vol.132「ビーコル新メンバー」
さあ『横浜海賊船ビーコル号』2018‐19シーズン、出帆します!
まずは簡単に昨シーズンの結果と、今シーズンの地区分けについて説明しましょう。
B1全18チーム中下位4チームによる残留プレーオフが行われ、16位だった横浜ビー・コルセアーズ(以下ビーコル)は1回戦で17位西宮ストークスと戦い、2勝1敗で2回戦へ進みました。負けた西宮と島根スサノウマジックは、この時点でB2へ自動降格となりました。
2回戦では、島根を下した富山グラウジーズと対戦し、79-76で勝ちB1残留を決めました。
「横浜ビー・コルセアーズ提供」
一方、B2プレーオフを勝ち抜いたライジングゼファー福岡と秋田ノーザンハピネッツの2チームがB1へ自動昇格となり、最後の1枠は富山がB2熊本ヴォルターズに勝ち、残留を決めました。
この結果今シーズン(2018‐19)のB1は、以下のチームとなりました。
【東地区】レバンガ北海道、秋田ノーザンハピネッツ、栃木ブレックス、千葉ジェッツ、アルバルク東京、サンロッカーズ渋谷
【中地区】川崎ブレイブサンダース、横浜ビー・コルセアーズ、新潟アルビレックスBB、富山グラウジーズ、三遠ネオフェニックス、シーホース三河
【西地区】名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、滋賀レイクスターズ、京都ハンナリーズ、大阪エヴェッサ、ライジングゼファー福岡、琉球ゴールデンキングス
ビーコルが所属する中地区には川崎が加入となり、東地区と並んで強豪地区となりましたね!!
話をビーコルにもどしましょう。
8月31日、ビーコルのメンバーが以下のように決まりました。
・▲印は新加入選手
#0 細谷 将司(以下マーシー) 29歳 173cm PG
#1 川村 卓也(以下タク) 32歳 193cm SG
#2 高島 一貴(以下カズ) 34歳 190cm SG
#5 湊屋 安玲久司朱(あれくしす、以下アレク) 30歳 191cm SG
▲#6 中村 太地(法政大) 21歳 190cm PG
▲#7 橋本 尚明(前富山) 26歳 182cm SG
▲#8 アマンゼ・エゲケゼ(Amanze Egekeze) 23歳 203cm SF *外国籍
▲#10 ハンター・コート(Hunter Cort) 19歳 188cm PG
#21 田渡 凌(以下リョウ) 25歳 180cm PG
#25 竹田 謙(以下ケン) 39歳 188cm SG
▲#32 エドワード・モリス(Edward Morris 前富山) 34歳 203cm PF *外国籍(シーズン中に帰化枠の可能性あり)
▲#36 チャールズ・ガルシア(Charles Garcia) 29歳 208cm PF *外国籍
▲#81 小原(おばら) 翼(前富山) 24歳 198cm PF
◆ポジション解説◆
●PG/ポイント・ガード:プレーの指示出しなどコート上の司令塔。パスがうまい。
●SG/シューティング・ガード:身長は低いがシュートが得意。オールラウンダー。
●SF/スモール・フォワード:SGより背が高く、I/S(インサイド。ゴール下周辺)やリバウンドに参加。
●PF/パワー・フォワード:長身で体格が良く、I/Sでプレーすることが多い。
ご覧のように新加入選手が半数以上の7人も居て、新チームの感が強いのですが、外国人を除くと主軸になる選手は残留しているので、纏めやすいのかもしれません。ですが、数か月は掛かると思います。
新たにマーシーが新キャプテンとなり、アレクとともに2人キャプテン制を敷くことになりました。簡単に新加入選手の紹介をしましょう。
【#6中村太地】法政大在学中で大型のPGとしてアジア大会でも活躍しています。
関東大学リーグ終了後に本格的に合流する予定です。
詳しくは[B-COR MAGAZINE 名将ウィスマンが認めた有望格、ビーコルに新加入した中村太地に聞く。]をご覧ください。
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【#7橋本尚明】特別に大量得点できる選手ではないが、しぶといディフェンスをする選手で、カズのガード版です。
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【#8アマンゼ・エゲケゼ】大学を卒業したばかりのスリーポイント(以下3P)・シューター。しかし、ドリブルで攻め込んだりミッドレンジ(中距離)でのシュートも得意。3P確率は43%とかなり高いシューター。
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【#10ハンター・コート】世界的傾向の大型PG、センスが良く若く伸びしろはたっぷりあり、シーズン途中で化ける可能性もあります。
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【#32エドワード・モリス】いろいろなチームを歩いてきた、得点力の高いオールマイティーなベテランフォワード。
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【#36チャールズ・ガルシア】幅があるI/Sプレーヤー。パワーでI/Sでの得点を期待出来る選手。モリスとともにリバウンドを頑張ってくれそう。
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【#81小原翼】得点こそ少ないが、外国人をも守れる数少ないI/Sのビッグ・ディフェンダー。高校は地元横浜高等学校。
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以上、この7人が新しく加わりました。
ただ、加わる人が居ると言う事は、去る人も居る訳で、、、
8月31日に「ミスター・ビーコル」と呼ばれた蒲谷正之退団(B2信州ブレイブウォリアーズへ移籍)の発表がありました。bj決勝戦で、神がかり的活躍を見せたりクラッチ・シュートを決めたりして、ブースターさんの気持ちを虜にした魅力的な選手でした。
山田謙治(B2島ドラゴンフライズへ移籍)と共に、bj時代チーム初年度からのメンバーが居なくなったのは寂しい限りです。
両選手の新チームでの活躍に期待しましょう。
新加入選手を紹介しましたが、今回の補強のテーマは2点「得点力増加」と「ディフェンスの強化」とトーマス・ウィスマン(Thomas Wisman、69歳。以下コーチ・トム)新コーチが説明してくれました。
「得点力増加」
昨シーズンの平均得点は、リーグ10位の75.4点。特に3Pが弱点で、撃てるのはタク(1ゲーム平均成功数1.7本)とジェフリー・パーマー(現バンビシャス奈良。1.2本)とマーシー(1.2本)等で、終盤になり満田丈太郎(現名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)が撃ち出してきた感じでしたが、3Pがチーム全得点に占める割合は21.2%ばかりでした。
ハシーム・サビート・マンカやウィリアム・マクドナルド(現三遠ネオフェニックス)がI/Sで頑張って2点取っても、相手に3Pを決められると1点の差がついてしまい、中々追いつけないと言う場面が多々ありましたね。
3Pを分析すると、アテンプト(試投数。撃った数)はリーグ18チーム中17位となる16.5本で、確率も31.8%で16位とかなり低い数字になっています。
ちなみにアテンプト1位は25.0本の名古屋ダイヤモンドドルフィンズで、ビーコルより約1.5倍ほど撃っていることになります。確率部門ではシーホース三河の36.6%となっていて、5ポイント程高くなってますね。
と言う事で、外から撃てる選手としてアメリカのベルモント大で3P確率43%、1ゲーム平均2.9本決め平均得点16.8点のエゲケゼと契約しました。ちなみに、ビーコル昨年のスコアリング・リーダーはタクで、13.6点でした。
タクが居てエゲケゼが居れば、“鬼に金棒”かな?
さて、もう一つの課題「ディフェンスの強化」ですが、昨シーズンの1ゲーム平均失点は81.4点でリーグ16位と言う惨めさです。失点が一番少ない琉球の67.7点と比べると、14点弱の開きがありますね。シーズン中盤は、後半に失速し相手に大量得点されることが多かったですね。
しかし、これも新しくヘッド・コーチに就任したコーチ・トムが改善してくれるはずです。詳しくは、下記のコーチ・トムのインタビューをご覧ください。
ディフェンス主体の考え方は、初年度のレジー・ゲーリー・コーチと被ります。「ディフェンスが勝負を決める」とか「ディフェンスの強いチームが勝者になる」とかバスケットボール界のみならず、スポーツ界で言われる名言です。
ゲーリー・コーチはディフェンスを強化して「ディフェンスのビーコル」と言われ、2シーズン目でチャンピオンに輝きました。その再現を見たいものです!!
とは言え、ディフェンスはシステムで動くものなので、全員が同じ動きが出来るようになるにはかなり時間が掛かるものですから、開幕からの数か月は我慢の時期になると思われます。そこは耐えてください!!
コーチ・トムは、ご存知の通り昨年11月28日にアドバイザーに就任し、尺野コーチへ、ディフェンスを中心にアドバイスを送っていました。
先月18日、トッキュウセキュリティー平塚総合体育館でビーコルの航海練習(公開練習)が行われ、外国人選手はモリスだけで、中村もアジア大会メンバーとして合宿中のため欠場しており、チーム練習もしていない状態でのインタビューです。エゲケゼとガルシアは翌週23日(木)から合流しました。
◆以下がコーチ・トムのコメントです。
- 現在の状態は?
◆コンディショニング調整中で、チームは未完成な部分が多い。来週から外国人が加入します。現在は、オフェンスのスペーシングと走ることだけです。
今シーズンは若さ重視で7人入替え、伸びしろのある選手を育成中で、昨シーズンより良い成績を残したいと思ってます。1シーズンを通して、成長出来るチームになりたいですね。
- 今シーズンのチーム・コンセプトは?
◆私は昔からディフェンスに集中するコーチでした。走ってディフェンスするチームを目指します。
- 今シーズンの目標は?
◆私から今シーズンの目標を決めないし、私が示すものではありません。
目標は、選手とチーム全員で話し合って決めるもので、まだ全員が揃っていないので決められません。
我々は「今シーズンは上達するチーム」。シーズンを通して上達していくチームで「ゲームを毎回見るたびにビーコルは変わったな!」と思われるようなチームにしたい。
- メンバーについて。
◆今回補強したメンバーは、期待できるメンバーと思っています。ベテランと若手が一緒にやって行くうちに、若さに引っ張られ、ベテランがシッカリと一緒にやっていってくれるチームを目指したいです。
外国人選手は、昨シーズンより得点できる選手を加入させたので、そこも大いに期待して欲しいし、チームとして成長していく姿を見て欲しいと思っています。
- 昨シーズン途中から、ディフェンスが大きな変動を遂げたが?
◆ディフェンスに集中していきたい。昨シーズンは途中からディフェンスの指導に入ったので、半分からでは短すぎて、自分が目標とするディフェンスにはたどり着けませんでした!
しかし、今シーズンは来週の木曜日(23日)を1日目として、それから毎日毎日ディフェンスの練習をして行きたいと思っています。ただやることがいっぱいあります(笑)
チームとしてディフェンスが課題です。今日の練習で、ディフェンスのプレッシャーが強いと感じてくれたようですが、それは私が来たことで選手たちはディフェンスをしなくてはいけないと理解したのでしょう(笑)
ディフェンスは1人では出来なく、ヘルプ(抜いてきた選手をマークマン以外の選手が替わってディフェンスすること)やローテーション(ヘルプした際、マークマンが替わるため、その後次々とマークマンを変えること、およびそのシステム)をしたり、チーム全体で作り上げるもので、お互いが助け合えるようなディフェンスをしていきたいと思っています。
- 今シーズンは、ディフェンスから速攻を出せるチームにしたいと考えていると聞いたが。
◆私は「ディフェンスはオフェンスの始まり」と考えています。ディフェンスでスティールやターンノーバー(ミスにより相手ボールになること)を起こせれば、そこからしっかりと走り速攻を出し、簡単な得点につなげるのが私のやり方です。
- それは昨シーズン終盤に出ていたようですが。
◆シーズン終盤になるにつれ、ディフェンスが良くなり速攻が出るようになりましたが、アレが完成形ではなく、あれ以上のディフェンスを選手に求めていきます。
- 今シーズンの外国人について。
◆昨シーズンの外国人と違うところは、昨シーズンのうちの弱みでもあった外国人で点が取れなかった点。今年は点が取れる選手で、アマンゼ・エゲケゼもチャールズ・ガルシアも得点できるし身体能力も高い。そういう選手が、更にディフェンスで頑張ってもらうことです。
もう一人のモリスについては、ルール改正でベンチに入れる外国人は2人だけなので、帰化選手の重要性が大事になってくるが、モリスは上手くすれば今年中に帰化できそうなので(9月4日法務大臣の許可が下りたとチームから発表されました)。
そうなれば、現在いる外国人は2人なのでローテーションや怪我のことを考えると、日本人ビッグマンの小原も重要になってくる。彼らのバックアップとしてしっかり活躍してもらわないといけないし、モリスが日本人になればベンチが厚くなり、チームの強さに直結すると思います。
- ディフェンスが主体と言う事ですが、今シーズンは何パターンのディフェンス・スタイルを持つつもりですか?
◆今シーズンはM2M(マンツーマン)とゾーンの両方を使っていきたいと思っています。
私のゾーンの定義は、下がって休んでファール・トラブルを避ける、そんなやり過ごすようなゾーンではなく、しっかりプレッシャーを掛ける攻撃的なゾーンを目指していて、その攻撃的なゾーンをするための選手を集めたつもりです。昨シーズンは無かった機動力は、今シーズンの選手は持っていると思うので、機動力をフルに生かして、それとM2Mをしっかりと出来るようなチームにして、今シーズンを戦っていきたい思います。
さあ今シーズンの出航はもうすぐです。
前哨戦と言えるアーリーカップは、9月7日(金)~9日(日)に栃木のブレックスアリーナ宇都宮で行われます。詳細はこちらを。
男子プロバスケ・Bリーグ公式トーナメントカップ戦「アーリーカップ2018関東」
そして開幕戦は、10月6日(土)と7日(日)アウェーの富山グラウジーズ戦、次節も、12日(土)・13日(日)とアウェーの京都ハンナリーズ戦です。
ホーム開幕は、17日(水)聖地・横浜文化体育館にグラウジーズを迎え撃ち、その週末の20日(土)・21日(日)は、滋賀レイクスターズとの連戦が横浜国際プールで行われます!!
スケジュール及びゲームの詳細はこちらから。
新しく生まれ変わるビーコルを、応援しに来てください!!!
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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