vol.139「ビーコル低迷の原因」
大ピンチ!!
ビーコル(横浜ビー・コルセアーズ)が危機的状況になっています。
3月23日(土)の栃木ブレックス、ゲーム①から4月6日(土)まで8連敗を喫し、ボトム4と呼ばれる残留プレーオフ圏内から抜け出せないからで、正に大嵐の真っ只中で揺れる木の葉状態です!
B1とB2の入れ替えについて大雑把に解説しましょう。
通常の場合、B1下位4チーム(15~18位)がB1残留プレーオフに進みます。
そこで4チームのトーナメントを行い、下位2チームが自動降格となります。
トーナメントの決勝で勝ったチームはB1残留決定となり、負けたチームはB1・B2入れ替え戦へと進みます。
しかしながら、B1に参戦するにはB1ライセンスの交付を受けることが条件となります。その条件とは「バスケットボール界全体の安定的・持続的な成長と発展に寄与することを前提とし、育成面・施設面・選手環境面などを、プロリーグとしてふさわしい水準に保ち、さらに発展させることによって、クラブの価値が向上することを目的」となってます。大事なことは財務関係(資本や資金繰りなど)と施設(5,000人以上収容できるアリーナの確保)などが条件を満たしているか、ということです。
ところが、3月12日(火)の第1回判定でB1ライセンスを交付されたB1チームは、富山グラウジーズと滋賀レイクスターズ、ライジングゼファー福岡の3チームを除く15チームで、勿論その中にビーコルは含まれています。富山、滋賀、福岡は継続審議となりました。
B2では仙台89ers、山形ワイヴァンズ(河野誠司、岩田涼太以下( )内は元ビーコル海賊)、広島ドラゴンフライズ(山田謙治、尺野将太コーチ)、茨城ロボッツ、熊本ヴォルターズ(西谷亮一)の5チームがB1ライセンスを交付され、ファイティング・イーグルス名古屋、島根スサノウマジック、西宮ストークス(ドゥレイロン・バーンズ)の3チームが審議継続となりました。
4月9日(火)の第2回判定で富山、滋賀、そしてB2の島根にB1ライセンスが交付されましたが、福岡にはB1ライセンスは交付されませんでした。
ところが4月9日現在、B2は4ゲームを残し上位は45勝11敗-信州ブレイブウォリアーズ(蒲谷正之、佐藤託矢、ウェイン・マーシャル、勝久マイケル・コーチ)、41勝15敗-熊本、群馬クレインサンダース(喜久山貴一、トーマス・ケネディー)、40勝16敗-島根、39勝17敗-FE名古屋、37勝19敗-仙台となっており、B1ライセンスを持っているチームが少なく、更に現B1チームでも福岡がB1ライセンス不交付となっており、B1ライセンスを持つB2チームの最終順位によって複雑な取り決めがあり、どうなるか判りません(汗)。
詳細はこちら
話をビーコルに戻しましょう。
8連敗を振り返ってみると、
3月23日(土)-24日(日)@国際プール 栃木➀64-79、栃木②79-90
3月27日(水)@ウィングアリーナ刈谷 三河84-100
3月30日(土)-31日(日)@国際プール 川崎➀77-87、川崎②78-92
4月3日(水)@ウィングアリーナ刈谷 三河92-94
4月5日(金)-6日(土)@豊橋市総合体育館 三遠➀81-83、三遠②74-94
という具合です。
原因として挙げられるのは以下の通りです。
1)強豪相手との対戦が多い
栃木[44勝11敗、リーグ全体2位]、三河[28勝26敗、リーグ全体9位]、川崎[37勝18敗、リーグ全体4位]、三遠[22勝33敗、リーグ全体12位]
2)タフなスケジュール
上記の通り3月23日(土)チーム史上最高の5,009人を集めたvs栃木ブレックス戦からタフなスケジュールは始まりました。(余談ですが翌34日は5,050人の来場で記録更新しました。)
それまでは土日連続開催が多いため、移動日を含め5日の間隔がありました。ところがこの2週間、水曜日開催が加わり、計算すると15日で8ゲームを消化してます。2日連続でゲームしたあと、2日おいて1ゲーム、また2日後にゲームと言うことになります。つまり1.87日に1ゲーム、これはかなり過酷なスケジュールです。
ちなみに、タフなスケジュールで有名なNBAですら2.34日に1ゲームですから。
ビーコルはホームとアウェーが交互なので、節(同一チームとのシリーズ、主に2連戦)毎に移動することになり、更に4月第1週の三河→三遠は刈谷から豊橋に直接移動の上、間隔はたった1日しかありませんでした。
とは言え、過酷なスケジュールは全チームほぼ同じなので条件は一緒なのですが、ビーコルは4月第1週の節が他チームより1日早い金-土曜開催なので、更に過酷になりました。そして1)で書いた通り、強豪相手ばかりなので手を抜くことが難しく、主力を休ませるのに一苦労したからです。
下のグラフを見てください。
平均プレータイム(出場分数)は10分以上が8人居ますが、No.5湊谷安玲久司朱(以下アレク)とNo.2高島一貴(以下カズ)も含め、他の4人のプレータイムは少なすぎます。4人ともあと5分は出したいところですね。
アレクやカズのベテランを繋ぎでもっと使って欲しいですし、カズは特にマンツーマン・ディフェンス(以下M2M)でのエースキラーとして活かしてほしいですね。
またNo.6中村大地は好不調の波が大きいとは言え、ビッグ・プレーがあるので起爆剤になるうえ期待を抱かせる選手ですから、もう少しプレーをさせて主力選手を休ませたいところです。
とは言え、プレータイムに関しては、ある程度をシェアしていることが判りますが、気になるのは個人得点です。
No.33アーサー・スティーブンソン(以下アーサー)とNo.34ブランドン・コストナーの外国籍選手2人以下はぐっと離れて、No.21田渡凌(以下リョウ)とNo.1川村卓也(以下タク)が続いていますが、かなり少ないです。更に、タク以下のベンチメンバーの得点力が低いのが気になるところです。
更にこの一ヶ月は、No.7橋本尚明(以下ナオ)はスリー(3ポイントシュート)が決まり出し、一気にプレータイムも得点も増え戦力になってきたかと思いますが、ナオと入れ替えにNo.0細谷将司とタクの得点が下がってきてます。
特にタクは三遠戦までの6ゲームは爆発が見られず、14点どまりで平均となってます。3月中旬までは1ゲーム平均20得点だったのが半分以下になりました。
チーム全体を見ても、二桁得点者はリョウを含め3人しかいません。
そんな中で、得点を増やしているのがアーサーです。日本のジャッジにも慣れてきて、ファールも少なくなったこともあり、ペイント内の得点が多いことがコンスタントな得点に繋がっているようで、これから期待したですね。
3)ディフェンスが決まらない
M2Mで強いプレッシャー、特にガード陣に対して掛けるのが現在のBリーグの流れで、「ディフェンスの強いチームが勝つ」のはどの競技でも当たり前になってます。
ビーコルもディフェンスを強化してますが、他チームと違いゾーン・ディフェンス(以下ゾーン)、それも独自のゾーンを行っています。
それに関してトム・ウィスマン・コーチ(以下コーチ・トム)は、独自のゾーンで相手を困らせることと、またM2Mで守る脚ができていないと考えてます。
M2Mとゾーンの特徴を比べてみましょう。
M2Mはどのポジションでもズーっと守れますが、脚力が必要になり、個人能力頼みになり、1対1で抜かれることもあります。
ゾーンはインサイド(ゴール下付近、以下I/S)を守れ、脚力もそれほど必要としないが、穴も大きく、ボックスアウト(リバウンド時にオフェンスがゴール下に入るのを防ぐために中へ入る動きを止めること)をするのが困難です。
ですからゾーンを敷いて勝った時もあれば、M2Mで勝ったときもあり、相手の攻撃の特徴によって使い分けるのが良いのです。
ただゾーンはハマるときがあり、その時は面白いように守り切れます。
しかし、強い相手にゾーン効果があるのは短時間なことが多いですね。
対戦前には、各チームとも動画で相手チームのゲームを見て分析しますが、ビーコルはどのようなゾーンで来るのか調査して対策を立てます。ビーコルも読まれていることを前提に、前節と違う動きをするのですが、強いチームは直ぐに守り方を見破り、攻略してきます。
ゾーンはハマると強いのですが、慣れらりたり攻略法を知られるともろいのです。
ゾーンの攻略法に関し「動いて攻める」「パスで攻める」「シームを突け」とか言われます。これをされると、実に簡単に攻めることができます。
ゾーンは守る隊形によって「2-3」とか「1-3-1」とか呼ばれます。
2-3はゴール下近辺をガッチリ守るのに適してますが、スリーを中心とする外らかのシュートには弱く、ビーコルが使う1-3-1は3Pシューターの多いトップやウイングからのシュートやI/Sを守るのに適してますが、コーナーからのシュートには弱いですね。特にパスを回された後はノーマークになりがちです。Bリーグのシューターたちは、ノーマークになったら殆ど入れてきます。
敗戦後、コーチ・トムは記者会見で「ビーコルの相手チームはシュートの確率が高い」とよくボヤいてますが、そう言うことなんです。
もう一点付け加えるなら、ゾーンはシステムなので、完成させるには時間が掛かるものなのです。今シーズンは外国籍選手が全員替わり、更にシーズン中に5人も入れ替わってはシステムが機能するわけがありません。
現在開幕からの失点平均は83.9点でリーグ・ワースト・ワンとなってます(涙)。
さて4月8日現在の順位です。
ビーコルは14勝41敗リーグ全体14位、残留プレーオフ圏内のボトム4に入ってます。ここから抜け出すには秋田を超え、滋賀と同率にならなければなりません。3チームともに5ゲームを残していますが、滋賀は全て強豪チームとの対戦で、勝ち星を増やすのは難しい状況です。
秋田は北海道に強いので1勝は堅いのでは。となると、滋賀と同率の可能性も出ます。
ビーコルが一番きついですね。
3チーム共に強豪で、富山と新潟には一度も勝ってません。三河を含め最低でも2勝しないとボトム4から抜け出せません。もし、滋賀、秋田と並んだ時は、直接対戦カードでの勝敗、同率の場合は得失点差になりますが、滋賀には2勝0敗で勝ち越し、秋田には1勝1敗ですが、得失点差はビーコルが+3点なので上位になり、少し安心です。
とは言え、この5戦で絶対に2勝以上上げなければなりません。
特に12日(金)と13日(土)の富山戦@横浜文化体育館は重要です。
皆さんぜひ応援に来て熱い声援をビーコルにください!!
4月12日&13日・富山戦 観戦ガイド
◆中学生ジュニアオールスター
通称ジュニアオールスターと呼ばれる「第32回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2019」が、3月28日(木)から30日(土)まで、横浜文化体育館、とどろきアリーナをはじめとする7会場で行われました。
この大会は、各県の中学生の選抜メンバーによる対抗戦で、BリーグやWリーグの選手を多く輩出している名誉ある大会となっています。
学校単位でない理由として、埋もれている能力や身長の高い選手を見つけ出し、現在のためではなく将来の日本バスケの強化のため、弱い学校の子でも全国大会という貴重な経験を積ませ、上達及び自覚させることが大きな意義となっています。
今大会の長身者を調べてみました。男子185㎝以上、女子175㎝以上をリストアップしたところ、男子は43人、女子は22人もいました。2年前の30回大会では男子は53人、女子は7人でしたので、女子は増えたものの男子は減少してます。
その中で神奈川県は男子が6人もいて、愛知県の5人を抜いて全国トップです。女子は東京Bの4人に次ぎ、3人で2番目となってます。
全国では男子190㎝以上は8人、女子180㎝以上は3人もいました。
最高身長者は男子愛知県名古屋市立明豊中・大橋翔太の196㎝、女子は同じく愛知県名古屋市立長良中・福王伶奈の189㎝となってます。
男子予選リーグで神奈川県は兵庫県と対戦しましたが、ここには193㎝の高市遥平がいて、192㎝の神戸辰郎(松田町立松田中)と中学ながら超190㎝同士のマッチアップが見られました。リバウンドの場面です。
過去男子5回、女2回の優勝を誇る神奈川県ですが、今回は男女とも予選リーグで敗退という不甲斐ない結果となりました。能力の高い選手が揃い、高い技術持っていながら活かせなくて残念です。
練習時間が短かったのか、男子はオフェンスで噛み合わず1対1が多くなり、チームとしてまとまらなかったのか?
女子も淡白なバスケットが目立ちました。
決勝は3月30日(土)、東京の武蔵野の森総合スポーツプラザで、男子は京都府vs東京Aが行われ65-55で京都府が、女子は大阪府vs東京Aが行われ53-44で大阪府が優勝しました。
この大会は今回が最後で、来年度からは新たな大会となります。U-15としてチーム単位の対戦になるようで、もったいないと思いました。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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