vol.121「ビーコル出航波高し!!」
9月29日(金)横浜文化体育館から出航しました。対戦相手は、西地区の滋賀レイクスターズ。
結果はご存知と思いますが、1勝1敗と星を分けました。
開幕戦のスタメンは、ガードに#0細谷将司(173㎝神奈川大、以下マーシー)、#2高島一貴(190㎝早稲田大、以下カズ)、#3蒲谷正之(183㎝日本大、以下カバ)、フォワードに#5湊谷安玲久司朱(190㎝青山学院大、以下アレク)、センター#42ジェイソン・ウォッシュバーン(208㎝ユタ大、以下Jウォッシュ)、平均身長188.8㎝の布陣でした。
エースと言われる#1川村卓也(193㎝岩手県立盛岡南高、以下タク)が入っておらず、替わりにカバが入りました。
現在ビーコルのメンバーは13人、リーグの決まりでゲームの登録は12人に限られるため、今節は超ベテラン#25竹田謙(188㎝青山学院大、以下ケン)がベンチへ入ることができませんでした。
昨シーズンから変わったことは沢山ありますが、大きく変わったことの一つにプレータイムがあります。下のグラフは、開幕節のvs滋賀2ゲームのプレータイム(出場時間、単位分)の表です。
昨シーズン(紺の棒グラフ)は5人が25分以上で上位グループを形成しており、中位グループの6番目のカズとは5分以上の差があります。
さらに3分差で#13山田謙二(180㎝法政大、以下ケンジ)、アレク、ケンがいて、ちょっと下がるとカバが10分で、さらに#8満田丈太郎(188㎝筑波大、以下ジョー)、堀川竜一(現香川)喜久山喜一(現奈良)、岩田涼太(現三遠)が下位グループとなっていて、3グループに分類できます。
赤円の上位グループの5人で1ゲーム平均得点計が59.6点となり、チーム総得点の82%に当たります。
バスケットは得点が全てではありませんが、主力メンバーの5人が頑張った、と言う構造で、残念ながら平均5分以下は、殆ど戦力ではなかった、という状態ですね。
ところが今シーズン、と言っても資料は2ゲームだけですが、大きく様変わりしました。
一番長くてタクが24.5分で、昨シーズンだったら上位グループに入れませんでした。しかし昨シーズンは上位グループが5人だったのに対し今シーズンは7人もいて、中位グループも数字的には若干少ない程度でそれほど変わらず4人もいます。
つまり10分以上が10人もいる、今までなかった状態です。
これは物凄く良い状態です。
誰を出してもスタメンと遜色ない仕事をやってくれます。今流行りの言葉で言うと「タイム・シェア」です。と言うより「ツー・プラトン」(チーム内に2チーム作り、ソックリ替えること)に近いですね。
開幕戦では、開始から4分22秒でカズを#15佐藤託矢(198㎝青山学院大、以下サトタク)に、その40秒後にはカバをタクに、残3分21秒にはマーシー、アレク、Jウォッシュの3人が#4ジェフリー・パーマー(203㎝アトランティック大、以下JP)、ジョー、#21田渡凌(180㎝ドミニカン大カリフォルニア校、以下リヨウ)と替わり、この時点でスタメンは誰もいなくなりました。
第2Qは立ち上がりから#32ハシーム・サビート・マンカ(221㎝コネチカット大、以下ハシーム)を投入し、その後も述べ4人を交代させています。
ビーコルはベテランが多いので、このように休ませながら多くのメンバーを使うのが、良い方法だと思います。
その効果が出たのか、前半は37-28と9点差をつけました。とは言うものの、私のイメージでは20点差がついていてもおかしくない展開でした。それなのに9点差。それは隣に座っていた「それいけビーコル!謙治のラジオ」のサブMC児玉美保さんも同じ感想を持っていました。これってなんか嫌なんですよね!!
後半の立ち上がり、リードしていると言う気の緩みに滋賀の強いプレッシャーが襲い掛かり、更に滋賀のPG並里にパスを捌かれファイや狩野にシュートを入れられて、あっという間に37-36と追い上げられ、後半開始3分半で40-40と同点にされました。通常ならこの辺りでCTO(タイムアウト)でしょうね。
結局後半は19点しか取れず、56-73と惨敗でした!!
B1に限らず、多くのチームは前半で差が付けば、後半は立ち上がりに強いディフェンスで来ることは判っていますから、ハーフタイムで何らかの手を打つべきでした。
翌30日(土)は、前日3得点のキャプテン・アレクが出だしから積極的にリングにアタックを掛け、更には得意の3Pも決め、第1Qは19-13とリードし、第2Qではハシームを真ん中に置いたゾーン・ディフェンスが効き、オフィシャル・タイムアウト(どちらのものでは無いタイムアウト、第2Qと第4Qの残5分を切って時間が止まった時に採用。アメリカではコマーシャル・タイムアウトとも呼びます)後、12-5のランで一気に突き放しました。
心配された後半開始、さすがに前日から学習しており、気合の入った立ち上がりの上、またもゾーンが効いて滋賀を9点に抑え第3Q終了時点で56-34とし、勝負を決めました。
ところが第2節の北海道戦では、数字的には変わらないものの使われ方に変化が出てきました。どう言う事かと言うと、あるQ(クォーター)は丸々休ませる替わり、次のQはフル出場と言う具合です。
例えば、第1QJPとジョーは0分、第2Qマーシーが10分なのに対し、サトタク、リヨウ、ケンが0分(アレクは怪我で第1Qに退場しているので0分)。
第3Qでは、タク、マーシー、ハシーム、Jウォッシュ、ケンの5人が0分で、JPとサトタクが10分で、第4Qはさすがにフル出場はいませんが、タク、サトタク、ケンが0分でした。ただサトタクに関して言えば、オンザコート1の関係でレバンガ北海道の日本人、BigMan野口とのマッチアップのためだとは思いますが。
フル出場させたり、ベンチに置きっぱなしにしたり、なんだか勿体ないなー。そしてコンディションは保てているのかなー。と言う気がしてなりません。
タイム・シェアの元祖と言へば、NBAサンアントニオ・スパーズのグレグ・ポポビッチ・コーチです。第1Qの終盤にベンチ・メンバーを使い、そのまま第2Qの序盤まで引っ張り、中盤からはスターターが戻ってくる、後半も同じように第3Q終盤から第4Q序盤までベンチ・メンバーで戦わせ、主力を休ませる、と言うやり方です。
日本では、川崎ブレイブサンダースの北コーチが以前からこれを踏襲して、良い成績を収めています。
まあこのシステムが出来るのはスターターとベンチ・メンバーの差が少ないことが条件になりますが、正にビーコルに当てはまるシステムだと思います。
そう言えば、vsレバンガ北海道・ゲーム②の立ち上がり、アレクがドリブルでディフェンスを抜こうとして転倒しました。まだチームからは発表になっていませんが、私も経験しているので判るのですが、アキレス腱切断だと思います。あの場面では、足首に負担は掛かってない上に、足首の捻挫だともう少し痛がるはずです。全治半年でしょうか?
それにしても痛い怪我です。初のキャプテンで頑張ってチームをリードしてきて、得点だけじゃなくアシストもとれるようになって、これからと言うときに、残念ですねー!!
今シーズンの大きな目玉と言えば、NBAドラフト全体2位指名でBリーグ最長身のハシームの加入です。
チームに加わってから10回ほどしか練習してなく、動きも未だチームと合ってなく、ピック&ロールでもかみ合わないことが目立ちますが、それは追々修正してもらいましょう!!
ハシームには大魔神としてゴールを守ったり、リバウンドやペイント内での得点を期待しますが、それ以外に精神的なモノをチームに浸透させて欲しいのです!!
開幕戦の後半、気の緩みと滋賀の強いディフェンスからの連続ゴールで、あっという間に9点差を追い越されたゲームの後、インタビューで彼は「リヨウと何回かご飯に行きましが、その時彼が『どういう風にしたら、勝つ習慣がつくのか』と質問してきました。僕が負け越すことのない、勝ってきたチームでプレーしてきたので、そういう質問したと思います。ところが今日のゲームでは真逆のことをしてしまいました。リードがあったにもかかわらず3Qでひっくり返されてしまったのは、それは本当に敗けグセがついているチームという認識です」と語ってくれました。
「敗けグセの付いたチーム」と言ったのです。
3Pが得意なピュア・シューターのレイ・アレン(シアトル、ボストン、マイアミ等)やリチャード・ハミルトン(デトロイト、シカゴ等)他カロン・バトラー、ベン・ゴードン、エメカ・オカフォー等々数多くのNBA選手を輩出し、NCAAトーナメント4度優勝の名門校コネチカット大出身で、更にNBAではカンファレンス・ファイナルを戦ったオクラホマシティー・サンダーでケビン・デュラントやラッセル・ウエストブロックともプレーし、強く勝つバスケットを身につけたハシームに「勝ちグセ」を伝授してほしいと私は思っています。
「強いチームとはどう言うものか」、咋シーズン後半から染み込んでしまった「敗けグセ」と「諦めの早さ」を払拭し、粘り強いチームに導いて欲しいのです!!
現在1勝3敗と負け越し中地区5位のビーコルですが、10月14日(土)、15日(日)は立川でアルバルク東京との連戦後、21日(土)22日(日)は今シーズン初の横浜国際プールでシーホース三河(3勝1敗、中地区1位)を迎え撃ちます!
応援お願いしまーーす!!!
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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