vol.133「ビーコル 苦しい立ち上がり」
10月4日(木)、いよいよBリーグ3シーズン目が川崎ブレイブサンダースvs千葉ジェッツ戦で開幕しました。
そして横浜ビー・コルセアーズも、10月6日(土)にアウェー富山グラウジーズ戦で開幕しましたが、今シーズンも大嵐の中での出航となってしまいました。
8月1日(土)・2日(日)に川俣町スポーツカーニバルで行なわれた「SILK GAME」でプレシーズンが始まりました。B2の福島ファイアーボンズに58-74と敗れ、更に8月7日(金)の「アーリーカップ2018関東」で1回戦では千葉に55-114、翌8日(土)の5位決定戦でも川崎に68-74と連敗となりました。
★福島ファイアーボンズ戦
★千葉ジェッツ1回戦
★川崎ブレイブサンダース5位決定戦
それでも8月16日(日)、稚内市総合スポーツセンターで行われた「稚内市制施行70年・開港70週年記念プレシーズンゲーム レバンガ北海道 vs 横浜ビー・コルセアーズ」では、B1東地区のレバンガに78-80と惜敗したものの、翌日は88-66と大差で下し新チームとしての初勝利となりました。
まあプレシーズン・ゲームですから勝敗で一喜一憂する必要はありません。
★レバンガ北海道戦1日目
★レバンガ北海道戦2日目
更に、開幕1週間前の9月28日(金)、ブースターとの交流会とも言える「横浜ビー・コルセアーズ出港式」が、都筑公会堂で開催されました。
【ハマスポ】イベントレポートにリンク
そして開幕を前日に控えた10月5日(金)、驚くべきことに新たに3人目となる外国籍選手として、#12ジャボン・マックレア(206cm26歳、以下ジャボン)の加入を発表しました。
これで外国人3人、帰化選手1人となりますが、ゲームごとのロースターには外国人は2人しか登録できない規則になっています。同じように、外国人と帰化選手も加え12人しか登録できないので、日本人も毎ゲーム1人、登録から外れるという事になるため、チーム内での競争が激しくなり、活性化が期待できます!
こうして迎えた公式戦、スターティング・ファイブ(スタメン)で、帰化枠の#32エドワード・モリス(203cm36歳、以下エド)及び新加入選手は誰が入るのか、大変気になったところですが、以下のとおりでした!!
#0 細谷将司(173cm28歳、以下マーシー)
#1 川村卓也(183cm32歳、以下タク)
#2 高島一貴(180cm34歳、以下カズ)
#8 アマンゼ・エゲケゼ(203cm23歳、以下アマンゼ)
#36 チャールズ・ガルシア(208cm30歳、以下チャック)
*平均身長183.4cm 28.6歳
昨シーズンのサビートのような超大型選手はいない代わりに、動けて走れる選手、いわゆるスモール・ラインナップになってます。
「横浜ビー・コルセアーズ提供」
昨シーズンの残留プレーオフでの敗北のリベンジを晴らそうと、富山は立ち上がりから強いプレッシャーのディフェンスと、攻めては積極的なATB(Attack The Basket。ドリブルでリングに攻め込むこと)を仕掛けてファールを多く取ります。更に、208cm138kgの巨漢ジョシュア・スミスをインサイド(ゴール下近辺。以下I/S)に入れボールを集め得点します。
一方ビーコルは大型選手がいないため、どうしても外からの攻撃が多くならざるを得なくなり、タクに頼ってしまう場面が多くなります。2メンゲーム(2 Men Game。ピック&ロール、スクリーン・プレーとも言う)で外国人に良いパスを送るが、多くはスクリーンを使った1on1のプレーが多くなります。ところがBリーグ3シーズン目ともなると、相手チームは「横浜は川村を抑えれば」という傾向が強くなり、タク対策もシッカリとやってきており、今まで以上にタクが苦労することになります。
そのため、タクがボールを持つと味方も動かないで、タクを見ているだけになることが多く、孤立気味になり苦しい展開に。それでも第1Qはアマンゼがブザービーター(クォターの終了間際や24秒等の時間に関するルールのギリギリの時間帯でのシュート)スリー(3点シュート)を決め、24-26と2点差で終了しました。
#1タク「横浜ビー・コルセアーズ提供」
第2Qはお互いに、ベンチメンバーを多用(NBA チームの常とう手段)してのスタートとなったものの、富山は直ぐにスミスを投入してきました。一方で、ビーコルのオフェンスは単調でシュートも入らず、スミスにI/Sで2本決められ、残7分24-34と10点差にされたところでタクを投入。しかし、富山は更にI/Sのスミスにボールを集めるため、ビーコルはI/Sを固めます。すると富山の水戸と阿部にスリーを決められ20点近く離され、39-54で前半を終了。第2Qで更に13点も差をつけられたのが痛い!!
結局スミスに第2Qだけで14得点、更に第1Qを合わせた前半だけで24得点されました。これは痛すぎる!!
後半はディフェンスが効き始め、しっかりと守り、徐々に追い上げ残り5分54-63と8点差にしたところで、トーマス・ウィスマン・ヘッドコーチ(68歳、以下コーチ・トム)は外国人2人+帰化枠1人の外国人3人制にして勝負に出ました。
ところが、これでI/Sのスペースが狭くなり、逆に動きが制限されたりお互いが遠慮したりで、3人制の良い効果が出る前に、チャックが4ファールとなりベンチに下げたため2人制に戻しましたが、この1分46秒間で5-6と1点負けています。
#8アマンゼ「横浜ビー・コルセアーズ提供」
#36チャック「横浜ビー・コルセアーズ提供」
その後のOTO(オフィシャル・タイムアウト)では72-88と離されましたが、最後は意地を見せ、82-94と差を詰めたことが救いです。
Bリーグ開幕の2016-2017シーズンは渋谷に63-81、昨シーズン2017-2018は滋賀に56-73で負けており、これでBリーグになってからは一度も、開幕戦に勝利出来ていません!
大事なことは敗戦を引きずらないこと、頭を切り替えてスミス対策をすることです。NBA的に言うと「アジャスト」と言います。ゲーム①でチームの4割以上の39得点しているスミスをいかに抑えるか、と言う事です。
背が高いだけじゃなく体重もあるBigManに対するディフェンス、今回のスミスや新潟のデバンテ・ガードナー(203cm132kg)を守る方法は何通りかあります。
1)走らせる
体重が重い選手は走るのが苦手です。だからトランジッション(行き来)を多くすること。と言っても早い速攻でアッと言う間に得点してきてはいけません。早すぎると、戻るのを諦めて次の攻撃に備えて、ディフェンスに戻らないことが多いからです。
だから、早く攻め込んでもシュートまで行かず、パス回しなどをしてBigManが戻ってくるのを待つようにするとか。シュートを入れられた後のスローインを早くしてBigManを走らせ、スタミナを奪うことです。
2)ファールを取ること
守ることは諦めて(笑)、自分達の攻撃時にATBをガンガン仕掛けファールを誘うことです。動きの速いガードやフォワードなら、ギリギリのコースをドライブして身体をぶつけに行くこと、または、シュートの瞬間に相手の腕に絡むようなフォームで撃つことで、BigManのファールを誘うことです。I/Sなら、ドッジング(止まった状態からドリブルしながら肩でディフェンスに何度もぶつかり、シュートに持って行くこと)でわざと跳ばされるファールを取るとか、、、。
プロなら、これも立派な技術です。
3)フル・フロントで守る
ディフェンスはかなりくたびれますが、BigManの前に体を密着させ、更に後ずさりするように常にプレッシャーを掛けてBigManの動きを抑え、パスも簡単に通させないようにする。bjリーグからのビーコル・ブースターなら久山智志(現京都ハンナリーズ アシスタント・コーチ)が行い、効果を上げていたのはご存知のことと思います。
前は、密着してパスを入れさせないように守り、後ろへの大きなロブパスは逆サイドが守る、というやり方です。
4)パスを入れさせない
I/SにいるBigManに、ボールが渡るから面倒なことになるので、その元を断ちること。パスを入れるガードにプレッシャーを掛け、簡単にパスを入れさせないことです。
という事が挙げられますが、翌日のゲーム②では、いかにアジャストするかが問題でした。
富山は立ち上がりスミスとスクリーンを使い、もう一人の外国人ライオンズにFTライン辺りからシュート決め先取点を上げました。次のビーコルの攻撃では、タクが左ウィングから船生を抜いてレイアップを決め同点にしましたが、直ぐに富山は、船生のシュートミスをスミスにプットバック(オフェンス・リバウンドを取り直ぐにシュートすること)で決められ、更に次のビーコルの攻撃では、タクが先ほどと同じ状態で船生を抜いて行きますが、そこは宇都が逆サイドからシッカリとカバーに行って、守られてしまいました。
立ち上がりから、富山はボールを回してズレを起こさせ、更にドリブルで中に割って入るという良い攻撃を仕掛けてきます。これには組織立ったディフェンスじゃないと守りづらいものですが、まだ発展途上のビーコル・ディフェンスでは守り切れず、次々と得点されます。
一方のオフェンスでは、相変わらずボールが回らず、パス1回ごとにボールが止まり1on1を仕掛けるため、富山ディフェンスはボールに集中しやすく、守られてしまいます。
結局、前日以上に点差を付けられ77-101で連敗を喫してしまいました。
悪いことばかり書きましたが、前回で書いた通り今シーズンのビーコルは、新加入選手が多く、その上外国人は皆入れ替わったため、意思の疎通はまだ出来ていない状態で、チームのプレーも身についていない状態です。
ディフェンスのシステムがシッカリと浸透するのには、3年掛かると大学のコーチから聞いたことがあります。
オフェンスでも、ボール保持者がお互いに何をしようとしているかが判る、アイコンタクトや“阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)”ってやつが出来るまでには、やはり数年かかります。
実際にコートでプレーしている選手が、一番歯がゆい思いでプレーしているはずです!それでも両ゲームとも、終盤に入ってもビーコルはギブアップせず追い上げました。これは、これからのゲームで良い方へ変わっていくことと思います。
まだシーズンは始まったばかりです。先は長いのですから、大きな気持ちで見守ってください!!
「横浜ビー・コルセアーズ提供」
今シーズン最初のホームゲームは、10月17日(水)横浜文化体育館で、富山を迎えてのリベンジ・ゲームです!!
時間やチケットなどの詳細はこちら
※編集より※
今回は、開幕戦について詳しく記事にしていただきました。
今後の横浜ビー・コルセアーズに期待して、応援していきましょう!
★マークの記事は、ビーコルマガジンにリンクしています。
©2018 B-COR MAGAZINE All Rights Reserved.
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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