vol.137「怪我人多いビーコルと中学高校新人戦」
先月号で「海賊の逆襲は2月から?! 面白くなりますよーー!!」と書いたのですが、大番狂わせが(汗)
12月末に加入したN0.34ブランドン・コストナー(206cm、以下BC)の影響で、上向きになった横浜ビー・コルセアーズ(以下ビーコル)でしたが、1か月も経たないうちに怪我で出場できできなくなり、更にNo.11プリンス・イベ(208㎝、以下プリン)も負傷し、現在外国籍選手はNo.33アーサー・スティーブンソン(203 cm,以下アレックス)一人となってしまいました(涙)
1月23日(水)神奈川ダービーと銘打った川崎ブレーブサンダースを迎えての横浜国際プールでのゲーム。立ち上がりからNo.1川村卓也(193㎝、以下タク)、ベテランNo.25竹田謙(188cm、以下ケン)そして新加入BC等が得点を重ね、26-21とリードして迎えた第2Q残7分11秒、BCがトップからのドライブでゴール下へ切れ込み、両足でストップをかけた時、右脚がスリップし靭帯を伸ばして退場となり、その後右足関節三角靭帯損傷で全治3週間と診断されました。それまでチーム最多の10得点だっただけに残念です。
昨日、クールに大爆発した我らがキャプテン #湊谷安玲久司朱 ☠✨
アレクならではのテンポと間合いでシュートチャンスを作り出し、2Qで12得点の活躍‼そのテクニックと綺麗なシュートに惚れ惚れ😍 #キャプテアレク #カッコイイですね〜 #カッコイイんです #ビーコル @minatoya23 pic.twitter.com/JucSng62UV— 横浜B-CORSAIRS (@b_corsairs) 2019年1月31日
更に、秋田ノーザンハピネッツ戦を挟んで1週間後の1月30日(水)、三遠ネオフェニックス・ゲーム①で開始早々(Tip Offのジャンプ着地時)プリンが右足首を捻ってしまった(涙)
三河アイザイア・バッツの左足にプリンの左足が乗ったために捻挫したもので、左足三角靭帯損傷で全治3週間と診断され、外国籍選手は1人になってしまったのです。
気になるのは位置のことです。プリンの着地は右足がセンター・ラインに近く、左足はセンター・ラインから遠い位置に着地してます。もちろん両足ともラインの内側なのに、なぜ相手選手の足の上に着地することになったのでしょうか!?!
絶望的な展開ですが、これで逆に強くなった感じもあります。
秋田戦ゲーム②では77-71で、三遠戦ゲーム②では83-82で勝っているのです、2人抜きでも!!
理由はいくつか挙げられます。
1) 結束が強くなった。
良くある話ですが、主力が怪我等でいなくなった時、他のメンバーに自覚が出て精神的に頑張れたり結束したり、良い方へ転ぶことがよくあります。
例えば帰化枠のNo.32エドワード・モリス(203cm、以下エド)、同じ帰化選手への対応として獲得した選手ですが、この選手は地味にディフェンスを頑張ったりリバウンドを獲っていた選手で、「得点はあまり期待してない」と言う印象でした。
ところがプリン負傷後に外国籍選手が1人になったことで、得点に対して積極的になりました。
三遠戦前までと三遠戦2ゲームを比較してみましょう。数字は1ゲーム平均です。
FGA(野投試投数) 4.1本 → 13.0本 317% up
FGM(野投成功数) 1.7本 → 7.0本 412% up
FG%(野投成功率) 40.2% → 53.8% 13.6ポイントup
得点 4.2点 → 14.5点 345% up
全て大幅にアップしてるのが分かります。
実際に見ていても、今までならパスで味方にシュートさせていた場面も、積極的にシュートに持ち込み決め、過去最高の数字を叩き出しました。難しいシュートでは無く、ペイントエリア(ゴール周辺の色付けされた四角い場所。横浜国際プールはブルーに塗られている)で堅実なシュートをしてました。三遠にとっては誤算だったのではないでしょうか!!
2) ゾーン・ディフェンス(以下ゾーン)効果
今までゾーンで守っても、外から撃たれることが多く、マンツーマン・ディフェンス(以下M2M)に変えて良い結果を出したこともありましたが、この数ゲーム、新型ゾーンの効果が出て来た感じがします。1月30日(水)の強豪・三河相手に、第1QでM2Mを敷き、11-24と差をつけられた第2Qに新型ゾーンに変えました。すると第2Qと、弱点とされていた第3Qの2Qを41-40とリードしたのです。
そして2日後の2月1日(金)@トッケイセキュリティー平塚総合体育館での三遠ネオフェニックス・ゲーム➀では、始めからゾーンで守り第2Q残6分まで34-21とリードを奪っています。
更に翌日のゲーム②ではゾーンを使い続け73-72で三遠から勝利をもぎ取り、今シーズン10勝目を挙げました。
とは言えゾーンは万能ではありません、中途半端なゾーンはズレが多くなり簡単にI/S(Inside、ゴール下周辺。ペイントエリアと同義語)に攻め込まれることが多くなったり、外からのシュートを守り切れなく、3Pを量産されたりします。
またトーマス・ウィスマン・コーチ(以下コーチ・トム)も「長時間やり続けるものではない。時間が経つにつれ慣れられたり攻略法が判られたりして、攻められてしまう。だから将来的にはM2Mとゾーンを混ぜて使うようになるだろう。」と自ら指摘してました。
確かに三河戦では、第3Q残4分くらいから一気に離されました。上手い選手やベテランが多い経験豊富なチームほど、ゾーンの穴を見抜くのは上手く早いと言えます。
また新ゾーンは選手が動く距離も長く、疲労するというリスクも抱えています。三遠ゲーム①がそうですね、最後はガス欠という感じでした。
三河戦においても、疲れからオフェンスでのミスが多くなり、そこから速攻を出されたケースが増えていました。
しかし三遠ゲーム②では、最後まで集中を切らさずプレーしたことで勝利したわけです。
3)アレク効果
現在ビーコルには、ステーブンソンのことをアレックスまたはBig Alexと呼ぶため混同しやすいのですが、元祖アレクはNo.5湊谷安玲久司朱(みなとや・あれくしす191cm)のことです。
彼はアキレス腱断裂や肉離れで長い間プレー出来なく、活躍する場面が少なかったのですが、三河戦から見事カムバックを果たしました。
アレクは元々大型3Pシューターとして知られ、3P狙いの場面にワンポイントで起用されることが多々ありましたが、3Pシューターとすればある程度の時間はコートに居ないと調子が出せないこともあり、3Pの確率も31%と特に高いものではありませんでした。
ところが第2Q残8分過ぎから出てきたアレク、最初の外からのシュートは外したものの、次の場面では自分よりも10㎝ほど低い生原にマッチアップ(M2Mで対峙することや、相手選手)されたことで、高さのミスマッチを突いて、ドリブルでゴリゴリとリングまで2mほどに押し込み、急にターンしてフェードアウェー(後方へジャンプしながらのシュート、マイケル・ジョーダンが最初の復帰後に得意としたシュート)を決めました。
1)の「結束が強くなった」に関係すると思いますが、今までならスリー(3Pシュートのこと)を撃ったでしょうが、入る確率が判らないスリーより、堅実に2点を取りに行くことに切り替えたのだと思いますが、それは勝ちたかったからだと思います。
更に残5分からジャンパーやフェードアウェー、最後は走って速攻で決めるなど、2分半で5ゴール、それも連続で決め17-36から27-38と追い上げました。
このゲームではそれまで平均5.1得点だったものを、今シーズン自己最高の12点を挙げ、更に三遠戦でも2ゲームで25分間で3Pではなくミッドレンジ(ペイントエリア外3Pライン内の距離。)で14点を稼いでいます。ミッドレンジでの得点が多いのは良い傾向で、この3ゲームで22本中12本決めシュート率55%と超高確率で決めています。
「タクさんとアレクさんがコートに居るとボールが落ち着きPGとしてやり易い」とポイントガードNo.0細谷将司(173cm、以下マーシー)が言ってましたが、これでアレクがミッドレンジで得点できるようになると、I/Sでアレックス、3Pを中心に何処からでも得点できるタクが居ることで、オフェンスの幅広がりができ、課題となっている得点力も増すはずです。
<タクに関するSTATSネタ>
タクのStatsと勝敗の関係を調べてみると、当然ながら勝ちゲームは個人得点が負けゲームより15%ほど高い。
更に3Pの確率に関しては、勝ちゲームの方が6ポイントほど高い。とは言っても、数多く撃ち確率が高ければ勝っているかというと、10月13日の京都ゲーム②のように6本も決め確率67%なのに81-87で敗れたこともあるので、そうとも言い切れません。
しいて言えば、勝っているときはディフェンス・リバウンドを確実にとり、守ってはスティールが多い時ということですね。
*ビーコルの各ゲームの経過は B-COR MAGAZINE に書いてあるのでこちらをお読みください。
◆神奈川県高校新人戦◆
男子・横浜清風高 準優勝!!
平成30年度神奈川県高等学校バスケットボール新人大会は、昨年中に行われた各地区の予選を経て男女各52チームによる県大会が1月12日(土)から26日(土)まで行われ、男子は桐光学園高(以下桐光)、女子アレセイア湘南高(以下アレセイア)が優勝しました。
■女 子
決勝は昨年インターハイ予選同様アレセイア湘南vs鵠沼高(以下鵠沼)で行われました。練習ゲームで何度か対戦している両チームですが、いずれもアレセイアが一方的な展開だと聞いてます。
立ち上がり鵠沼のディフェンスが機能し、アレセイアはシュートが入りません。一方鵠沼は高さを生かしI/Sで得点しリードを奪いますが、第2ピリオドから仕掛けられたアレセイアのゾーンを攻められず、更に上から当たられるとボール運びでミスが出て逆転されました。
鵠沼は後半に良いディフェンスでボールを奪うものの、雑なシュートで追いつけず一時は大差をつけられます。しかし、No.6天野遥奈のオフェンスリバウンドやNo.17野坂葵のATBで40-40に追いつき最終ピリオドへ持ち込みました。
アレセイアはNo.25高杉真央がハイポストからシュートを連続で決めリードすると、フルコートの強いプレスで鵠沼のボール運びを止め、徐々に差を開き66-50で優勝し、2連覇となりました。
今大会はこの2チームが群を抜いていました。他に県立逗葉が3年ぶりの4強入りを果たしました。
・準々決勝 アレセイア73-41相模女大高、県立旭高85-77横浜清風高、県立逗葉高44-41県立市ヶ尾高、鵠沼74-62東海大相模高
・準決勝 アレセイア91-63県立旭、鵠沼77-58県立逗葉
■男 子
女子が2強状態なのに対し、男子は4強だけではなくその下に面白いチームが数チームあります。
今大会のメインは準決勝でした。
久しぶりの名門復活となった湘南工大附高(以下テック)は特に大型選手は居ないものの、伝統の全員がスピードあるプレーと切り合え、そしてシュート力を持つチームです。対するテックOB三宅学がコーチする横浜清風高(以下清風)は、昨年同様小型ながら強いディフェンスとスピードとシュート力のあるチーム。同じタイプのチームでアップダウン(攻守の切り替えが早く多いこと)の激しい攻防が見どころの一つでした。清風はNo.須藤タイレル拓、No.75坂本アサレ暖、No.88下原大輝を中心に、テックはNo.6王宇希、No.5鈴木祥弘、No.4酒井鈴音等の得点で終始競った展開を最終盤まで見せましたが、テックは主力の二人がファールアウト(5反則退場)となったのが響き、土壇場で2個のターンノーバーを犯し清風は69‐67の2点差で勝ちました。
一方、桐光学園高(以下桐光)vs法政二高(以下法政)戦は、お互いに大型選手もシューターもいて、ディフェンスの強いチーム同士の戦いとなりました。
No.17佐藤悠真とNo.5田中一真の得点でリードする法政をNo.川上裕樹、No.7兪龍海らのシュートで追いかける桐光という展開となりましたが、第4ピリオドに入って桐光が追いついた後はシーソーゲームになり、最後に攻め切れなかった法政を桐光が突き放し決勝へコマを進めました。
決勝は上からプレスを仕掛ける清風、しかし攻撃面では大型I/Sを擁する桐光のM2Mを攻め込めず、外からのシュートに頼らざるを得ないが、撃たされるシュートが多く確率が悪い。それでも第1ピリオドは付いていけたもののシュートが単発となり45-37桐光のリードで前半を終了します。
後半も兪にI/Sを支配され、更に次から次へと大型選手を繰り出す桐光が終始リードし、83-62で優勝しました。
・準々決勝 桐光84-67東海大相模、法政88-58横浜隼人高、テック99-63県立霧が丘高、清風84-76県立厚木北高
・準決勝 桐光72-71法政二、清風69-67テック
◆中学新人戦◆
優勝は男女とも横浜!!
男女各64チームが参加して行われた「平成30年度第42回神奈川県中学校バスケットボール新人大会」は、1月27日(日)ひらつかサン・ライフアリーナで決勝戦が行われました。
■女 子
ファイナル4に勝ち進んだのは、優勝候補ナンバーワンの呼び声が高かった相模原ブロック1位・相模女大中学部(以下相模女)、横浜ブロック1位・戸塚区戸塚中(以下戸塚)、同じく同4位・戸塚区名瀬中(以下名瀬)と同2位・旭区鶴ケ峯中(以下鶴ケ峯)と横浜勢が3チームも占めています。
決勝は大型PGNo.4青木らするな月と大型フォワードNo.5前田理咲子を擁する相模女vs名瀬で行なわれました。立ち上がりはNo.12山川香菜の3Pがポンポンと決まり相模女が常にリードする展開でしたが、第3ピリオドに相模女は前田とNo.15オクラン咲樹アマのI/S陣がファールトラブル(個人ファールが多くなること)になり、そこから名瀬はI/Sで175㎝の三宅とNo.7山本うみが得点し逆転、更に差を広げ、追い上げる相模女を振り切り57-50で優勝しました。
名瀬は1992年第15回大会以来2度目の優勝となりました。
・準々決勝 相模女67-48アレセイア、鶴ケ峯82-42鴨宮(小田原市)、戸塚58-23成瀬中(伊勢原市)、名瀬74-44大矢部中(横須賀市)
・準決勝 相模女67-40鶴ケ峯、名瀬43-37戸塚
女子全結果はこちらで
■男 子
決勝戦は、小柄ながらディフェンスと1on1が強くスピードある展開をする横浜ブロック1位・瀬谷区原中学(以下原)と、スーパー中学生・No.4角野寛伍率いる県央ブロック2位・厚木市厚木中(以下厚木)との対戦でした。
準決勝の県央ブロック3位・下福田(大和市)戦で、角野と下福田No.4瀧本頼騎とのシュート合戦になった厚木は、シュートだけではなくディフェンスを引き付けて、アシストも量産した角野に軍配が上がりました。
一方、パワフルな大型フォワードNo.7吉野瑠希を擁する県央ブロック1位・海老名市大谷中と接戦の末引き離し、順当に決勝に進出した原です。
原vs角野の戦いになった決勝戦、先行したのは150㎝のPG厚木No.6竹内凪の連続3Pでした。更に角野のスリーも決まります。一方の原は、ATBを積極的に仕掛けるものの、シュートが決まらず、厚木一歩リードで展開します。しかし厚木は、角野が前半で4ファールとなり苦しむものも竹内が要所でスリーを決めリードを保ったまま最終ピリオドへ。
均衡を破ったのは原No.7齋藤亜錬の3Pでした。これで逆転し初めて原がリードを奪うと、得意の強いプレス・ディフェンスから連続でスティールし速攻を決め53‐47とし、勝負ありと思いきや、ここから角野がシュートを決め始め62-62と追いつき、オーバータイム(延長戦)へ突入しました。
しかし厚木はここまでが精一杯でした。第4ピリオドの追い上げでエナジーを使い果たす一方、1on1で勝負する原が徐々に差を広げ、71-62で昨年に引き続き2年連続優勝を果たしました。
・準々決勝 厚木中57-54希望が丘、下福田46-41豊田、原66-53相模丘、大谷47-42上菅田
・準決勝 厚木58-46下福田、原60-53大谷
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1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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