ミリング・ヘッドコーチ(以下ミリングHC)が来日できません。つまり船長無しで航行しろ、というようなものです。
更に、昨年ゴール下(インサイド、以下I/S)で頑張っていたNo.7レジナルド・ベクトン(206㎝、通称レジー)と新しく契約したNo.1パトリック・アウダ(206㎝、チェコ出身。以下アウダ)の両外国籍選手もいないのです。
※ただし外国籍選手の入国問題に関しては9月14日(月)スポーツ庁から条件付きでの入国が認められる旨、連絡を受けたとリーグから発表がありましたので、入国も間近とみられますが、開幕に間に合うかどうか??
詳細についてはBリーグのサイトをご覧ください。
ビーコルに関しては、コーチ不在のダメージが大きいですね!
というのもミリングHCのポリシーは「ディフェンス」です。強いディフェンスとは、単に当たりが強いというだけではなく「組織だったディフェンス」なので、同じメンバーで何度も繰り返し練習とゲームで実践しないとモノにならないものなのです。今シーズンはディフェンスを頑張らないと辛いシーズンになるので、ビーコルには痛手です。
ミリングHCへのインタビューがこちらに掲載されていました。
ポリシーの一つ「上から当たる(スローイン直後から密着したディフェンスを展開)」ということに関しては、山田謙治アシスタント・ゼネラルマネージャー兼アシスタント・コーチ(以下山田AGM)が指導しており、9月12日(土)vs茨城ロボッツプレシーズン・ゲームでも垣間見ることができました。
これは、ミリングHCと山田AGMがリモート・ワークで毎日の練習動画を見てもらい、アドバイスを受けるなど、綿密に連携が取れているからこそできたことです。
ゲーム後、山田AGMがインタビューに答えてくれましたが、そこで何度か出てきたキーワード
「SUPER AGGRESSIVE」
今シーズンのスローガンになるかもしれませんね!
ディフェンスに関して、それ以外には、ロボッツのI/Sへのパスを先回りしてスティールした場面が何度かあり、練習の成果が見られた気がします。
相手の外国籍選手はトラソリーニ1人とはいえ、ビーコルも帰化枠選手でNo.32エドワード・モリス(203㎝、通称エド)のみなので、まあまあ抑えた方ですかね。
新加入アウダはチェコ(世界ランキング24位)代表チーム・メンバーで、昨年のFIBAバスケットボールワールドカップ2019に出場しており、vs日本戦では14分の出場で6得点あげており、トルコ戦とセルビア戦で各16点、オーストラリア戦では21点取り、6位入賞に貢献しています。
レジー同様I/Sでのプレーが多いサウスポーですが、ときどき撃つ3Pはそこそこの確率をあげており、FIBAバスケットボールワールドカップ2019では合計で4/8・50%と高い数字をあげてます。
レジーが完全なセンター・プレーヤーなのに対し、アウダは動きが多く早いパワー・フォワード・タイプと言えます。サウスポーの利点を生かしたスマートなプレーが多いですね。アメリカのシートンホール大(そこそこ名門大)へ留学しており、アメリカのバスケを知っています。
ディフェンスはそこそこ計算できましたが、問題はオフェンス、得点力です!
昨シーズンの各個人得点記録を調べました。この11人の平均得点を加えると、たったの65.2点にしかなりません、リーグの平均得点は77.2点ですから、かなり低い数字です。
上のグラフ赤棒は個人得点を、濃いブルーの棒は3Pでの得点、水色の星は3Pの確率を示しています。この中で10得点以上取れるのは3人で、それもI/Sの外国籍選手2人が上位という偏った得点なのです。相手チームからすると対策は簡単ですよね「とりあえず小さくI/Sを守っておけ!」ということになります。
それに対抗するとなると外からのシュート、特にスリーポイント・シュート(以下3P)が重要になります。
一番安定しているのは、12日の茨城ロボッツ戦でも22得点でスコアリング・リーダーとなったNo.10アキ・チェンバース(190㎝、通称アキ)です。相手がB2チームということも有り、3P3/3を含むFG9/11と大暴れでしたが、この日は外国籍選手不在なのでチームから得点することを求められていると自覚したのでしょう。
そして外国籍選手がいない中、得点力を求められていると感じて積極的にシュートしていたNo.32エドワード・モリス(203㎝、通称エド)が19点(3P-0/2、2P-7/8、FT-5/6)と活躍しました。
私が期待したのはNo.9森川正明(191㎝、元三河)です。昨シーズン3Pの確率が40%と非常に高かったのですが、スター軍団の三河では中々出番がなく、平均4.3得点ですが「If40」(イフフォーティー。40分フル出場したと仮定した値。時間当たりの数値で、ポテンシャルが判る)は18.1点と両外国籍選手に次いだ得点力を持っています。また3P平均試投数(アテンプト。3PAと略す)は1.2本と低いものの、3PAIf40は9.3本でNo.22秋山皓太(188㎝、通称コウタ)の8.3本より多いのです。
その上、良いことは3P狙いばかりではなくATB(Attack The Basket,ドリブルでリングに攻めること)ができることです。
ただ、このゲームでは張り切り過ぎたのか、ATBも滑ったり思うように攻められず、3Pも大きくそれたことも、結局3P-1/3を含む5得点に沈んでしまった。本番に期待したい!
今回のゲームでは、コウタが8分出場4点(3P-0/0)だったのが残念です。プレータイム(出場時間)が8分半と短いことも有りましたが、もっとシュートして欲しかったところです。
No.81小原翼(198cm、横浜高→筑波大→富山。通称ツバサ)は、大型日本人のポジションとして身体を張ったプレーが多く、シュートの精度が高くなれば面白い存在になるでしょう。
新加入のNo.30 須藤昂矢(186㎝、桐光学園高→明治大→特別指名・西宮)も気持ちばかりが先行してATBも不発でしたが、落ち着いてくれば本領発揮してくれると思います。
ベテランのNo.25竹田謙(188㎝、青山学院大。通称ケン)は、脚が万全ではないため調整中という感じですね。開幕までには仕上げてくるでしょう。
そんな中、得点こそ少ないもののチームをコントロールしたのは、けがでNo.46生原秀将(180㎝、通称シュウ)を欠きながらもチーム司令塔ポイント・ガード(PG)役を果たしたNo.18森井健太(178㎝、早稲田大→新潟)。
チームをコントロールしながら、自らはタイトなディフェンスでスティールしたり、速攻でプッシュ(ドリブルなどで早く持ち込むこと)したり、良いパスでシュートのお膳立てをしたり。
得点を自ら狙いに行っていないとか反省点は有るようですが、今の段階では合格点をあげられるのではないでしょうか?
今シーズンここに正PG シュウが加われば、ディフェンスに重みが加わり、オフェンスに厚みが増します。
開幕戦に間に合うかは微妙なところですが、シュウが加わり、レジ―が戻ってきてアウダが新規に加わったチームを早く見たいものです!
皆で新生ビーコルを応援に行きましょう!
ビーコルシーズン開幕戦!!
10月3日(土)18:05 vs新潟アルビレックスBB @シティホールプラザ アオーレ長岡
10月4日(日)17:05 vs新潟アルビレックスBB @シティホールプラザ アオーレ長岡
◆ホーム開幕戦
10月17日(土)15:05 vsアルバルク東京 @横浜国際プール
10月18日(日)14:05 vsアルバルク東京 @横浜国際プール
新型コロナの影響で、今シーズンから応援スタイルが変わります。慣れないとは思いますが、お互いのため、選手やチームのため熟読して応援にいらしてください!!
横浜ビー・コルセアーズのホームゲームについては、新型コロナウィルス感染症対策リスクに対応するため「新しいアリーナ観戦様式」をご覧ください。
原稿締め切り後に、ビッグニュースが飛び込んできました!
ビーコル最後のピースというべき、外から攻撃できる外国籍選手の獲得を発表しました!
元島根スサノオマジックのロバート・カーターです!!
簡単に言うと、3P中心の点取り屋です。平均得点はチーム最多得点者レジーの17.0を軽く抜く21.2。更に3Pのアテンプトが平均8.1回でアキの倍以上撃っていて、確率も34%と森川に次ぐ高確率です。
更にいえば、しなやかなATBもIQの高さを感じ、頼もしい選手の加入です。
当初はオフェンスでかみ合わなかったり、ディフェンスでミスがあるかもしれませんが、11月中盤からビーコルは面白い展開になると思います!!!
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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