vol.138「男子日本代表ワールドカップへ!!」
「勝ったー!!」と言うより「やったー!!」と言うのが合っているでしょう。
男子日本代表がワールドカップ出場を決めました!
これで東京オリンピック出場も近づいてきましたよ!!!
深夜1時過ぎにゲームが終わったため、TV等での速報は無かったようですが、嬉しかったのはその朝のTVでは多くの局が「ワールドカップ出場決定」と取り上げただけではなく、多くの時間を割いてくれたり、選手をゲストとして招いたり、特集してくれたりしたことです。
最近このようなことがなかっただけに、露出が多くなって嬉しかったですね。
それではワールドカップ出場を決めたWindow6を振り返ってみましょう。
6勝4敗グループF3位で迎えたWindow6、世界ランキング49位の日本は、27位イランと63位カタールとの2ゲームを残していました。イランとは2次予選のWindow4で、昨年9月17日大田区体育館にて渡邊雄太と八村塁の二人を擁し70‐56、カタールとはWindow5で、昨年11月29日の富山市総合体育館にてこの二人無しで85‐47で大勝しています。
ならば今回は、二人が居なくても勝てるだろうと見くびってはいけません。というのは、イランには元NBA選手が追加されるという噂もありました、その上、両ゲーム共にアウェー、それも中近東だからです。
2月21日イラン戦 テヘラン、アザディー市体育館
日本はNo.2富樫勇樹(千葉ジェッツ)、No.6比江島慎(栃木ブレックス)、No.15竹内譲次(アルバルク東京)、No.22ファジーカス・ニック(川崎ブレイブサンダース)、No.24田中大貴(アルバルク東京)の5人によるゾーン・ディフェンス(以下ゾーン)でスタートしました。
比江島とニックの2人のシュートが高確率で決まり幸先良い出足でしたが、前回3得点のジャムシディーにジャンパー(ジャンプショット)やATB(Attack The Basketドリブルでリングに攻め込むプレー)を決められ、大きな差をつけることができないまま竹内譲次がファールトラブルになりました。
しかし替わって出て来たベテランNo.8太田敦也(三遠ネオフェニックス)は、ディフェンスだけでなくオフェンスでも良いアシストを配給し頑張りましたが点差は開かず、見ている方がジリジリしてきました。
ディフェンスが効き始めイランの得点が止まり始めた残4分、リバウンドを獲ったニックが先に走っていたNo.18馬場雄大へタッチダウン・パスを通しダンクを決め、46‐35と11点差が付いたところでイランが、1回目のCTO(タイムアウト)を取りました。
すでにニックがレイアップとFT(フリースロー)を決め、49‐38とした1分7秒後に再度CTOを取り、今度はディフェンスをゾーンに変えてきたイランでしたが、大勢に影響はなく55‐45で前半を終了しました。
Facebook:日本バスケットボール協会 (JBA)
第3Qはイランがスリー(3ポイントシュート)を連続で決め、前半同様オフェンス・リバウンドを獲られたものの、日本は得意のディフェンスから走りペースを掴み76‐62と開き、第4Qの立ち上がりは、ここまで28分以上プレーし22得点したニックをベンチに下げ、休ませることができました。
その間、得点では竹内譲次がスリーを決め、残4分には89‐71と18点差をつけると、さすがに勝ちを意識してきたのか消極的になりミスも起こると、イランは開き直ったのかスリーが立て続けに決まり残1分44秒、91‐85と追い上げられ、嫌なムードが漂いましたが、それを救ったのがニックです。
ペイント内で比江島からのパスを受け、難しい体勢ながらシュートを決め残1分17秒で93‐85として、イランの勢いを止めました。
そして35秒後、比江島がダメ押しのジャンパーを決め97‐89とハイスコアなゲームをモノにし、グループFでの順位を2位と押し上げ、ワールドカップ出場へ大きく前進しました!
特筆すべきは、素晴らしいディフェンスはもちろんですが、シュートの正確さです。
スリーの確率は、Bリーグのゲームでは平均すると35%ほどで、2FG(2点野投)でも45%ほどです。
それが、このゲームでのスリーは7/14で50%、2FGは27/42で64%と言う信じられない正確さでした。いかに日本チームが集中していたのか、またこのゲームに賭けていたかが判りますね!
ここでおさらいしましょう。
1ゲームを残し7勝4敗でグループFの2位と言うことは、次のカタールに勝てば無条件でワールドカップ行きが決定です。敗れた場合でも同組3位のイラン、4位のフィリピンどちらかが敗戦すれば出場権が与えられるグループ3位以内が確定します。
万が一日本が負け、尚かつイランとフィリピンが勝利した場合はグループEに所属する中国(開催国枠を持っている)を除いた4位チーム(レバノンまたはヨルダン)の勝数を上回ると出場決定。4位同士で勝数が並んだ場合は、得失点が上回る方が上位となる。
いろいろ書きましたが、要するに「次のカタール戦に勝てば良い」ってことです。
カタールとはWindow5の11月30日富山市総合体育館で対戦しており、後半に引き離し85‐47で大勝しています。普通に戦えば勝てる相手ですが、勝てばワールドカップ出場と言うプレッシャーを自分達に掛けさえしなければ問題は無いと思います。
2月24日 カタール戦 ドーハ市アルーガラファ・スポーツクラブ多目的ホール
日本はイラン戦同様のスタメンですが、このゲームはM2M(マンツーマン・ディフェンス)でスタートしました。思った通りパスミスやシュートミスが多い展開で、カタールに一歩リードされます。
しかし残5分に、富樫のATBのリバウンドをニックがプットバック(オフェンス・リバウンドを獲ってシュートすること)して6‐5と逆転すると、次は竹内譲次がブロックショットし速攻を出し、残4分には田中がカタールのI/S(インサイドゴール下周辺)へのパスをスティールし、そのままドリブルで持ち込むと、走って来た竹内譲次へパス、それを竹内譲次がダンク!!
やっとリズムを掴んだと思われましたが、カタールがディフェンスをゾーンに変えたため、シュートミスが多く引き離せません。
しかし第2Qに入り、そのゾーンを外からのシュートで攻めました。
馬場の得点こそ2FGでしたが、その後はNO.3辻直人(川崎ブレイブサンダース)、富樫も負けじと決め、辻が再びスリーを沈め26‐11とし、その後も辻と富樫、そして比江島とスリー7連発で38‐17と21点差に開き勝負ありです。
そしてその後、No.7篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)のショットクロックぎりぎりのスーパーショットが飛び出しました!!
カタールのゾーンにてこずった日本ですが、勝っても最下位が決まっているカタールは直ぐに集中力が切れシュートは正確さを欠き、差は開く一方で第3Q終了時は64‐34、最後は96‐48とダブルスコアで勝ち、ワールドカップ出場を自力で決めました!!
ワールドカップ出場となると、東京オリンピックの出場も近づいてきます。
1976年モントリオール以来、念願のオリンピック出場に期待したいですね。
ちなみにこの時のメンバーは阿部成章、千種信雄、森哲、結城昭二、藤本裕(故人)、沼田宏文、桑田健秀、山本浩二(故人)、清水茂人(故人)、斎藤文夫、北原憲彦、浜口秀樹。監督吉田正彦で、11位でした。日本的には大型フォワードが多く、2m台も3人いました。
男子日本代表のワールドカップ出場騒ぎも落ち着き、Bリーグが再開されました。
ビーコル(横浜ビー・コルセアーズ)についてお話しましょう。
◆ビーコルに新外国籍選手
残り20ゲームとなり、選手登録期間最終日でもある2月28日、得点力の低いプリンス・イベに替わってスリーもATBもできるジョナサン・ホームズと新たに契約しました。彼で今シーズン7人目の外国籍選手となります。
アメリカ、テキサス州出身、203㎝130㎏26歳フォワードで、イベと同じテキサス大学の先輩に当たります。
テキサス大では4年間で127ゲームに出場し、平均23.1分出場、9.2点、5.9リバウンを記録しています。
NBAドラフトには指名されませんでしたが、2015年サマー・リーグはボストン・セルティックスでプレー。2016年のサマー・リーグはメンフィス・グリズリーズでプレーした後、レブロン・ジェームスがいるクリーブランド・キャバリアーズと契約し、プレシーズンの6ゲームを経験しました。
その後はGリーグ(NBAの下部リーグ)やユーロ・リーグでプレーしました。
■USAワールドカップ予選チームに選ばれています。
・2017年11月第一予選2ゲーム共にスタメン。
・2018年6~7月vsメキシコとvsキューバの2ゲームでスタメン。1勝1敗。
スリーも入りますが、最近はATBも多く、No.34ブランドン・コストナーのプレースタイルに近いものがあり、I/SにNo.33アーサー・スティーブンソンとNo.32エドワード・モリス、外からコストナーorホームズと言う構図が見えてきます。
再開最初のゲームは22勝18敗、中地区3位シーホース三河とのアウェー・ゲームでした。
3月2日(土)ゲーム①は、巨漢アイザック・バッツの強引なI/S攻撃と若い岡田侑大にやられ70‐73で敗れましたが、平均得点79.3の三河を73点に抑え、常に接戦し、前回1月30日(水)に57‐91で大敗したことを忘れさせるような善戦でした。
翌3日(日)ゲーム②は、バッツをゴール下から締め出したものの西川とミークスなどに得点され、常に三河に先手を取られる展開となり、64‐72で最終Qを迎えました。
ここからビーコルの強いM2Mが効き始め失点を抑え、更にオフェンスではNo.1川村卓也(以下タク)が爆発を起こしました。
残6分12秒、三河が攻め切れず、桜木がショットクロックを気にして中途半端なシュートしたボールをタクが奪い、そのままプッシュして右コーナー3Pラインの外で待ち構えているNo.0細谷将司(以下マーシー)へボールを裁くと、マーシーはこの日2本しかミスしていないスリーを躊躇せず撃ち、75‐78と3点差に詰め寄りました。
🎥今日の試合のハイライト🎥
3/3 シーホース三河 vs 横浜ビー・コルセアーズ🏀バスケットLIVEhttps://t.co/Af3ovdR97E#ビーコル
— 横浜B-CORSAIRS (@b_corsairs) 2019年3月3日
ここららタクがゾーンに入ります。
残5分31秒、スクリーンを使った右ウイングからのジャンパーで77‐78。
残4分53秒 更に同じ状況でのタフショットで79‐81。
残4分22秒 短いジャンパーが西川のファールを上手く誘い、AND1(ファールされながらシュートを決めると貰える1本のFTのこと)も決めてスリーポイント・プレーで82‐81
ついに逆転!!
残3分47秒 マーシーからパスを貰いスリーを決め85‐81と差を開く。
実にたった104秒の間で9得点の大活躍。それの勢いがそのままチーム全体に広がり、オフェンスのみならずディフェンスをも強くし、その後は三河に1ゴールしか許さず、93‐83で前日の雪辱を果たし12勝30敗としました。
1月16日(水)vs三遠戦以来の超90点ゲームでした。
残りゲーム数18となり、現在リーグ全体15位で下から4チームに入っており、14位秋田とは2ゲーム差。
このままの状態では3年連続残留プレーオフの可能性もあります。
これからの対戦相手は上位チームが多いのですが、外国籍選手も充実してきたので、この勢いを保って欲しいものです。
◆Wリーグ JX-ENEOS優勝!!
リーグ戦3位でトヨタ紡織とトヨタ自動車を下して、初の決勝進出を果たした三菱電機コアラーズ。
方やデンソーを下し13年連続37回目の決勝進出、強豪JX-ENEOSサンフラワーズ。
3月2~4日の予定で2勝すれば優勝の「Wリーグ・ファイナルス」が、大田区総合体育館で行われました。
Facebook:Wリーグ ‐バスケットボール女子日本リーグ
日本代表に多くの選手を送り出しているJX-ENEOSと、雑草軍団とも呼ばれる三菱では力の差がありすぎると思われ、現にゲーム①では91‐68とJX-ENEOSが圧勝しているため、アッサリと決まるのではと思われていたゲーム②。
ゲーム①で不調だったNo.45渡邊亜弥とゲーム①で15得点のNo.4根本葉瑠乃のシュートが決まり、更に気迫あふれるディフェンスで終始JX-ENEOSを苦しめ好勝負を展開しました。
BS1で生中継されていましたが、面白く感動を与えたゲームとなり、男子日本代表と共に日本バスケット界の発展に繋がる好ゲームで良かったですね。
さて、このFinalsの2ゲームで43点と両チームを通じ最高得点し、MVPを獲得したのがNo.52宮澤夕貴です。
ご存知の方も多いと思いますが横浜市出身で、泉区の岡津中学から当時全国で有名な星澤純一先生が率いる名門県立金沢総合高校へ進み、在学中U-16アジア選手権メンバーに選ばれ準優勝、第1回U-17世界選手権メンバー。更に3年次インターハイ優勝、全日本総合選手権大会ベスト8進出を果たし、卒業後はJX-ENEOS入りしました。
高校時代は星澤先生の意向で、180㎝とチーム最長身ながらセンターとしてではなく、オールラウンドに動くフォワードとして育てられたのが、現在の3Pシューターとしての動きの元になっていると思われます。
近年はチーム内での自分の働きを理解しており「自分がやらなくては!」という気持ちが出て来たと言います。
今シーズンWリーグのベスト5も受賞し、まだまだ伸びしろのある宮澤選手を応援したいものです。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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