vol.124「良い風が吹いてきたビーコル」
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
今年は戌年、そして私は年男!!
さてさて、11月まではフラストレーションが溜まるゲームが多かった横浜ビー・コルセアーズ(以下ビーコル)でしたが、12月に入ると強い逆風から、穏やかな順風へと変わってきました。
トーマス・ウィスマンがアドバイザー就任直後の12月2・3日のvs琉球ゴールデンキングス戦は#4ジェフリー・パーマー(203cm以下JP)と#25竹田謙(188㎝以下ケン)の欠場もあり、成果は出ませんでしたがチーム最多の4,272人の入場者がありました。
翌週の10・11日のvs栃木ブレックス戦は古田コーチが欠場となり、尺野アソシエイト・コーチがヘッド・コーチ代行へ繰り上がったゲーム①は前半終了直前25-43と最大18点あったビハインドを8点差まで追い上げました。
そしてJPが復帰した16日、ケンが欠場していたものの序盤からリードを奪い76-58で富山グラウジーズに勝ち三河戦から続いていた連敗を6で止め、翌日もJPの3Pで66-64と逃げ切り、今シーズン初の連勝、それも同一カードでの連勝となりました。
変則カードとなった20日の新潟アルビレックスBB戦。接戦を続けていたものの、残2分でエナジー切れとなり82-90と悔しい敗戦でした。
古田コーチと契約解除し、尺野ヘッド・コーチ代行をヘッド・コーチに昇格して臨んだその週末の23・24日vsレバンガ北海道戦、両ゲームとも惜しい敗戦です。
今までは大差を付けられ悔しい敗戦が多かったのに対し、惜しいゲームが増えてきました。
そして年末最後のカードとなった29・30日アウェイ滋賀レイクスターズ戦で、ケンが復帰したものの、24日の北海道ゲーム②で#45ウィリアム・マクドナルド(206㎝以下ウィル)が暴力事件(*後述)を起こし罰金と2ゲーム出場停止処分を受けたため、またも外国人が2人となり苦しい展開でした。
ゲーム①では最終Qに3Pとインサイド(以下I/S)をバランスよく攻めて一気に引き離しました。ゲーム②では第3Qまで11点差を付けられていたものを#0細谷将司(以下マーシー)や#21田渡凌(以下リョウ)のシュートで追いつき、更に残48秒、リョウからのパスを受けたJPが鋭いアタックでねじ込み、更にand1(シュート時にファールを受けそれを決めると、更に1FTを与えられる、そのFTのこと)を決め77-74とダメ押しして逃げ切り、富山戦に続き2度目の同一カード2連勝として2017年を締めくくりました。
私は「開幕から12月3日(日)琉球ゲーム②まで」の古田時代とその後を尺野時代として別モノと考えています。
古田時代が4勝15敗(勝率0.21)だったに対し、尺野時代は4勝5敗(勝率0.44)と大幅に強くなっています。
その理由はいくつか挙げられます。
第1はチームが纏まってきたことじゃないでしょうか?
言い方は悪いかもしれませんが、#1川村卓也(192㎝以下タク)がチームに馴染んできました。それまでは「タク1人がプレーして、それ以外は脇役」的な色合いが強く感じました。例えば、オフェンスでは何が何でもタクにボールを渡してシュートさせる、そのため一番確実そうなハンドオフ(手渡し)でタクにボールを渡していました。
このプレー、実はタクにとってかなり身体的にダメージを与えるものなのです。と言うのもタクは常にディナイ(ボールを持たせないように常に密着するディフェンス)されていて、それを振り切ったり押し返すためにかなり脚を使うため、疲労させます。
しかし最近はパスが多くなり全員でバスケットをするようになってきました。それまではディフェンス要員で得点を期待されてなかった#高島一貴(以下カズ)が良い所でシュートを決めるようになり、ビーコルは全員がシュートできるようになりました。また尚且つ、早いパス回しでディフェンスを崩すようになり、相手はタクだけをマークすれば良いという訳に行かなくなりました。
となるとタクも1人であがくことも少なくなり、脚への負担も軽くなり、それがタクをより良いプレーやシュートに繋がったわけです。
そしてタク自体も3PだけじゃなくスピードのあるATB(Attack The Basket.ドリブルでリングにアタックすること)も多くなりました、元々シュートが上手い選手ですから、大きい選手に対しても掻い潜ったりしてシュートを決めて、コンスタントに高得点できるようになりました。
それまでは高得点ゲームをすると、次のゲームでは得点出来ないことが多くあり、ブースターさんからも高得点した翌日は「今日な期待できないなー!」と言う声も聞こえてくるほどでしたから。
しかし2桁得点ゲームが連続でできるようになり、それがビーコルを強くする要因の一つになっています。
次に挙げられるのはディフェンスの強化です。
数字的には古田時代1ゲーム平均76.9失点が尺野時代は75.8失点で、それほどの差は無いように思われますが、新潟(平均得点81.6)、北海道(平均得点79.3)、富山(平均得点78.1)とリーグのトップ8に入っている得点力の高いチームが相手ですから、効果は出ていると思います。
その主役はスティール(パスをカットしたりドリブル中のボールをはじいたりして相手ボールを奪うこと)名人のJPとリョウです。特にリョウはジョーやマーシーと組んで積極的にWチームを仕掛けます。
更にジョーは高い身体能力を活かし、カズに次ぐ二次元(平面)ディフェンダーとなり、16・17日のvs富山戦では平均得点16.0の宇都直輝を平均10.0点に抑え、その後も活躍する時間が長くなりました。
それまでは、ベテランが多く脚を使ったディフェンスには積極的で無く、ゾーンを敷いていましたが、最近はM2M(マン・ツー・マン。対人防御)や積極的なゾーン等、数種のディフェンスを相手に応じて使い分けています。
そして三次元(立体的)ディフェンダーと言えば、ブロック・ショットがリーグ2位のサビートでしょう。相手はサビートを警戒してペイント内でのシュートを諦めることが多くなってきました。
先日のサビートのアリウープをPICK UP❗マーシーと息ピッタリな豪快ダンクに注目✨🤩✨ #ビーコル #ハシーム・サビート・マンカ #細谷将司 pic.twitter.com/3SXpnb6hlw
— 横浜B-CORSAIRS (@b_corsairs) 2017年12月31日
そしてメンバーが揃ってきたことも大きな要因ですね。
その第一はJPの復帰でしょう!
単純に物理的に外国人が2人から3人に増えたことで、1人当たりの負担が軽減され集中できることです。
ただJPに関してはそんな簡単な理由だけではありません。3Pを含むアウトサイドからの攻撃に幅ができたことです。♯8湊谷安玲久司朱(192㎝以下アレク)がアキレス腱切断で今シーズン出場が難しくなったいま、3Pを撃てる選手はタクとマーシーだけになり、どうしても彼にプレッシャーがかかっていました。
しかし1ゲーム平均4.2本(確率30.7%)のJPが戻ってくれば大きいです。その上ATBも得意となれば、外からの攻撃の大きな武器がタクとJPの2人と、インサイドで#34ハシーム・サビート・マンカ(221㎝以下サビート)とウィルの2人の4人に増え、更にリョウ、マーシー、#8満田丈太郎(188㎝以下ジョー)のヤング・トリオが控えていれば、得点力は増します。
その結果、開幕から19ゲームの古田時代は1ゲーム平均66.9点だったのに対し尺野時代の9ゲームは75.9点と大幅にアップしています。
復帰したもう一人の選手を忘れてはいけません、ケンです!
今年40歳となるいぶし銀のベテラン選手です。プレータイムは15分以下ですが、キッチリと仕事をしてきます。攻めては、相手の逆を突きスッとペダイブ(ボールを持たない状態でペイント内へ入ること)したり、3Pラインの外でのワイドオープン(ノーマーク状態)でボールを受け3Pを決めたり、それがまたグットタイミングなんですよ。
守りでは、滋賀ゲーム②第2Q残3分に27-35と離され、嫌なムードになった時、並里のパスを深い読みから綺麗にカットしそのまま速攻に持ち込み29-35とし、その後タクのFTと3Pを引き出し36-39で前半を終へたのが第4Qの逆転に繋がっている筈です。
このように何度ビーコルの危機を救ってきたことか!
そしてここに導いたのは尺野ヘッド・コーチとウィスマン・アドバイザーです。戦う集団にしてくれました。
ビーコル次のゲームは20・21日千葉とのアウェイ・ゲーム(船橋アリーナ)となります。
千葉と言えば7日に日本選手権で優勝した強豪チームです。
昨年も同じ状況で2月4・5日に国際プールで対戦し、ゲーム①ではタクの劇的なブザービーターで72-70と勝利をもぎ取っています。
そして今年最初のホーム・ゲームは1月27日(土)@国際プールで名古屋ダイヤモンドドルフィンズとなります。2018年ホーム初戦の詳細をご確認ください。
今シーズンは12月30日以来20日までゲームがありません。ベテランが多いビーコルにはよい休暇となり、更にチーム練習ではしっかりとディフェンスの練習ができる筈です。
パワーアップしたビーコルを見たいですね!!
◆#45ウィリアム・マクドナルド暴力事件について
12月24日北海道ゲーム②第2Q残2分45秒リバウンド時にマクドナルドが北海道の#6ジャスティン・レイノルズと場所取り争いとなり、更に言い争いからレイノズルを殴打しました。
この行為に対し、リーグは罰金10万円と2ゲームの出場停止処分にしました。
それまでもゴール下での押し合いにイライラしていたこともあり、手が出たと思いますが、理由はどうあれ暴力で問題は解決できません。とても恥ずかしい行為で、プロバスケットボール選手に憧れる子供達の夢を壊すことになりかねません。
関係者としては恥ずかしい限りです、申し訳ないと思います。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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