vol.131「県中学大会 今年は原中が強い!」
“夏は暑いもの”と覚悟はしていても、今年の夏は特に暑いですね!!
そんな暑い中で行われるバスケット大会と言えば、高校性はインターハイですが、中学生は総合体育大会、いわゆる総体です。
神奈川県は、7月下旬に第52回神奈川県中学校総合体育大会(第63回神奈川県中学校バスケットボール大会、以下 県総体)が行われました。
本来は7月28日(土)から31日(火)までの予定でしたが、台風12号の接近に伴い、1日順延して29日(日)から8月1日(水)までの4日間で行われました。
横浜市は男子167校、女子161校と大所帯のため、他地区と違い「地区大会およびブロック大会」は行われず、市大会がそのまま県総体の予選になっています。
その市総体について書くにあたり、昨年12月に行われた新人戦に遡ってみましょう。
この大会は、男子優勝:原中、準優勝:横浜山手中華学校(以下山手中華)、3位:釜利谷中。以下、平楽中・東永谷中・名瀬中・蒔田中・上之の宮中の順でした。細かな点数等トーナメント表は、【平成29年度 横浜市中学校バスケットボール新人大会 男子トーナメント表】をご覧ください。
なお、県大会では原中がアレセイア湘南中に70-50で勝ち、優勝しました。3位:山手中華、4位:万騎が原中となりベスト8中6チームが横浜市のチームでした。
一方女子は、優勝:希望が丘中、準優勝:釜利谷中、3位:名瀬中。以下、山内中・戸塚中・鶴ケ峯中・洋光台第二中・本郷中の順でした。細かな点数等トーナメント表は、【平成29年度 横浜市中学校バスケットボール新人大会 女子トーナメント表】をご覧ください。
なお、県大会では3回戦で本命・相模女大中に50-42で勝った鶴ケ峯中が決勝で釜利谷中に71-62で勝ち、優勝しました。更に、ベスト8全てを横浜市の中学で独占しています!!
それを受けて、5月に行われた横浜市選手権大会。
男子決勝はまたも原中vs山手中華との対戦となり、71-49で新人戦同様原中が勝ち、優勝しました。
なお、3位には新人戦のトーナメント1回戦で名瀬中に敗れた、万騎が原中が準決勝まで進出し3位入賞を果たしました。以下、釜利谷中・岩崎中・平楽中・東永谷中・蒔田中と続きます。
女子は、新人戦県大会優勝の勢いのままの鶴ケ峯中が、決勝で希望が丘中を69-48で下し、優勝しました。以下、山内中・釜利谷中・本郷中・戸塚中・旭北中・洋光台第二中と続きます。
男女それぞれの横浜市選手権大会の点数等をご覧ください。
そして迎えた、県総体予選にあたる横浜市総体。
男子は、新人戦、選手権共にベスト8の蒔田中と平楽中が、ノーシード川和中と領家中に敗れるという波乱が起きました。平楽中を破った領家中は、準々決勝で万騎が原中を下し、ベスト4へ大進出です!!
選手権ベスト4の釜利谷中は今回も準決勝へ進出し、原中に58-45と前回より点差を詰めました。
3位決定戦ではI/S(インサイド。ゴール下近辺)に2枚のビッグマンを持つ釜利谷中が、一人だけの領家中を圧倒し74-43で下し、新人戦以来の3位となりました。
◆横浜市総体 男子決勝 原中vs山手中華
今シーズン3度目となる同一カードによる決勝戦。山手中華のガード陣は、鋭いドリブルで果敢にリングにアタックし原中を困らせます。原中は、自慢のATB(リングへアタックすること)が読まれているせいか不発で、苦戦を強いられ、第1Qは16-10と山手中華がリードします。しかし、山手中華はビッグマンの#17陳が3ファールとなり、苦しい状態になりました。
原中は、自慢のディフェンスが徐々に効果を発揮しだし、山手中華のATBを止めるようになり、差を詰めていき24-21 として前半を終えます。そして後半立ち上がり、原中は、本来の強いディフェンスからボールを奪い連続して速攻を出し、更に#6小林のI/Sで、残6分に28-26と逆転しました!
その後は、両チームともにシュートがリングに嫌われて得点が伸びませんでしたが、山手中華はスピードあるドリブルをするガード#22余が4ファールで苦しくなり、集中力も切れてシュートが入らなくなり、差が開く一方で51-38と差をつけて原中が勝ち、今シーズン負け無しの3連覇としました。
山手中華は2人のビッグマンを持っているのに対し、原中は全員がガードと思えるほど小さい選手ばかり。その中でもI/Sを任せられている#6小林は170cmほどではあるが、フェイントやピボットおよび、身体の使い方が上手く、180cm近い山手中華のセンター相手に互角に戦っていました。
【ゲーム後、原中・幾田先生のコメント】
「前回(選手権)の反省から、リバウンドは弾いたり、こぼれ球に反応するように指示しました。ルーズボールは大事です。(原中得意の)先読みディフェンスは、子どもたちで話しながらやっていて、特に私が指示することはありません。
5番の高橋快成は良いPGです。6番は小柄なのにI/Sをやらせていますが、彼を使うしかない(笑)。その代わり彼は、いろいろと工夫して練習していて、下級生にダミーを持たせたり長いものを使ってシュートの邪魔をさせたりしながら練習しています。素直な子です。次は県大会ですが、大変だー!(笑)、大きい選手が多いですからね!!」
以下、5位:川和中・万騎が原中、7位:岩崎中・東永谷中、9位:名瀬中・本郷中、十日市場中・豊田中の12チームが県大会へ出場しました。
詳しい点数等は、【平成30年度 横浜市中学校総合体育大会 男子バスケットボールの部】をご覧ください。
女子は、男子のような番狂わせは無く、ベスト8は順当にシードチームが上がってきました。
3位決定戦は選手権同様、釜利谷中vs山内中で行われ、今回は59-52で釜利谷中が選手権の雪辱を果たしました。
◆横浜市総体 女子決勝 鶴ケ峯中vs希望が丘中
決勝は選手権に引き続き、鶴ケ峯中vs希望が丘中の対戦となりました。
鶴ケ峯中は、攻めに決め手を欠き、決定力がなくシュートが入りません。希望が丘中は、ATBが出来ないのかしないのか、こちらも決め手が無く7-2と言う超ローペースで第1Qを終了しました。
鶴ケ峯中は、第2Q残6分に希望が丘中が取ったCTO(タイムアウト)後に、プレスに出てボールを奪い速攻に繋げます。更にATBをやり始め、強いディフェンスから攻撃リズムを掴かみ、ブザービーター3Pのおまけもついて、前半を27-12と差を開いて終了。
後半、鶴ケ峯中は、I/Sの#12坂野にやっとボールが入るようになり加点するのに対し、希望が丘中は、#12前田がジャンパー(ジャンプ・シュート)や3Pを決め反撃に出たいものの単発となります。結果、56-30で選手権に続いて鶴ケ峯中が勝ち、優勝しました。
【ゲーム後、鶴ケ峯中・高砂先生のコメント】
「前回の対戦を受けて、I/Sへボールを入れさせないように、パッサーにプレッシャーを掛け、第2線はディナイ(Denyボールを持たせないように密着するディフェンス)させた。パス&ラン(パスしたら直ぐに走り込みボールをもらう基本的プレー)をしようと言っていたが、中々出来なかった。」
以下、5位:洋光台第二中・戸塚中、7位:本郷中・富岡中、9位:名瀬中・旭中、旭北中・東山田中となり、この12チームが県総体へ出場を果たしました。
詳細は、【平成30年度 横浜市中学校総合体育大会 女子バスケットボールの部】をご覧ください。
上位チームに関して言えば、横浜大会は単なる予選みたいなもので、本番は全中(2018年 第48回全国中学校バスケットボール大会)の予選にあたる関東大会なのです。その関東大会へ出場するには、県総体で準優勝しなければなりません。
■県総体 台風のため1日順延されて29日(日)から開始されました。
◆男子◆
例年、横浜地区以外では横須賀地区や川崎地区、県央地区や湘南地区のアレセイア湘南中が強いものですが、今年はどうだったでしょうか?
競技形式は8チームによるトーナメントを行い、その勝者が、4チームごとに行われる決勝リーグへ進めます。
【Eブロック】
第2シード川和中(横浜5位)を破った玉川中(川崎3位)と、十日市場中(横浜9位)を下した原中が決勝で対戦し、68-54で原中が勝利し、決勝リーグへ。
【Fブロック】
第2シード領家中(横浜4位)を下した大谷中(県央1位、海老名市)が、西生田中(川崎1位)を破った第1シード釜利谷中(横浜3位)と対戦し、更に49-48で釜利谷を破るという番狂わせで、決勝リーグへ。
【Gブロック】
ここも第1シードの旭が丘中(湘南1位)が2回戦で東永谷中(横浜7位)に敗れる波乱が。その東永谷中も、第2シード万騎が原中(横浜5位)に決勝で58-66で敗れ、万騎が原中が決勝リーグへ。
【Hブロック】
第2シード鵜野森中(相模原1位)を城南中(県西1位、小田原市)が破り、その勢いで横浜2位の山手中華中を55-47で下し、城南中が決勝リーグへ。
決勝リーグ 1回戦
・原中 78-53 大谷中
・万騎が原中 56-52 城南中
常に万騎が原中のリードで展開していったものの、終盤3分を切ってから城南中がプレスを仕掛け、54-52と追い上げられたが、万騎が原中は残17秒に#4がドリブルで割って入り、ユーロステップでディフェンスを交わしシュートを決め、逃げ切りました。
決勝リーグ 2回戦
・原中 53-33 城南中
(原中2勝0敗、城南中0勝2敗)
・大谷中 74-44 万騎が原中
(大谷中1勝1敗、万騎が原中1勝1敗)
決勝リーグ 3回戦
・大谷中 66-52 城南中
(大谷中2勝1敗、城南中0勝3敗)
・原中 49-27 万騎が原中
(原中3勝0敗、万騎が原中1勝2敗)
身長が高い万騎が原中は、シュートが入らない原中のリバウンドを拾い、速攻につなげてリードするものの、セットでは攻め込めないので得点が止まってしまう。原中は、第2Q残6分で14-13と逆転し、そのままの展開に。I/Sに入り込めない万騎が原中は、ペリメーターのシュートにこだわるが確率は悪く、差は開くばかりでした。
【優勝:原中、準優勝:大谷中】 この2チームが関東大会出演決定
◆女子◆
例年横浜地区や相模原地区、湘南地区や県西が強いですね。
【Aブロック】
第2シードの本郷中(横浜7位)を破った千代中(県西1位)を、第1シード鶴ケ峯中(横浜1位)が72-30と圧倒し、順当に決勝リーグへ。
【Bブロック】
ここは両シードが敗れると言う波乱が起きました。第1シードの山内中(横浜4位)が名瀬中(横浜9位)に敗れ、第2シード戸塚中(横浜5位)が相模女大中(相模原1位)に敗れました。
とは言え、相模女大中は本来は第1シードでなければいけない実力を持っていますが、1月の県新人戦で第1シードながら、3回戦で鶴ケ峯中に敗れベスト8にも入れなかったため、総体ではノーシードという屈辱を味わうことに。決勝では名瀬中を51-41で下し、相模女大中が決勝リーグへ。
【Cブロック】
横浜2位の希望が丘中が、2回戦でアレセイア湘南中に58-56で敗れました。また、第2シードの富岡中(横浜7位)も海西中(県央2位)に敗れ、その海西中も大洋中(中地区1位)に敗れるぐちゃぐちゃ状態で、結局、アレセイア中が決勝リーグへ。
【Dブロック】
第2シードの洋光台第二中が、第1シードの釜利谷中(横浜3位)を70-67で下し、決勝リーグへ。
決勝リーグ 1回戦
・相模女大中 55-51 鶴ケ峯中
I/Sが大きい相模女大中に対し、鶴ケ峯中は強いディフェンスで対抗し、リードを奪います。攻めがバラバラの相模女大中は、ポイントガードを変えたのが良かったのか落ち着いてきたのか、本来のI/Sと外からのシュートがかみ合い、徐々に追い上げます。前半終了間際に3Pを決めると、直後の鶴ケ峯中のスローインをスティールしてイージーなシュートで27-25と2点差に詰めて折り返したのが良く、後半の立ち上がりの逆転劇に繋がりました。
その後は接戦が続きますが、最後は相模女大中が突き放しました。
・洋光台第二中 64-53 アレセイア湘南中
決勝リーグ 2回戦
・相模女大中 46-33 アレセイア湘南中
(相模女大中2勝0敗、アレセイア湘南中0勝2敗)
・鶴ケ峯中 62-55 洋光台第二中
(鶴ケ峯中1勝1敗、洋光台第二中1勝1敗)
決勝リーグ 3回戦
・相模女大中 76-44 洋光台第二中
(相模女大中3勝0敗、洋光台第二中1勝2敗)
ベンチメンバーにも能力の高い選手をそろえる相模女大中に対し、対抗できる素材を持っているのはPGとセンターの朝比奈の二人だけという洋光台第二中。それでも、オフェンスでもディフェンスでもリバウンドを拾いまくり、攻めてはI/Sのシュートを確実に入れていた朝比奈で対抗していましたが、徐々に連戦の疲れが出たのかシュートも落ちだし、大差を付けられました。
・鶴ケ峯中 76-38 アレセイア湘南中
(鶴ケ峯中2勝1敗、アレセイア湘南中0勝3敗)
【優勝:相模女大中、準優勝:鶴ケ峯中】
横浜市内でも目立たなかった存在の洋光台第二中
横浜の関係者は「ゲームするごとに強くなってきた! ここまで来るとは思はなかった!」と口を揃えます。当初はぎこちなかったボール運びも、ガードたちが動いたりパスしたり、朝比奈へのパスも良い感じで入るようになりました。
この朝比奈は、3月に行われた「第31回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2018」に神奈川県代表として出場しているばかりではなく、ジュニアの日本代表にも選ばれ、何度か合宿に参加している選手です。
男子U16日本代表チームのチームリーダーである大平敦先生(鎌倉市立第一中)は「ジュニア合宿に何度か招かれていて、萩原美樹子(全日本女子アンダー日本代表のコーチ)から何度も教わって上手くなった。ボディーバランスが良く、シュートタッチが柔らかく、3Pも撃てるオールラウンダー。シュートに向かう姿勢が良かった!」と称賛していました。
なお、この大会決勝リーグには、以下の神奈川県ジュニアオールスターメンバーが出場していました。
・相模女大中:青木らするな月(162cm・2年)、美口まつり(176cm・3年)
・鶴ケ峯中:佐藤桃菜(159cm・3年)、坂野美音(170cm・2年)
・洋光台第二中:朝比奈あずさ(180cm・3年)
◆ビーコル情報◆
外国人は全て新メンバーで、日本人も4人が新メンバーとなったビーコル。帰化申請中のエドワード・モリスは帰化枠として使えるのでたのしみです。8月18日(土)に練習が公開されるので、来月はその報告も含め「新生ビーコル」を特集したいと思います。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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