vol.146「アリーナはテーマパーク」
皆さんが想像していたより、横浜ビー・コルセアーズは良いチームになっていると思いませんか?
昨シーズン平均得点15.6の川村卓也、同じく7.2の細谷将司の2人を放出し、千葉からNo.10 アキ・チェンバース(191㎝、以下アキ)、No.46生原秀将(180㎝、以下シユウ)、No.22秋山皓太(こうた188㎝、以下A.K),No.16 牧全(ぜん188㎝、以下ゼン)、No.9ホール百音(もね)アレックス(190㎝、以下モネ)らが新加入となりましたが、いずれも前のチームでは得点の実績はあまりなく、4人の昨シーズン平均得点を足しても10点に届きません(^^;
それでも「期待できる」と書いたのは外国人選手が良いことと、前回書いたようにディフェンスが良いからです。その話は後ほど書きます。
そんなビーコルですが、10月23日(水)のvs新潟アルビレックスBB戦で素晴らしい勝利をもぎ取りました!!
Bリーグになり低迷を続けてきたビーコルですが、初めて勝ち越したのです!!
思い返せばBリーグ開幕の2016-17シーズン、主力の蒲谷がシーズン前の練習ゲームで指を骨折して欠場となり、5連敗からのスタートでした。最終成績は16勝44敗で、一度も勝ち越せませんでした。
2017-18シーズン1勝1敗後、湊谷とNo.42ジェイソン・ウォッシュバーン(以下Jウォッシュ)が怪我で欠場し7連敗、最終成績は18勝42敗でまたも勝ち越しは出来ませんでした。
2018-19シーズンはチーム編成が遅れたことで開幕5連敗からスタート、終盤もチームにまとまりがなく14勝46敗でシーズンを終え、あわやB2降格か、というところまで落ちてしまいました。
そして迎えた2019-20シーズン、開幕のアウェー、レバンガ北海道戦はまさかの惜敗2連敗。そして迎えたホーム開幕戦のvs秋田ノーザンハピネッツ、ゲーム①は75-60と快勝し、やっと片眼があきました。
連勝をもくろんだものの、台風19号のためゲーム②は中止となりました。
翌週10月16日(水)の三遠ネオフェニックス戦は、アウェーながらNo.21 田渡凌(180㎝以下リョウ)が27得点の大当たりで80-71で連勝し、2勝2敗と久々の5割となりました。
19日(土)-20日(日)の島根スサノオマジック2連戦で連勝をもくろんだものの、1勝1敗で分け、5割をキープしたままでした。
そして迎えた新潟戦、どちらかというと苦手としているチームですが、ダブルオーバータイム(再延長)の末に91-85で勝ち4勝3敗として、Bリーグになって初の勝ち越し、通称「貯金生活」となったわけです。
その後は名古屋ダイヤモンドドルフィンズに勝てるゲームを落とし連敗となり、滋賀レイクスターズとは1勝1敗で、11月6日現在5勝6敗でまたもや借金生活となっています。
ちなみに最後の勝ち越しはbjリーグ時代16勝15敗で2016年2月6日でした。
さて新戦力の外国人、バラエティーに富んだ3人となっています。ゲームには2人しか登録できず1人が休めることになっているので、ゲームに集中できます。簡単に3人を紹介しましょう。
No.7レジナルド・ベクトン 206㎝ 116㎏ 28歳 ミシシッピ大出身
プエルトリコやイランでプレーしていて、高さは無いが幅がありインサイド(ゴール下近辺、以下I/S)に強い。以下レジー。
No.14ジョルジー・ゴロマン 211㎝ 102㎏ 23歳 ハンガリー出身 UCLA出身
Gリーグ(NBA下部組織)でプレー。白人センターの典型で3Pを得意としている。以下GG(ジージー)。年寄りはUCLA出身と聞くと「エリート」と思ってしまいます(笑)。
No.42ジェイソン・ウォッシュバーン 208cm 110kg ユタ大出身
出戻り外国人(笑)。2017-18シーズン初めで怪我をして契約解除となりましたが、ビーコルへ戻ってきてくれました。動けて走れて高さもあり、中外と攻められるのが強み。以下Jウォッシュ。
11ゲームを消化した段階で5勝6敗、各ゲームの個人得点を調べようとグラフを作ってみたところ、こんな表ができました。淡い黄色帯は勝ちゲームです。
秋田戦は別として、勝ちゲームでは特出したスコアラー(得点者)が出現しています、それも全ゲーム違う選手なのです、面白いですね!!
昨シーズンの川村のように特出した選手はいなくても、日替わりで活躍する選手が出てくる、これが今シーズンのビーコルの特徴ですね。MCの豊嶋彬が今シーズン開幕からズーっと言ってきた「全員バスケ」ということなのです。
そして滋賀②で見せたボールへの執着心。それまではリバウンも通常のものには飛びつけても、大きく逸れたり、イレギュラーな跳ね方をしたボールに弱かったのですが、よく飛びついたりルーズボールに飛び込んだり、地味ながらガッツを見せていました。
とはいえ、今までは勝率の低いチームとの対戦が多かったのですが、これからは川崎、A東京、千葉という強豪との戦いが多くなり、ビーコルにとってこれからが正念場です。
さて次節は誰が出てくるでしょうか?
今月はBリーグのホームゲームについて書きます。
題して「国際プールはバスケのテーマパーク!!」
読者の方の中には、昔は大学リーグや日本リーグ(スーパーリーグ)を見に行っていたけど、最近バスケを見てないなー、って人も多いかと思います。
昔は「バスケのゲームを見に行く」人が多く、有名チームや好みのチームのゲームや、大きな大会を見に行く感じで、純粋にチームの応援に行く人は多くなく、応援というと、憧れのイケメン選手を見に行く女性程度でしょうか?
会場はニュートラルな体育館がほとんどで、メインは国立代々木競技場第二体育館でしたね。
体育館着もゲーム開始直前だったり、30分前程度だったりしますね。1時間前に会場入りしている人は、よっぽど熱心なファン程度でした。
ところが現在は、プロ野球やJリーグのように「チームの応援」に行く人が大半で、声を出して応援したり、ワン・プレーごとに一喜一憂したりしてゲームを楽しんでいます。
そういえば、Bリーグは「チーム」ではなく「クラブ」と呼ばせていますが、私は嫌いですね―(笑)。クラブとはヨーロッパ的な呼び方で、アメリカではチームと呼びますからね!
昔と大きく違う点は会場が違います。
各チームは5,000人以上(B1)入る大きなアリーナ(昔と違い体育館とは言いません(笑))があり、そこでアメリカのように「ホーム&アウェー方式」(相手チームのコートでやったら、次は自分たちのコートで開催するシステム)で行い、ニュートラルな会場での開催は特別なケースやイベント、例えばリーグの開幕戦(今回は横浜アリーナで開催)、オールスターゲーム(今年は札幌きたえーる)やファイナルなどになりました。
そのために、各チームは戦力強化だけではなく、観客動員も大事な役目となりました。そこで「観客をいかに楽しませるか」が重要になり、イベントや構成演出を考えるようになりました。
昔はTip Off 30分前入場で良かったものが、今は一般入場が2時間前で、その頃には外に数百人のブースター(よく聞くと思いますが、bjリーグ時代に熱心なファンの人をブースターと呼び、ビーコルはBリーグになっても続けています)が列を作っています。
さあいよいよ入場です。
「ビーコル」と愛称で呼んでいますが正式にはビー・コルセアーズ、このコルセアとは地中海の海賊を指すため、アリーナ全体を海賊船のイメージにしており、席の呼び名もそれっぽくしています。
入口は2階になっており、アッパーデッキ(上甲板)と呼ばれます。入って右側(ベンチのサイド)を「スターサイド」、逆の左側をポートサイドと呼びます。
場内にはすでに音楽が流れています。オールデイズやポップスなどの軽いものが多いですね。
それでは、2時間前に入場した人たちはどのように時間を潰すのでしょうか?
その時間帯、コートではビーコルの選手たちがシューティング(シュート練習)をしています。テラスハウスですっかり有名になったリョウは、2時間以上も前から必ずやっていて、面白いのは単にジャンプシュートを撃つだけではなく、リズムを変えたり片足だけでシュートしたり、いろいろと工夫しています。アメリカ留学時代に覚えたと言っていました。熱心な子です!
1階席の人なら、この時間はコートサイドまで行けるので、選手を身近で見ることができます。
アウェー・チームは大体1時間半前程からシューティングを始めます。
そうそう、「授乳室」「オムツ替え室」「ベビーカー預かり」などのサービスもあります。係員にご相談ください。
とはいえ、ズーっとシューティングを見ていても始まりません。
1階席へ降りましょう。入口から外へ出て1階入口から入るコースと、奥の階段から降りるコースもあります。手前のビジョン下は「アイランドパーク」と呼ばれ、スポンサーによるイベントが行われるスペースですが、横浜が誇るチアリーダーズのB-ROSE(ビー・ローズ、下左)の応援練習もあります。
また応援歌を歌うEyes‘(上右)による歌唱指導もやっているかと思えば、ブースターのグループ「B-COMPASS」によるフェイスシール貼りもあり、小型海賊船の前での記念撮影も盛んです。
フェイスシールを張ってもらい、キュートなB-ROSEとEyes’さんで目と耳を楽しんだ後は、逆エンドにある飛び込み台下へ行きましょう。
応援するのにエナジーを使うので、お腹をいっぱいにしなくてはいけませんね!左側の細い通路を使って、ビーコル・マーケットへ行きましょう。
お店の配置は変わることがありますが、「グルメ」と「グッズ」と「シュート・ゲーム」に分かれています。
右と奥がグルメ・スポットになっていて、おにぎりの専門店「CHAKAS」はおにぎりの種類が豊富でリーズナブルなのが嬉しいですね。
横浜と言えばビール発祥の地で横浜ビールが有名。ビーコルとは当初からお付き合いがある会社で、大人の観戦には欠かせないアイテムですよね!!ナポリタンや一口サイズのサンドイッチや丼ぶり物が多く、ボリュームたっぷりな「ビーコル・バーガー」が好評の「信濃」のブースに置いてあります。
これから応援するのだから「肉を食いて――!」という若者には、片手で持って食べられる串類が豊富な「Nalu’café」はいかがですか?
食べ物は、他にも限定出店のお店もありますから楽しみです。
食べ物を確保したら、次はショッピング!
ビーコル・グッズを揃えているのが左手のオフィシャル・グッズ・ショップ。「Bリーグ1」の売り上げを豪語し、アイテム数が半端なく多いのがビーコル・グッズの特徴。おしゃれな人が多い横浜らしく、ウェアを多く揃えています。
今シーズンはガチャガチャが多くなりましたね!缶バッジだけではなく、アクリルスタンドの選手像もあります。
「ホームゲームごとに新作を出しています」と担当者が言うように、種類が豊富です。
NBAファンに嬉しいのはSPALDINGのショップです。チームのTシャツだけではなく、グッズやボールも販売しています。
買い物も一段落したら、シュート・ゲームはいかがですか?子どもたちもチャレンジしていますよ!
そうこうしているとTip Off 45分前になってしまいます。そろそろ席に戻りましょう!
名物MCの豊嶋がコート中央に出てきたら、いよいよオープニング・セレモニーの始まりです。
オフィシャル・ブースター・ソング「We are B-CORSAIRS 2019-20」をビーコル歌姫Eyes’がB-ROSEを引き連れ歌います。Bリーグでは珍しいオリジナル応援ソングです。
その後はアウェー・チームの選手紹介と入場、そしてサイプレス上野のラップにのってB-ROSEが作る花道を通ってビーコル選手がエスコート・キッズと共に一人ずつ入場。
その後はアップとなり、レイアップ・シュートから始まります。外国人はもちろん、モネ、アキ、No.81 小原翼(198cm以下つばさ)などもDUNKするので迫力あります!
レイアップのあとは思い思いにシューティングしますが、2時間前とは比べ物にならないほど入ります!
仕上げはJウォッシュがDunkを決め、選手が待つセンターへ行き肩を組んで回り、Tip Off 前の儀式は終了!
そして5分前、スタメン発表でいよいよ Tip Off を迎えますが、その前に欠かせないのが「ヤスアキジャンプ」で有名なベイスターズ山崎康晃の登場曲Zombie Nation(アメリカのスポーツ界では有名な曲です)。これでドンドン気持ちが高ぶってきたところで、レフリーがボールをトスして熱戦が始まります。
ゲーム中も音楽は流れ、MCがシュートやファールのアナウンスをすると共に「ディーフェンス」「ゴー ゴー ビーコル!!」などのコールを誘導します!
ブースターもそれに合わせ声を出したり、ビークラップ(ハリセン)を叩いたり、シュートが入れば一斉にビークラップを頭上に掲げたり、場内一体となって応援し楽しんでいます。
タイムアウトになるとB-ROSEが出てきてダンスを披露したり、ブースターを巻き込んでの簡単なゲームがあったり、飽きさせません!
ハーフタイムもB-ROSEのダンスや日替わりのイベントがあり、後半はあっという間にきてしまいます。
熱戦が続くと、後半のオフィシャル・タイムアウト(第4Q 5分を切ってから時計が止まるとコールされる。どちらの要求でもないタイムアウト。NBAでは残2分にありCMタイムアウトとも呼ばれる)となってしまいます。
Bリーグはここからが面白く、10点差をひっくり返したり、シーソー・ゲームが続いたり、一気に離れたり、ドラマがあるのです、だからバスケは面白いのです!
あっという間に2時間が過ぎ、知らぬ間にゲームに引き込まれている自分がいます。
コートの10人のプレーだけじゃない面白さ、これがBリーグです、ビーコルです!!
見るのではなく、体験しに来てみませんか!?!
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グッズ情報はこちら
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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